上海帰りのリルです。

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3年精読 最後の授業

2005-05-31 22:18:16 | 日本語の授業
 日曜日、S茶芸館から帰る途中、3年のRちゃんとSJくんから、「火曜日にもう一度朗読をしてもらえませんか。」と頼まれました。なんでも、Rちゃん(美人!)がモーターショーでコンパニオンのバイトをしたとき一緒だった4年生女子が、私のアテレコごっこを見逃したのを、とても残念だと言っていたのだそうです。この珍しい教師を見たいとのことなのね。

 あと2コマで、教科書は終わる予定なんだけど、もうひとりの先生と相談して、よけいにあと2コマ時間をもらってるので、最後だし、いろいろやってあげちゃおうかなーって思いました。

 「わかった。授業は2時間目で終わるから、そのあと何かやればいいのね。」「はい、お願いします。」と話はまとまりました。

 そして、今日。3時間目にそのRちゃんの先輩が見学に来ました。

 まず、「窓ぎわのトットちゃん」の一部…トットちゃんが、好きだった男の子 泰ちゃんに「スパイになろうと思うんだ。」という話をするくだりを読みました。ちゃんと、トットちゃんと泰ちゃんの声を使い分けて。
泰ちゃんが「女のスパイは顔がよくないとなれないんだよ。」と言うところでは、学生達、笑ってくれました。「トットちゃん」は中国語にも翻訳されてて、子供の頃に読んだことのある学生も多かったみたい。

 それから、私の持ちネタ「ピーターパンとウェンデイの会話」男の子役がやりたかった私は、声優の養成所に在籍していた頃、この会話を自分のボイスサンプルとして、録音しました。何回も何回も練習して、録音に臨んだので、このセリフは今でも、ソラで言えるのです。

 ほんの1分ぐらいのひとり二役のセリフ…言い終わったら、学生達の目がまんまる!一瞬、間があって、拍手!!をもらいました。

 そして、養成所時代の思い出話
(どんな勉強をしてたとか)をして、

「声優はあきらめて、日本語教師になって、この仕事をして10年ぐらいになるけど、『声優になろうとしてた』ってことは私にとって、ちょっと恥ずかしいことだったのね。ここへ来て、そのことを話したら、みんなが『すごーい!!』って言ってくれて…こんなにほめられたのは、初めてだったから、

 ここにいた10ヶ月間、私はほんとに幸せでした。」

ここでチャイムが鳴ったので、(よかった。今日は泣かなかった。)って思って^^「じゃ、終わりましょう。」と言い、
班長さんの「起立!礼!」の号令で挨拶して、最後の授業を終わりました。

 そのあと、学生達と外へ出て、いっしょに大写真撮影会となりました。

眠れる桃姫 上演

2005-05-26 21:19:08 | 日本語の授業
 早いもので、2年会話の最後で授業です。(来週が試験で、今年度は終了。)

 4月28日の日記に書いた「眠れる桃姫」を今日の会話の授業で、上演しました。「上演」と言っても、いつもの教室で、寸劇をしただけなんですけど。

 いやー、感動しました。

 そもそも、この企画、私がやろうと言ったわけじゃなくて、学生からの提案だったっていうところが嬉しいです。台本も学生が全部書いて、私はそれを正しい日本語に直しただけなんです。

 私と一緒にやった稽古は、先週の授業のあとの昼休みに一回だけ。そのときに時間をはかったら、15分でした。

 それで、今日は「桃姫」出演の(女子ばかり)9名を除いた学生は、いつものようにシチュエーションを決めた会話作りをし、最後に「桃姫」の発表ということにしました。

 桃姫カンパニーのメンバーは、王様&お后さまの冠や、仙女の魔法の杖など、小道具も紙で作ってきました。セリフもちゃんと覚えてる!!
私が、台本持ちながらだったの、悪かったなぁ…。あ、私も「仙女2」として出演しました^^

 そうそう。すごいのは、効果音、音楽も入ること。携帯電話で、芝居の展開に合わせて、音を入れるんですよ!

