言葉は変化するものである。例えば、私が子供のころまでは、「ぜんぜん」は、「ない」と組であった(係受けていた)。いつ頃からかは判然としないが、「ぜんぜん」が独立した強調を表す言葉になり、「ない」と組でなくても使われるようになった。今では私もほぼ違和感なく「ぜんぜんきれい」などと使うようになった。
だから、私が違和感があるといって、言葉遣いにクレームをつけるのは、おかしいといえばおかしいのである。しかし、である。
今気になる言葉使いの1つに、「させていただく」というものがある。
例えば、「非常に努力させて頂きました。」などという。「非常に努力しました。」でいいのに。いやむしろこちらがいいのにである。
「させる」は、使役(誰かに何かをするように仕向けること)の動詞である。努力は自分がするものであり、誰かに強要されるものではない。
この「させる」が氾濫しまくっている。
原因は、メディアにあるように思う。
例えば、タレントや役者が、何かに出演したとき、「出演させていただきました」ということが多い。これは、本人の努力もさることながら、スポンサー、監督、スタッフなど、周りの皆の努力で出演することになったという気持ちが「出演させて」になるのだろう。このような言葉遣いがメディアを通して、四六時中流れる。そうすると、「させて」が丁寧な言葉遣いだと考えて、意味のないところで「させて」を多用するようになってきたのではないか。
言葉は変わる、とわかっていても、結構この言葉遣いにはイライラする。
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