上海帰りのリルです。

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また、スピーチ指導

2005-04-18 16:48:31 | 日本語の授業
 昨年9月に上海に来て、さっそくW先生に頼まれたのが、上海市の大学対抗スピーチ大会の代表者の指導でした。

 今回はJALのスカラーシップの応募者の指導。その選考会はもう今週の木曜日だから、たいしたことはできないんだけど、面接の受け答えとか、その場で与えられた課題についてのスピーチ(3~5分程度)などの指導をW先生から頼まれました。

 我が大学からの応募者は男女一名ずつ計2名。
まる顔でいつもニコニコのYKさんとアニメファンのSJくん。

 今日はW先生の部屋に2人を呼んで、W先生が模擬面接のように、いろいろ質問しました。

 作文の題が「グローバリゼーション…」でしたからね、がんばって、ずいぶん難しいこと書いちゃってるんだよね、2人とも。

 その作文について、W先生が質問したら、答えがしどろもどろ。
インターネットでいろいろ調べた努力は認めます…でも、消化できてないんです。自分で書いた作文なのにね。

 「S先生、何か?」とW先生に話をふられたので、

「よく、みなさんの書いた作文を見ると、テーマを大きく捕らえすぎて、自分から遠くなっちゃってるんですよね。例えば、日本文化と中国文化は共通点も多いが、違う点もある。あなたが感じる日本文化と中国文化の共通点と相違点はどこですか……という質問が出たとするでしょう?そうすると、みんな大きく文化を考えて、あれもある、これもある、とダラダラ話してしまう。それだと、話がまとまらなくなって、スピーチとしてよくないんですよ。

 もっと身近なことを例にあげて、わかりやすく話すことを考えてください。日本文化と中国文化の共通点の例として、「箸を使う」ってことをあげてもいいんですよ。その箸の先が尖っているか、尖っていないか、それから、横に置くか、縦に置くかというところに違いがある…ね、そういうほうがわかりやすいでしょう?」

 これについてはW先生も同意見。
「審査員は『あなたがどう思うか』を聞きたいんだからね。」と。

 スピーチの題は毎年変わるそうなんですが、
「10年後の私」とか「将来の夢」というものが多いそうなので、「将来やりたい仕事」「夢」について考えをまとめておくように言いました。

 見てておかしかったのはSJくん。彼は中学時代から日本語をやっていて、クラスの中でも「俺はできるんだぜ」って感じで、態度が大きいのに、W先生の前では、ほんっとーに緊張してて、ガチガチなの^^

 W先生の部屋を出て、廊下を歩きながら
「あんな緊張してるSJくん、初めて見たー^^」って言ったら
「W先生の前だと別の自分になってしまう。」だって。
YKさんにも笑われちゃって^^

 あした、隣のM先生といっしょに、またこの2人と会います。

夏はひまわり

2005-04-15 20:56:43 | 日本語の授業
 3年精読の授業。前回「春」のところを読んだので、今回は「夏」です。

 金曜日の4コマ続きの授業の4コマ目は私も学生も疲れ気味なので、余談が多くなったりします(^^;

 それで、4月1日「涙が出ちゃう」の記事に書いたような教科書と関係ない話しちゃうのよね…。あ、でも、あの記事好評だったので、恥ずかしいけど、嬉しいです。

 実は、あの「星の王子様についての思い出」の話には続きがあって…学生達に、「今日は泣かないけどね、」と言って話しました。

 一応、教科書に出てくる「夏」に関連して。


 夏の花と言えば「ひまわり」ですよね。中国でも「向日葵」と書いて、太陽のほうを向いて咲く花だと言われていますよね…実際はそうじゃないこともあるそうなんですが、フランス語でも「tournesol」と言って同じ意味があります。

 この前話した図書室の先生が、「日本」の意味は「太陽が昇るところの国なんでしょう?」ってある日私にたずねました。「ずっと東にある遠い国」って意味で言ったのかもしれません。

 この先生のうちは、すごい田舎にあるんだけど、その近くにひまわり畑もあるんです。そのひまわりが咲いたら私を思い出すって言ってくれたんですよ。「ひまわりは、太陽があるところ…あなたの国のほうを向いて咲いているはずだから。」って。そして、にっこり笑って、「星の王子様みたいでしょう?」って。

 学生達、ウン、ウン、うなずいてくれました(^^)

 今年も、ひまわりが咲いたら、彼女は私を思い出してくれると思います。

 私は、帰国してから、何を見て上海を思い出すかなぁ?

