ミュージカル「マドモアゼル・モーツァルト」本編です。
かなり長いです・・・
※ネタバレありです。
ただ、内容を知ってからステージを観てもとても楽しめると思います。(何度観ても、楽しめると思います。)
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
日時:2009/2/1(日)
バックステージツアー開始:11:15
開場:13:00/開演:13:30
会場:グリーンホール相模大野
上演:Rカンパニー
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
<あらすじ>
--------------------------------------------------
天才作曲家モーツァルトは、実は女の子だった!
名前は「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」ではなく「エリーザ」。
でも、時代は18世紀。
「女に作曲など出来ない」とされ、女性は宮廷音楽家になれなかった時代。
娘の才能を世に出そうと思ったモーツァルトの父レオポルドは、
なんと、エリーザの髪の毛を切り、男の子としてしまいます。
「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」の誕生です。
次から次へと才能を発揮して、注目を集めるモーツァルト。
しかし女であるにも関わらず、コンスタンツェの母によって
コンスタンツェと結婚させられてしまったモーツァルト。
男だけど実は女のモーツァルトと、コンスタンツェとの結婚生活。
実は女でありながら、そのことを隠して曲を作り続けた
モーツァルトの一生と、モーツァルトを取り巻く人々を描いています。
--------------------------------------------------
●音楽
ミュージカルの曲は小室哲哉が作曲していますが、
モーツァルトのミュージカルですから、モーツァルトの曲がたくさん出てきます。
スタッフの「音楽担当」の先頭には
「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」
と書かれています。
劇中で使われたモーツァルトの曲も、分かる限りで書いてみました。
●演奏
音楽の演奏は、基本は録音されたものなのですが、舞台上手の後ろ側のところに、ピアノとヴァイオリンの演奏者がいます。
録音された音楽のほかに、生の音が入る部分が劇中全般にあって、生のピアノとヴァイオリンが入ります。
●精霊たち
原作には登場しないらしいですが、ミュージカルには
モーツァルトを取り巻く14人の精霊たちが登場します。
精霊たちは
・劇中に最初から最後まで登場し、舞台の世界観を創り上げる。
・人間からは見えない(という設定)
・登場人物たちの気持ちを動作や歌で表現する(セリフは一切なし)
・グローブサークルに乗っている時は「音符」を表現していることがある
です。
精霊たちには台詞がありませんし、殆どのシーンで登場しているので、説明が難しいので、本当に「舞台を観てくださいっ!」としか言えないのですが、特徴あるシーンについては、説明を入れようかと思います。
精霊たちにはそれぞれ、モーツァルトの4つのオペラの登場人物の名前がついています。
・ケルビーノ(フィガロの結婚)
・スザンナ(フィガロの結婚)
・フィガロ(フィガロの結婚)
・ドン・ジョヴァンニ(ドン・ジョヴァンニ)
・ツェルリーナ(ドン・ジョヴァンニ)
・レポレッロ(ドン・ジョヴァンニ)
・グリエルモ(コシ・ファン・トゥッテ)
・フェランド(コシ・ファン・トゥッテ)
・フィオルデリージ(コシ・ファン・トゥッテ)
・ドラベッラ(コシ・ファン・トゥッテ)
・夜の女王(魔笛)
・タミーノ(魔笛)
・パパゲーナ(魔笛)
・ダーメ(魔笛)
各オペラの内容などはこちらをご参照ください。
・フィガロの結婚
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%AC%E3%83%AD%E3%81%AE%E7%B5%90%E5%A9%9A
・ドン・ジョヴァンニ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%8B