 ラストは桃姫と王子様が結婚して、めでたし、めでたし…のはずなのに、浮気ぐせのなおらない王子様は、相変わらず、道行くかわいい女の子に声をかけ、桃姫に「あなたー!!」と耳を引っ張られるのでした(^_^)

 このラストの「かわいい女の子」役は、男子のいつも3枚目で人気者のBさんが特別出演(急遽出演決定!)でやってくれて、それが、とっても、面白かったです。

 クラスのみんなから、拍手をもらって、今年度の会話授業は終了しました。3年生になったら、会話授業はないけど、みんな楽しく日本語の勉強を続けてほしいなぁ。

ねんごろに。

2005-05-24 15:29:53 | 日本語の授業
 3年精読の授業で木村 俊の「日本人とコミュニケーション」という文章を読んでいます。

 ロンドンの英会話学校で、他の外国人は違う国の学生同士英語でコミュニケーションをとっているのに、日本人学生達は日本人同士固まっている…っていう話。

 その中に
「スペインの30位の大柄な男は、いつのまにかイタリーのグラマーな美人とねんごろになり、食卓に並んで座って笑いながら話をしている。」
という文があります。

 新出語は「ねんごろ(形動)」。
この教科書、新出語をまとめたページがあって、そこには意味も書いてある。だから、私の上司であるW先生は、「教科書に書いてあることの説明は要りません」とおっしゃる。説明好きな先生が多いんだろうね(^^;)
でも、「ねんごろ」の意味として、教科書には、

1)心を込めてする様子。丁寧にする様子。
2)仲むつまじく付き合う様子。親密になる様子。

以上2つの意味だけでした。
ちょっと足りないでしょ。

 学生たちに「もっと、深い意味がありますから、辞書で調べてみてください。」と言いました。電子辞書を持っている学生が多いんだけど、いち早く電子辞書で、その「深い意味」を見つけたクラスで一番成績のいいTさん(女子)は大喜び(^0^)ニコニコの顔で、隣の席の学生にも「これこれ!」って感じで見せてました。ほかの学生も3つ目の意味を見つけると、ニヤニヤしてました。一番前の真ん中に座った班長さん(男子)は、見つけて、困った顔してましたけど。(彼は真面目なんです…。)

 「みなさん、わかりましたね。だから、『仲良くなった』の意味で、うっかり『AさんとBさんはねんごろになった』とか使わないでね。聴いた日本人が『えー!!』って思うから。」

 みんな、ウンウンうなずいてました。

 面白かったので、お昼ごはんを食べてるときに隣のM先生に、このことを話しました。そしたら、

 「いや、Sさん、それは世代の差だな。僕達の頃はそれは第一義じゃなかったよ。」とおっしゃる。

「『ねんごろにもてなす』とか『ねんごろに弔う』とかですよね。そういう例文は出しましたよ。ちゃんと。」…だって、1、2の意味は教科書に書いてあるし。私、日本語教師なんですけど…って思ってたら、

 「俺も次の時間に補足説明しなくちゃ。」だって。なんだ。面白いポイントに気がつかなかったのが、悔しかったんだ^^

 面白いだけじゃなくて、誤解されるような使い方したらたいへんってほうが、私にはポイントなんだけどね。昔、フランス語を習ったとき、フランス人の先生はそういうの、ちゃんと教えてくれたから。

眠れる桃姫

2005-04-29 11:50:31 | 日本語の授業
 2年会話クラスで、いつもコントを作って笑わせてくれる女子グループのメンバー(2グループ合わせて9人)が、先週「私達、寸劇を準備したいんですけど。」と言ってきた。

 (^-^)これは女優としてはダメとは言えないよね。

 なので、試験の一週前の時間に彼女達の寸劇を上演することを許可しました。

 そしたら、昨日「台本を作ったので見てください。」とA4レポート用紙8枚の台本を渡されました。

 それが「眠れる桃姫」です。

   

 ある国の王様とお后様は、がんばっても、がんばっても子供が生まれませんでした。(ここは笑うところです^^)

 ある日お后様の女官が川で洗濯していると、大きな桃が、ドンブラコッコ、ドンブラコッコと流れて来ました。

「まぁまぁ!こんなに大きな桃を持って帰ったら、お后様はきっと私を褒め称えてくれるに違いない。」女官は桃を拾って、大事に抱えて、お后様のところへ持っていきました。

 お后様はその女官に真珠のネックレスを褒美として与えました。お后様と王様がさっそく、その桃を食べようと思って、城の中でも一番鋭くよく切れる包丁で
「えいやー!」と桃を切ると、

 オギャー!オギャー!