 「ショーロンポー」を見たら、思い出すことにする!


…なんか、いつまでもミスDJ(このたとえ、わかりませんか…)みたいなしゃべりでごめんなさい。 

迎春花

2005-04-14 22:09:16 | 日本語の授業
 3年精読の授業で「四季」という文章を読みます。

 第一回目の今日は「春」に関する部分を読みました。
「3月の声を聞くと~」と始まる文の「『3月の声』とは何だと思いますか?」という質問をして、いろいろ答えさせます。

 「日本では、春を感じる花は、なんと言っても『桜』ですが、中国ではなんですか?」と訊いたら、「桃」のほかに「迎春花」という答えがありました。

 「どんな花?」と訊いたら、今、キャンパスの池の周りを黄色く囲んでいる、6枚の花びらのかわいらしい花だとわかりました。日本では「黄梅」と呼ばれるそうですが、モクセイ科の花です。「迎春花」という名前が素敵ですよね。「インチュンホア」と発音するんですって。

 キャンパスに咲いている花をお見せしたいのですが、デジカメを持ってないので、他のサイトの迎春花を見てください。

http://www.bjkp.gov.cn/bjkpzc/tszr/zwdg/zwygs/18029.shtml

会話の授業

2005-04-07 21:29:09 | 日本語の授業
 3学期から時間割が変わって、木曜日は12精読、34会話、昼休みがあって78会話と忙しいです。

 今週は12の精読は中国人のY先生(男性)が担当なので、今日は、私は2年生の会話を2クラス。

 あいかわらず、面白い会話を作って、私を笑わせてくれます。

 先週、今週と「人の説明」についての会話がトピックです。

 先週は外見と性格を表す言葉を導入して、
2~4人のグループに分け、

「Aさんは彼(彼女)がいません。それを友達に相談してください。」
「(Aさん以外の人達は)Aさんに友達を紹介してください。そのときに紹介する友達がどんな人か詳しく説明してください。」

という「恋人紹介」の場面にしました。

 2年生は9月に教え始めた頃と比べたら、ぐんと語彙が増えてますからね。「いい人」とか「やさしい」とかじゃよくわからないから、「どんな風にいい人か」とか「例えばこんなことがあった」とか、具体的に説明するようにと注文を出しました。中級から上級へのステップですね。

 外見についての言葉で、面白かったのは、
「芸能人に例えると~」とか「動物に例えると~」とか。

「彼の声は○○さんにそっくりなんだよ。」と日本の声優の名前を出し、
それを受けて「それはそんなに重要じゃないよ。」と言ったり。

 女子グループが「ジャニーズ系でかっこいいの!」なんて、教えてないのに知ってる言葉を使ってくれたので、補足として、「アイドル系」と、「ビジュアル系」も入れておきました。
(「アキバ系」は説明が長くなるので、やめておきました。実は日本語科男子には見かけアキバ系っぽいのもいるんだけれど。)

 今週は「人の説明 その2」で「様子の説明」

「いつもおとなしい友達のYちゃんが知らない異性(たぶん恋人!)といるのを見ました。あなたは誰かに話したくてしかたがありません。友達に電話してその様子を話してください。」

 2人を様子がどうだったか、どうして友達同士でなく、恋人だと思ったのか、を詳しく話すのがポイントです。

 「Yちゃんが幸せそうな顔してた」とか、
「彼が何か言うと嬉しそうに頷いてた」とか、
「ラブラブな雰囲気だった」なんて新しい日本語も使ってました。

 それを聞く側も「え?うそ。信じられない、あのYちゃんに彼?」なんていい反応してました。
 
 この場面をアレンジして、Aちゃんの彼氏の浮気現場を目撃して、その場で携帯でAちゃんに連絡。Aちゃんが現場に飛んできて、「どういうことよ!」って言うコントを作ったグループもいました。一生懸命いい訳する彼氏役は結局2人ともに「そんな人だったのね。じゃ、別れましょ。」とふられてしまうのでした。あっさりしてていいですね(^^)