・コシ・ファン・トゥッテ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%82%B8%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%83%E3%83%86
・魔笛
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AD%94%E7%AC%9B
●幕開け
モーツァルトが亡くなり、亡骸がベッドに横たわり、
ベッドのそばでコンスタンツェが泣いているシーンから始まります。
ベッドの反対側には、モーツァルトの弟子のフランツと
劇場支配人シカネーダー。
「この部屋から出て行ってください・・・二人っきりにしてください・・・」
コンスタンツェのこの台詞の後、
精霊たちのコーラスで物語が始まります。
使われたモーツァルトの曲
レクイエム二短調から(涙の日)
●ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの誕生
「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の第2楽章の旋律に合わせて歌う、天真爛漫で可愛らしい少女エリーザが登場します。
エリーザはツェンバロの前に座り演奏を始めます。
最初は「キラキラ星」を弾いているのですが、その旋律に飽き足らず、どんどんと変奏していってしまうエリーザ。
エリーザに音楽を教えている父レオポルトは
「なぜ、楽譜通りに弾かないのだ!!」
と怒るのですが、すぐに
「ん?もしかして・・・即興で弾いているのか?!!」
と、娘の才能に驚きます。
「だって~こっちの方が楽しいんだもん!」
と、天真爛漫に即興で演奏を続けるエリーザ。
娘を宮廷音楽家にしたいと考えた父レオポルト。
しかし、女性は宮廷音楽家にはなれなかった時代。
父は娘を男の子にすることを考えます。
そして、彼女は父によって男の子とされ「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」が誕生します。
精霊たちがモーツァルトの誕生を祝います。
使われたモーツァルトの曲
アイネ・クライネ・ナハトムジーク(1楽章、2楽章)
きらきら星変奏曲
トルコ行進曲(ピアノソナタ11番第3楽章)
●コンスタンツェとの結婚
男性として成長したモーツァルトは、次々に曲を作曲していきます。
このころ住んでいた下宿の娘、コンスタンツェは、モーツァルトに想いを寄せています。
コンスタンツェは、何とかモーツァルトに想いを伝えたいのですが、なかなか伝わらず・・・
しかもモーツァルトは
「あ~結婚なんて無理無理、僕には結婚は向かないよ!」
と言う始末。
そこへ登場するコンスタンツェの母。
いかにも「下宿をやってるお母ちゃん」って感じの
貫録たっぷりのお母さんです。
(コンスタンツェの衣装のテーマカラーはピンクなのですが、
お母さんもピンクを着ています)
コンスタンツェとモーツァルトを結婚させようと思っていた母は、
半ば無理やり、結婚させてしまいます。
オペラ「フィガロの結婚」に合わせて、精霊たちが祝います。
精霊たちが結婚式を先導し、二人の結婚式が行われます。
(あくまでも精霊は人間からは見えません)
モーツァルトに想いを寄せていたコンスタンツェは喜びますが、
実は女なのに、女性と結婚してしまったモーツァルトは困惑するだけ。
コンスタンツェは初々しい新妻らしく、モーツァルトをベッドに誘ったり、
色々と喜ばせようとします。
コンスタンツェのテーマカラーであるピンク。
淡いピンクのナイトガウンを着たコンスタンツェが初々しいです。
が・・・その度にモーツァルトは
「あ~仕事仕事!」
と、ツェンバロに向かい、はぐらかすだけ・・・
そりゃ、そうですよね。。。
女であることを隠して結婚してしまったんですから、
普通の夫婦のようにはいきませんし、
モーツァルトだって困ってしまったでしょう。
最初は困惑していたコンスタンツェですが、
だんだんとイライラが募り、ついには爆発してしまいます。
そしてとうとう・・・モーツァルトは自分が女であることをコンスタンツェに明かします。
困惑するコンスタンツェ。
女であることを明かしたモーツァルトから
「君に・・・そばにいてほしい」
と言われ、うなずくコンスタンツェ。
彼女は誰にも秘密を漏らさず、隠し通します。
父親の欲から、男の子にされ、ついには女性と結婚してしまったモーツァルト。