 中から、かわいい女の赤ちゃんが出てきました。
桃から生まれた赤ちゃんは桃姫と名づけられ、王様とお后様の娘として、育てられることになりました。

 さて、その晩、桃姫の誕生を祝いかつてないほど華やかなパーティーがとり行われました。

 パーティーには仙女達も招かれ、それぞれ桃姫が「バラのようにあでやかな頬」「錦のような艶を持つ黒髪」「善良な心」を持つように祈りました。

 しかし、ここにひとりの招かれざる客がやってきたのです。それは王様の元の愛人で、お后様の姉である巫女でした。巫女はこのパーティーに招かれなかったことと、王様の心変わりに腹を立て、

 「確かに桃姫は美人で心やさしい姫になるけれど、18歳の誕生日に豆腐の角に頭をぶつけて死ぬだろう!ははははは…!!」と呪いをかけました。

 王様とお后様が「あー、どうしよう、どうしよう」とおろおろしてしていると、それまで、ずっと食べてばかりで祈るのを忘れていた最後の仙女が、「大丈夫。幸いにも私がまだ祈っていなかった。…桃姫は死ぬわけではなく、ただ、ぐっすり眠ってしまうんです。そして、桃姫を心から愛する王子様がキスをすれば、桃姫は目覚めるでしょう。」

 このあと、国王は全国に命令を下しました。

「これから、この国では、豆をつくること、豆腐をつくること、売ることなど、豆腐に関することは一切禁止する!!」

 そうして、この国の豆腐の歴史は絶たれたのです。
ある日までは……   

 以下 略しますが、添削しながら、笑わせてもらいました!
このあとも、美しいけど、ちょっとおつむが弱い姫に育った桃姫や、カッコイイけど、実はプレイボーイの王子様などがでてきて、面白いです!

 あ、この寸劇には、私も「仙女2」として参加します。(だって、「お願いします」って言われたんだもん。^^)

 上演はまだ先ですが、また、報告しますね。お楽しみに^^。

『先生はどう思いますか?』

2005-04-21 21:47:30 | 日本語の授業
 昨日の朝、3年生のクラスで、授業の初めに
ひとりの男子学生から
「土曜日のデモについて、先生はどう思いますか。」と
聞かれました。

 あー、来たーこの質問…って思いました。

 私が、困った顔したもんだから、
前のほうの席の女の子たちが
(そんなこと聞かなくていいのに…)ってムードになりました。

 「あのデモの様子は日本のニュースで大きく伝えられましたから、私は日本の家族や、友達から、とても心配されています。もしかしたら、日本にいる人は、上海の人みんなが日本人を嫌いなんだと思ってしまったかもしれない。でも、違うよね。私は日本の家族や友達からのメールの返事に『大丈夫』と書いています。『私は』みなさんと仲良くしたいので、今日もよろしくお願いします。」

 そう言って、授業を始めました。そんな先生です、私。


 そして今日も。

 2年生の男子が、個人的に、
「このごろのこと どう思いますか?」って。
「僕は日本人留学生と話す機会が多いので……複雑な気持ちです。」
って言うの。まだ語彙が少ない2年生が、言葉を選んで言った
「複雑な気持ち」って中には、
いろんな気持ちが入ってるんだろうな。
そのあと、「何もできない、僕には。」って言うから、
「私だって、何もできないよ。ただ、日本の友達から来るメールには、私が思っていることを書いて、返事をしてる。あなたは、せっかく日本語が話せて、日本人と話す機会があるんだから、『仲良くしたい』って気持ちを伝えてあげてよ。」って言いました。彼、うーん…って顔してたけど。

 そして、「外を歩くとき、気をつけてください。」って。
それは、本当に心配してくれてるみたい。
「ありがとう。外で大声で日本語話さないようにするね^^」

 考えが甘いって言われてもいいです。こういう学生と日本人留学生が話すことから、中国と日本の関係が変わるかもしれないって、私は思います。