 お年頃なので、こんな話題が盛り上がります。  

涙がでちゃう。

2005-04-01 22:30:01 | 日本語の授業
 3年精読の授業で、文部省唱歌「ふるさと」の故郷を訪ねるという内容の文章を読んでいます。今日で3回目。

 読み始めた頃、いつも一緒にご飯を食べている隣のM先生が、「彼ら(学生達)、上海生まれ、上海育ちだから、“ふるさと”って言ってもピンと来ないらしいよ。」と言いました。「そうですか?でも、この作者だって、東京生まれ、東京育ちだから、ふるさとに憧れてたんでしょう?」と私。
「うーん、でもねー…中学生ぐらいまで上海以外のところに住んでたっていう学生がいたから、『たまに懐かしいと思うことがあるだろう?』って
訊いたら『思いません。』って言うんだよ。」と残念そうに。
そっかー。懐かしいふるさとがないって残念なことなのかな?
「私も『春の小川』も『おぼろ月夜』も『ふるさと』も懐かしくはないです。そういう風景のイメージだけですね…。」

 でも、作者が『ふるさと』の作詞者の故郷を訪ねて、
「『ふるさと』のふるさとは健在だった。」と
感動する気持ちはわかる気がする。

 そんな話を学生にしようかな……どうしよう?その話をすると、私はいつも涙がでちゃうんだけど。

 知ってる人は知っている(何度も話してるからね^^;)私の「星の王子さま」とフランスの思い出の話です。思い切って、今日話しました。


 サン・テグジュペリの「星の王子さま」、中国では「小王子」というタイトルだそうですね。私も子供の頃から好きで、なかでもきつねの出てくる場面が好きです。

 きつねが王子さまに友達になってほしいと頼むんです。きつねが王子さまに「俺はパンを食べないから、麦には興味はない。でも、もしあんたと友達になったら麦畑を見てあんたを思いだすだろう。」って言うんです。王子さまは麦の色ような金髪だから。そして「麦の上を通る風の音さえ 俺にはうれしいだろうな。」ときつねは続けます。

 友達ってそうだよね。実際に会って話をするのが楽しいっていうのも友達のいいところだけど、離れているときに、何かを見て、その友達を思い出してうれしくなれるなんて、いいよね。

 私は大人になってから、27歳だったから、いい大人なんだけど(^^;)、初めて、右を見ても、左を見ても麦畑が続くような道を歩く経験をしました。それは、フランスでのことでした。一緒に歩いていたのは仲が良かった学校図書館の優しい女の先生でした。

 その麦の上を風が吹いたとき
本当に髪の毛がなびくみたいに見えたの。
急に思い出した。
 「Comme les cheveux du petit prince!王子さまの髪の毛!」

それまで、私の頭の中は 日本語→フランス語、フランス語→日本語っていつもやってたの。でも、このときは直接フランス語が浮かんだんです。

 隣にいた先生がびっくりした。「髪の毛?誰の?」

 麦畑を指差して、「星の王子さまの!」


…もうこのへんまで、話したら、ダメです……
文章では伝わらないかもしれませんが、
この場面を思い出すたびに、私は涙がでちゃうんです。

 学生達、シーンとしちゃいました。


「あー、もう、恥ずかしい。どうして、泣いちゃうんだろう…」と言いながら話を続ける。

 その図書館の先生もすぐわかってくれて、「『星の王子さま』は私も大好きな本よ。」と言ってくれて、私たちはもっと仲良くなりました。フランス人から見たら、日本は遠い東の端っこの国だから、その国から来た私が『星の王子さま』を知っていることには、びっくりしてたけどね。

 でも、違う国の人同士が同じ物を好きで、それについて話せるってすごいことだよね。

 そう。だからね、みんなが日本のアニメやマンガが好きで、それがきっかけで、日本語を勉強してるってことが、私はすごく嬉しいの。


 ……って話してるときには、鼻水が出そうになって、ティッシュを取り出す私。鼻をかもうとしたけど、みんな静かなので、
「やだぁ、こんな静かなところで!」と言いながら、
黒板の方を向いて チーン!

 その音が響いて、学生たちが笑いました。