彼の苦悩は続きます。
使われたモーツァルトの曲
フィガロの結婚(序曲、恋とはどんなものかしら)
●サリエリの登場
時が前後しますが・・・宮廷音楽家サリエリです。
自分は宮廷音楽家なのに、宮廷音楽家ではないモーツァルトに人気を持っていかれてしまったサリエリ。
(まだ、モーツァルトは宮廷音楽家にはなっていない)
モーツァルトの人気に嫉妬します。
ふとしたことから、サリエリは
「モーツァルトは女ではないか・・・?」
と思い始めます。
そして、恋人の歌姫カテリーナを使い、モーツァルトの正体を暴こうとたくらみます。
が、たくらみは失敗し、モーツァルトの正体は分からずに終わります。
●人気の落ち目と父の死
モーツァルトの人気が、次第に落ちてきます。
演奏会をやっても客は来なくてガラガラ。
そんな日々が続きます。
それと反対に、人気が出なかったサリエリは人気急上昇。
モーツァルトは
「なぜ?なぜ?」
を繰り返します。
サリエリは冷たく
「君の音楽は飽きられたのさ。世間は常に新しいものを求めている」
と言い放ちます。
そこへ、台本作家ダ・ポンテが、ドン・ジョヴァンニの台本を手に現れます。
「新しいオペラを書かないか?!」
ダ・ポンテの言葉に「ドン・ジョヴァンニ」を書き始めるモーツァルト。
「ドン・ジョヴァンニ」の「地獄」のシーンで、モーツァルトの父レオポルトが死んだと伝えられます。
この「地獄」のシーンには、実際に「ドン・ジョヴァンニ」に登場する「騎士長の石像」と、複数の「黒い影」が出てきます。
精霊タミーノは剣を振り回し、戦いが繰り広げられ、地獄のシーンが終わります。
「パパが・・・死んだ・・・」
●マドモアゼル・モーツァルト
モーツァルトの父レオポルトが死んだことによって、モーツァルトは
「僕は自由だ!もう男でいる必要なんかないんだ!」
と喜び、今度は「女性」となって登場します。
モーツァルトのテーマカラーであるブルーのドレスを着て
コンスタンツェと共に「女同士」で出かけます。
今まで男だったモーツァルト。
ドレスを着ても、男だった頃のように大股でズカズカと歩き、
コンスタンツェから
「もっと歩幅を小さく!おしとやかに!!背筋を伸ばしてっ!!」
と、ダメ出しを食らいます(笑)
出かけた先でサリエリ、カテリーナのカップルと遭遇したモーツァルトとコンスタンツェ。
モーツァルトは
「モーツァルトのいとこで、ザルツブルクから来ているエリーザ」
と紹介されますが、サリエリはエリーザに一目ぼれ(笑)
エリーザ(モーツァルト)に一目ぼれしたサリエリは、花束を持ってモーツァルトの家を訪ねます。
コンスタンツェが
「サリエリが来ちゃったわよ・・・」
と言うと
「彼が用があるのは、男?女?」
と聞き返します(笑)
サリエリにとって、モーツァルトはライバルですが、エリーザは一目惚れした素敵な女性。
サリエリは両方知っているわけですから、モーツァルトとしては、男として出ていくか、女として出ていくか、困りますよね(笑)
サリエリが
「エリーザさんはいらっしゃいますか?」
と聞くと
「うちは狭いので、私の実家に泊まってもらっていまして・・・」
と取り繕うコンスタンツェ。
すると続けてサリエリは
「では、ご主人にお会いしたいのですが」
全く忙しいったらありません(笑)
エリーザは「運命の人であり、結婚したい」と思うサリエリ。
しばらくしてサリエリがモーツァルトに打診します。
「宮廷音楽家の席が一つ空いたんだが、君を推薦しようと思う」
モーツァルトは喜びます。
が・・・
「その代り・・・エリーザ嬢によろしく伝えてほしい」
と。
「モーツアルト = エリーザ」
ですから、そんなこと言われても困っちゃいますよね(笑)
この辺の、モーツァルト、コンスタンツェ、サリエリのやり取りが、結構面白いです。
●子供ができた!
コンスタンツェに子供ができます。
でも、夫であるモーツァルトは女。
皆が祝福する中、モーツァルトの姉ナンネリはかなり困惑して祝福します。
ハッキリした事実は語られませんが、子供はおそらく、コンスタンツェの不倫相手で、モーツァルトの弟子であるフランツの子供。
フランツは
「お腹の子は、僕の子供ではないのか?」
と疑いますが、
「夫の子です!」
と言い通すコンスタンツェ。
夫が女であることを隠し、お腹の子どもの正体を隠し、疲れ果てたコンスタンツェ。
「あなたのせいで、いったいどれだけの人が振り回されてるのよ?!
