与一から出て来た生き物の記録

奇妙な生き物。早朝の自宅ガレージ奥の「与一」の中から、様々な働きをする者たちが生まれています。その有様と効能の記録です。

「しさくのたのしみ・2」 おおおつ子

2010-08-18 06:43:17 | しさくのたのしみ

し  く   の  


P o e m



 



「おおおつ子」


 


どす どす どす どす 


夜の国道163号線の片側歩道を


大きな”女”が走ってきた


彼女の名前は


”おおおつ子”


地響きの様にも聞こえる 走る足音で


生魚のような体臭とともに


走ってきた


 


 


以前にも僕は 彼女と会っている


新婚早々の我が家の夏


 唐突にやってきた彼女は あわてた様子で こう言った


ー水で、良いか?・・水・・・ー


2本の500mlのペット・ボトルを強く掴んでいる


よく冷やして持ってきたに違いない ペット・ボトルに付いた水滴は


走ってきた距離の長さをあらわし


おそらく水は もう生ぬるい


妻と僕 二人分の”水”?


その意味を 推し量りかねて 口にはできなかった


第一 気持がわるい


 それが”おおおつ子”の最初であった


 


 


それから”おおおつ子”を見るようになった


同じく163号線の 


ホンダ・プリモの向かいにある 交番所で


激怒する”おおおつ子”の姿があった


「指名手配のポスター」を 何度も棒で叩きながら


”おまえかっ  おまえかっ 悪い顔” 


と 怒っていた


あわてて出てきた警官が 注意すると


ポケットから黒いちいさなもの 


あわててまさぐり出し


これを届けにまいりました!!


一喝し 警官をもたじろがせた


黒いちいさなもの” それはおそらく


道路沿いに落ちていたのであろう 


キティーちゃんの 携帯ストラップ


何度も自動車に踏みつけられ続け


黒いちいさなもの”に変色・変形した ストラップ


町中に落ちているゴミを 


いちいち”落し物”と銘打って 届けて来られるなら


警察もたまったものではない


案の定 「お嬢さん、ありがとうね」とだけ言って


警察は”黒いちいさなもの”を受け取るだけだった


 


 


どす どす どす どす


真剣なまなざしの”おおおつ子”が 


夜の国道163号線の片側歩道を走る


大きな手には 


どこかから摘んできたのであろう「花」を


握りしめ そして 


あくまでまなざしは 強く真剣に光っている


それを何処の誰に届けにいくのだろう?


それは わからない


しかし きっと


彼女思う所の良いことを


おこなうに ちがいない


 


 


 


 


 


 


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