和解マン「優しさ倉庫」のはなし

　「優しさ倉庫」

 

京橋駅繁華街を城東区に向かって抜けて行くと

「優しさ倉庫」がある

　取り扱い商品は「優しさ」

「優しさ」の発注・受注・梱包その他の

　物流サービス全般を行っている

私達はここに

「和解マン」の　　かなり確かな手がかりを掴んでいる

「和解マン」はこの倉庫に

なんらかの仕方で入り込み

何かをしようとしているようだ

１０トン車６台がよこならびに積み下ろしができるホームを正面とし

２階・３階から上は自動倉庫に改装するプロジェクトも進めている

この小奇麗な「優しさ倉庫」は　昨年末にはISO14001・ISO9001も取得し

品質マネジメントにおいても　地元・城東区から「優良企業」の指定もうけている

私達が得ている「和解マン」の情報を　さらに確かなものにする為に

一連の働きかけをすることに決めた

この倉庫の一日の操業が終わるのは　　毎日２０時前後で

警備員が最終点検を終え　セコムセットが完了したその後

私達の作業を始める

作業手順としては　　まずは構内のレイアウト変更

具体的には　柱や照明の位置の変更・

商品を格納するラックの配置変え・フォークリフトの車種変更・

それにともなって　梱包作業台の位置や消火器・コンセントの位置も

大きく改定していく　もちろん作業が進む中で

当初は予定になかった変更も出てくるだろう

その時はその都度　皆で討議し

速やかに作業が進むよう　全力で取り組む

勿論これは　よりスムースな物流管理を目指したものでなくてはならないし

なによりこうした変化により「和解マン」がいかなる形式で

この倉庫にかかわっているのかを　把握し　

その「現れ方」を見極める事を前提にしているので

慎重を極める

またこの倉庫の目玉商品でもある「優しさ」についても

ついつい　それがどんな商品なのか　見てみたくなるだろう

しかし　その「優しさ」を手に取ってみたり　梱包を開けてみるような

未成長な行動は　私達のルールに反し

マナーにかける行動であると　　肝に銘じての作業としよう！

 

 

ここに　斎元という青年が勤めている

常に薄い笑顔で長身の斎元

かわいそうに思える程に気優しく

あわれな程に生真面目で　おもしろみがない

私達の「和解マン」探索のための　　夜を徹しての作業が進む中

この青年がキーマンだという事を

ついに　みつけた

 

 

 

 

「優しさ倉庫」は　すぐ隣のローソンに隣接している

そのローソンの駐輪場に最近たむろするようになった

中学生ほどのたちの悪い少年たちがいる

斎元はそのうちの一人と　よく話すのをみかけた

私達はこの少年をよく知っていた

以前からこの少年は　たちが悪かったが

とても美しく　そして私達と話ができた

この少年は「そら」という　

「和解マン」について斎元が何か　かかわっているらしいという情報は

「そら」が教えてくれたのだ

斎元は時折　「和解マン」と携帯で話している　との事だ

「そら」はたちは悪いがうそはいわない

私達の「和解マン」探索は　いよいよ本格的となった

しかし燃え上がる私達に　思わぬヨコヤリが入った

これは　斎元を通じて「和解マン」に伝わったからなのか

確認は取れていない

 

「社内通達」

皆様連日の勤労、本当にありがとうございます。皆様のおかげをもちまして、先月度の売り上げ実績が目標の数値でありました９０パーセントを上回る、９１．７パーセントを達成する事ができました。これは皆様の常日頃の精勤と、ご家族のご協力があったればこそであります。本当にありがとうございます。

さて、最近倉庫内におきまして、夜な夜な勝手な設備の移動や、レイアウトの変更などの悪質ないたずらをするものが進入しているとの通報がありました。これは当社内におきましても由々しき事でもあり、社内機密や商品情報の流出にも通じる大変忌まわしい出来事であります。幸いにも現在の時点では流出の報告はないものの、操業停止にも通じることであります。

パート・アルバイトの皆様も含め、この事に関して何か情報をお持ちの方は、総務の方まで一報いただきますようお願いいたします。

 

私達の「和解マン」捜索は　中断を余儀なくされた

しかし　斎元についての発見は　大きな一歩と言える

今後　斎元とのかかわりをどのような形で展開するのか

検討の余地は残されている

 

 

あとがき

こんにちは井川です

この話は、だいたい何が物語られているのか自体がよくわからないまま進んでいます。

貼り付けてある作品の写真も物語と関係があるのかないのか・・・

「はじまりの詩」からここまでを見て下さった方には本当に感謝感謝です

とりあえず、「ことば」の持つイメージや、感触はものすごく選んで進めています。

今は「生き物達」を語り手として作っていますが、もう少し違うもって行きかたで、

この話の終わりに出てきた斎元とそらの話を組み立てていってます。

これは、死と愛をテーマにがんばってみますので、もし興味がある方は、また覗いてやって見てくださいね

とりあえず、この「和解マン」の話は次回が最後になります。あ、そうそう、「生き物たち」の名前が

たまに出てきますが、絵の中のどれが誰かとか何も考えずにネーミングしていますので、読み手の皆さんが適当に絵の中のどの生き物が誰なのかを選んで頂いてもおもしろいかもしれません

長々とありがとうございました

ではまた遊びにきてくださいねー

井川誠一