生まれてくる子供が・・・可哀そう・・・」
と、嘆き悲しんでモーツァルトに当たると、彼は「僕だって、どうしたらいいかわからないんだ。。。」と答えます。
ただただ、音楽が大好きだった女の子エリーザ。
父親の欲によって、男の子にされたエリーザ。
もう、過去には戻れない。。。
●魔笛とモーツァルトの死
劇場支配人シカネーダーが、モーツァルトの前に現れます。
「新しいオペラを作ろう。貴族相手の堅苦しいのじゃなくて、もっと民衆に受けるものを!」
モーツァルトは、新しいオペラを書き始めます。
書いて、書いて・・・書いて書いて・・・次から次から湧き出てくる音を、音符を、ひたすら五線紙に書き続けます。
不眠不休で作業をするモーツァルトを心配するコンスタンツェ。
シカネーダーに
「少し、休むように言ってください」
と頼む彼女に
「いま、彼を止めてはいけない。書き続けるんだ」
とシカネーダー。
弟子のフランツの方が先にギブアップしてしまいますが、
モーツァルトは書き続けます。
そして、出来上がったオペラ「魔笛」。
上演は大成功。
民衆は、オペラのアリアを口ずさみながら帰っていきます。
大喜びするシカネーダーの元に、フラフラとよろめきながら現れるモーツァルト。
そのまま倒れ、帰らぬ人となってしまいます。
倒れたモーツァルトを助けるために、服を脱がせたシカネーダーは、モーツァルトが女であることを知ります。
が・・・黙ったまま、そっと服を着せて亡骸を運ぶシカネーダー。
モーツァルトの亡骸がベッドに横たわり、
シカネーダーとフランツがベッドの脇に、
反対側の脇に、コンスタンツェがひざまづいている最初のシーンに戻ります。
「この部屋から出て行ってください・・・二人っきりにしてください・・・」
●サリエリが観たまぼろし
雪が降る中、サリエリはエリーザに出会います。
しかしそれは、エリーザではなく、エリーザの幻(面影?)。
雪が降る中、天から白い羽が3枚落ちてきます。
最後の1枚を拾った時、サリエリはエリーザの正体に気づいたんでしょうか・・・?
●カーテンコール
カーテンコールは5回くらい掛かりました。
客席は、スタンディング・オベーションで半分くらいの人が立っていたと思います。
あちこちから「ブラボーッ!」の声が飛びます。
ずっとずっと鳴りやまない拍手に、何度も応えてくれた役者さんたち。
そして、ステージ上手で演奏していたヴァイオリン&ピアノ奏者の方たち。
本当に本当に、素晴らしいステージでした。
この「素晴らしさ」は、言葉では言い表せませんし、説明もうまくできません。
ミュージカルは、演技、音楽、ダンス、歌、照明、音響、大道具、演出・・・色々な要素で出来上がっていますが、どれをとっても「素晴らしい」の一言に尽きます。
精霊は台詞がない分、ダンスや歌が多いのですが、
精霊の方たちのダンスも、素晴らしかったです。
追加公演とかあれば、もう1度観たいです。
1度と言わず、2度、3度と観たいくらいですね。
Rカンパニーの方々、苦境の中、上演を決めてくださって、
そして素晴らしい舞台を観せてくださって、本当にありがとうございました。
3月には関西公演もありますが、頑張ってください
かなり長いです・・・
※ネタバレありです。
ただ、内容を知ってからステージを観てもとても楽しめると思います。(何度観ても、楽しめると思います。)
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
日時:2009/2/1(日)
バックステージツアー開始:11:15
開場:13:00/開演:13:30
会場:グリーンホール相模大野
上演:Rカンパニー
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
<あらすじ>
--------------------------------------------------
天才作曲家モーツァルトは、実は女の子だった!
