人間は、遠ざけることによって敬意を表現するようである。
例えば、昔、下々のものが偉い人に会うときは直接顔を見ることはできず、離れた位置から御簾(すだれ)越しに話をしたようである。
言葉も同じで、目的とする語にいろいろ付け加えることで、相手に対する敬意を表そうとするようだ。
例えば、「見る」が「ご覧いただく」になり、「あり」「おり」が「いまそかり」になるように(この2つ、言葉自身も変化しているが)。
最近あちこちで指摘されている語用法に「~の方」がある。
例えば、「お席を用意しました」が「お席の方を用意しました」など、なくてもよい「方」をやたらつける。
「お席の方角はどっちの方だ」などと内心毒づいている。
これは敬語をうまく使えない人たち(偉そうに言っている私もそうであるが)が、何とか敬意を表そうとして、冗長な「の方」という言葉を挟んでいるのではないかと思う。
「の方」を挟んでいる言葉の多くは、「の方」がなくても問題がない。
「の方」を多用している皆さん、一度、「の方」を付けづに話してみたらどうですか(結構心理的抵抗があると思いますいが)。
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