遠くから見ると小さな鏡のようだった。
奥深い森、ひと気のない湖。
奥深い森、ひと気のない湖。
失ったものは全部ここにある。虚構なのか現実なのかはどうでもよかった。
夕陽を隠す雲の端に星がひとつ煌めいて、獣の気配も、鳥の囀りさえもなく、ただ静かに湖面を雲が流れて行く。
つん、と指先で突いたみたいに、サファイアの雫が湖面を打った。
静かの極みにその音が響き渡り、波紋が澄み切った静黙を走る。
その波紋が僕の内側で大きく鳴って、やがて元の静寂に消えた。
僕は確かに受け取った。
「僕の在処」を。
夕陽を隠す雲の端に星がひとつ煌めいて、獣の気配も、鳥の囀りさえもなく、ただ静かに湖面を雲が流れて行く。
つん、と指先で突いたみたいに、サファイアの雫が湖面を打った。
静かの極みにその音が響き渡り、波紋が澄み切った静黙を走る。
その波紋が僕の内側で大きく鳴って、やがて元の静寂に消えた。
僕は確かに受け取った。
「僕の在処」を。
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