名前は「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」ではなく「エリーザ」。
でも、時代は18世紀。
「女に作曲など出来ない」とされ、女性は宮廷音楽家になれなかった時代。
娘の才能を世に出そうと思ったモーツァルトの父レオポルドは、
なんと、エリーザの髪の毛を切り、男の子としてしまいます。
「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」の誕生です。
次から次へと才能を発揮して、注目を集めるモーツァルト。
しかし女であるにも関わらず、コンスタンツェの母によって
コンスタンツェと結婚させられてしまったモーツァルト。
男だけど実は女のモーツァルトと、コンスタンツェとの結婚生活。
実は女でありながら、そのことを隠して曲を作り続けた
モーツァルトの一生と、モーツァルトを取り巻く人々を描いています。
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●音楽
ミュージカルの曲は小室哲哉が作曲していますが、
モーツァルトのミュージカルですから、モーツァルトの曲がたくさん出てきます。
スタッフの「音楽担当」の先頭には
「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」
と書かれています。
劇中で使われたモーツァルトの曲も、分かる限りで書いてみました。
●演奏
音楽の演奏は、基本は録音されたものなのですが、舞台上手の後ろ側のところに、ピアノとヴァイオリンの演奏者がいます。
録音された音楽のほかに、生の音が入る部分が劇中全般にあって、生のピアノとヴァイオリンが入ります。
●精霊たち
原作には登場しないらしいですが、ミュージカルには
モーツァルトを取り巻く14人の精霊たちが登場します。
精霊たちは
・劇中に最初から最後まで登場し、舞台の世界観を創り上げる。
・人間からは見えない(という設定)
・登場人物たちの気持ちを動作や歌で表現する(セリフは一切なし)
・グローブサークルに乗っている時は「音符」を表現していることがある
です。
精霊たちには台詞がありませんし、殆どのシーンで登場しているので、説明が難しいので、本当に「舞台を観てくださいっ!」としか言えないのですが、特徴あるシーンについては、説明を入れようかと思います。
精霊たちにはそれぞれ、モーツァルトの4つのオペラの登場人物の名前がついています。
・ケルビーノ(フィガロの結婚)
・スザンナ(フィガロの結婚)
・フィガロ(フィガロの結婚)
・ドン・ジョヴァンニ(ドン・ジョヴァンニ)
・ツェルリーナ(ドン・ジョヴァンニ)
・レポレッロ(ドン・ジョヴァンニ)
・グリエルモ(コシ・ファン・トゥッテ)
・フェランド(コシ・ファン・トゥッテ)
・フィオルデリージ(コシ・ファン・トゥッテ)
・ドラベッラ(コシ・ファン・トゥッテ)
・夜の女王(魔笛)
・タミーノ(魔笛)
・パパゲーナ(魔笛)
・ダーメ(魔笛)
各オペラの内容などはこちらをご参照ください。
・フィガロの結婚
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%AC%E3%83%AD%E3%81%AE%E7%B5%90%E5%A9%9A
・ドン・ジョヴァンニ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%8B
・コシ・ファン・トゥッテ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%82%B8%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%83%E3%83%86
・魔笛
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AD%94%E7%AC%9B
●幕開け
モーツァルトが亡くなり、亡骸がベッドに横たわり、
ベッドのそばでコンスタンツェが泣いているシーンから始まります。
ベッドの反対側には、モーツァルトの弟子のフランツと
劇場支配人シカネーダー。
「この部屋から出て行ってください・・・二人っきりにしてください・・・」
コンスタンツェのこの台詞の後、
精霊たちのコーラスで物語が始まります。
使われたモーツァルトの曲
レクイエム二短調から(涙の日)
●ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの誕生
「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の第2楽章の旋律に合わせて歌う、天真爛漫で可愛らしい少女エリーザが登場します。
エリーザはツェンバロの前に座り演奏を始めます。
最初は「キラキラ星」を弾いているのですが、その旋律に飽き足らず、どんどんと変奏していってしまうエリーザ。
エリーザに音楽を教えている父レオポルトは
「なぜ、楽譜通りに弾かないのだ!!」
と怒るのですが、すぐに
「ん?もしかして・・・即興で弾いているのか?!!」
と、娘の才能に驚きます。
「だって~こっちの方が楽しいんだもん!」
と、天真爛漫に即興で演奏を続けるエリーザ。
娘を宮廷音楽家にしたいと考えた父レオポルト。
しかし、女性は宮廷音楽家にはなれなかった時代。
父は娘を男の子にすることを考えます。
そして、彼女は父によって男の子とされ「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」が誕生します。
精霊たちがモーツァルトの誕生を祝います。
使われたモーツァルトの曲
アイネ・クライネ・ナハトムジーク(1楽章、2楽章)
きらきら星変奏曲
トルコ行進曲(ピアノソナタ11番第3楽章)
●コンスタンツェとの結婚
男性として成長したモーツァルトは、次々に曲を作曲していきます。
このころ住んでいた下宿の娘、コンスタンツェは、モーツァルトに想いを寄せています。
コンスタンツェは、何とかモーツァルトに想いを伝えたいのですが、なかなか伝わらず・・・
しかもモーツァルトは
「あ~結婚なんて無理無理、僕には結婚は向かないよ!」
と言う始末。
そこへ登場するコンスタンツェの母。
いかにも「下宿をやってるお母ちゃん」って感じの
貫録たっぷりのお母さんです。
(コンスタンツェの衣装のテーマカラーはピンクなのですが、
お母さんもピンクを着ています)
コンスタンツェとモーツァルトを結婚させようと思っていた母は、
半ば無理やり、結婚させてしまいます。
オペラ「フィガロの結婚」に合わせて、精霊たちが祝います。
精霊たちが結婚式を先導し、二人の結婚式が行われます。
(あくまでも精霊は人間からは見えません)
モーツァルトに想いを寄せていたコンスタンツェは喜びますが、
実は女なのに、女性と結婚してしまったモーツァルトは困惑するだけ。
コンスタンツェは初々しい新妻らしく、モーツァルトをベッドに誘ったり、
色々と喜ばせようとします。
コンスタンツェのテーマカラーであるピンク。
淡いピンクのナイトガウンを着たコンスタンツェが初々しいです。
が・・・その度にモーツァルトは
「あ~仕事仕事!」
と、ツェンバロに向かい、はぐらかすだけ・・・
そりゃ、そうですよね。。。
女であることを隠して結婚してしまったんですから、
普通の夫婦のようにはいきませんし、
モーツァルトだって困ってしまったでしょう。
最初は困惑していたコンスタンツェですが、
だんだんとイライラが募り、ついには爆発してしまいます。
そしてとうとう・・・モーツァルトは自分が女であることをコンスタンツェに明かします。
困惑するコンスタンツェ。
女であることを明かしたモーツァルトから
「君に・・・そばにいてほしい」
と言われ、うなずくコンスタンツェ。
彼女は誰にも秘密を漏らさず、隠し通します。
父親の欲から、男の子にされ、ついには女性と結婚してしまったモーツァルト。
彼の苦悩は続きます。
使われたモーツァルトの曲
フィガロの結婚(序曲、恋とはどんなものかしら)
●サリエリの登場
時が前後しますが・・・宮廷音楽家サリエリです。
自分は宮廷音楽家なのに、宮廷音楽家ではないモーツァルトに人気を持っていかれてしまったサリエリ。
(まだ、モーツァルトは宮廷音楽家にはなっていない)
モーツァルトの人気に嫉妬します。
ふとしたことから、サリエリは
「モーツァルトは女ではないか・・・?」
と思い始めます。
そして、恋人の歌姫カテリーナを使い、モーツァルトの正体を暴こうとたくらみます。
が、たくらみは失敗し、モーツァルトの正体は分からずに終わります。
●人気の落ち目と父の死
モーツァルトの人気が、次第に落ちてきます。
演奏会をやっても客は来なくてガラガラ。
そんな日々が続きます。
それと反対に、人気が出なかったサリエリは人気急上昇。
モーツァルトは
「なぜ?なぜ?」
を繰り返します。
サリエリは冷たく
「君の音楽は飽きられたのさ。世間は常に新しいものを求めている」
と言い放ちます。
そこへ、台本作家ダ・ポンテが、ドン・ジョヴァンニの台本を手に現れます。
「新しいオペラを書かないか?!」
ダ・ポンテの言葉に「ドン・ジョヴァンニ」を書き始めるモーツァルト。
「ドン・ジョヴァンニ」の「地獄」のシーンで、モーツァルトの父レオポルトが死んだと伝えられます。
この「地獄」のシーンには、実際に「ドン・ジョヴァンニ」に登場する「騎士長の石像」と、複数の「黒い影」が出てきます。
精霊タミーノは剣を振り回し、戦いが繰り広げられ、地獄のシーンが終わります。
「パパが・・・死んだ・・・」
●マドモアゼル・モーツァルト
モーツァルトの父レオポルトが死んだことによって、モーツァルトは
「僕は自由だ!もう男でいる必要なんかないんだ!」
と喜び、今度は「女性」となって登場します。
モーツァルトのテーマカラーであるブルーのドレスを着て
コンスタンツェと共に「女同士」で出かけます。
今まで男だったモーツァルト。
ドレスを着ても、男だった頃のように大股でズカズカと歩き、
コンスタンツェから
「もっと歩幅を小さく!おしとやかに!!背筋を伸ばしてっ!!」
と、ダメ出しを食らいます(笑)
出かけた先でサリエリ、カテリーナのカップルと遭遇したモーツァルトとコンスタンツェ。
モーツァルトは
「モーツァルトのいとこで、ザルツブルクから来ているエリーザ」
と紹介されますが、サリエリはエリーザに一目ぼれ(笑)
エリーザ(モーツァルト)に一目ぼれしたサリエリは、花束を持ってモーツァルトの家を訪ねます。
コンスタンツェが
「サリエリが来ちゃったわよ・・・」
と言うと
「彼が用があるのは、男?女?」
と聞き返します(笑)
サリエリにとって、モーツァルトはライバルですが、エリーザは一目惚れした素敵な女性。
サリエリは両方知っているわけですから、モーツァルトとしては、男として出ていくか、女として出ていくか、困りますよね(笑)
サリエリが
「エリーザさんはいらっしゃいますか?」
と聞くと
「うちは狭いので、私の実家に泊まってもらっていまして・・・」
と取り繕うコンスタンツェ。
すると続けてサリエリは
「では、ご主人にお会いしたいのですが」
全く忙しいったらありません(笑)
エリーザは「運命の人であり、結婚したい」と思うサリエリ。
しばらくしてサリエリがモーツァルトに打診します。
「宮廷音楽家の席が一つ空いたんだが、君を推薦しようと思う」
モーツァルトは喜びます。
が・・・
「その代り・・・エリーザ嬢によろしく伝えてほしい」
と。
「モーツアルト = エリーザ」
ですから、そんなこと言われても困っちゃいますよね(笑)
この辺の、モーツァルト、コンスタンツェ、サリエリのやり取りが、結構面白いです。
●子供ができた!
コンスタンツェに子供ができます。
でも、夫であるモーツァルトは女。
皆が祝福する中、モーツァルトの姉ナンネリはかなり困惑して祝福します。
ハッキリした事実は語られませんが、子供はおそらく、コンスタンツェの不倫相手で、モーツァルトの弟子であるフランツの子供。
フランツは
「お腹の子は、僕の子供ではないのか?」
と疑いますが、
「夫の子です!」
と言い通すコンスタンツェ。
夫が女であることを隠し、お腹の子どもの正体を隠し、疲れ果てたコンスタンツェ。
「あなたのせいで、いったいどれだけの人が振り回されてるのよ?!
生まれてくる子供が・・・可哀そう・・・」
と、嘆き悲しんでモーツァルトに当たると、彼は「僕だって、どうしたらいいかわからないんだ。。。」と答えます。
ただただ、音楽が大好きだった女の子エリーザ。
父親の欲によって、男の子にされたエリーザ。
もう、過去には戻れない。。。
●魔笛とモーツァルトの死
劇場支配人シカネーダーが、モーツァルトの前に現れます。
「新しいオペラを作ろう。貴族相手の堅苦しいのじゃなくて、もっと民衆に受けるものを!」
モーツァルトは、新しいオペラを書き始めます。
書いて、書いて・・・書いて書いて・・・次から次から湧き出てくる音を、音符を、ひたすら五線紙に書き続けます。
不眠不休で作業をするモーツァルトを心配するコンスタンツェ。
シカネーダーに
「少し、休むように言ってください」
と頼む彼女に
「いま、彼を止めてはいけない。書き続けるんだ」
とシカネーダー。
弟子のフランツの方が先にギブアップしてしまいますが、
モーツァルトは書き続けます。
そして、出来上がったオペラ「魔笛」。
上演は大成功。
民衆は、オペラのアリアを口ずさみながら帰っていきます。
大喜びするシカネーダーの元に、フラフラとよろめきながら現れるモーツァルト。
そのまま倒れ、帰らぬ人となってしまいます。
倒れたモーツァルトを助けるために、服を脱がせたシカネーダーは、モーツァルトが女であることを知ります。
が・・・黙ったまま、そっと服を着せて亡骸を運ぶシカネーダー。
モーツァルトの亡骸がベッドに横たわり、
シカネーダーとフランツがベッドの脇に、
反対側の脇に、コンスタンツェがひざまづいている最初のシーンに戻ります。
「この部屋から出て行ってください・・・二人っきりにしてください・・・」
●サリエリが観たまぼろし
雪が降る中、サリエリはエリーザに出会います。
しかしそれは、エリーザではなく、エリーザの幻(面影?)。
雪が降る中、天から白い羽が3枚落ちてきます。
最後の1枚を拾った時、サリエリはエリーザの正体に気づいたんでしょうか・・・?
●カーテンコール
カーテンコールは5回くらい掛かりました。
客席は、スタンディング・オベーションで半分くらいの人が立っていたと思います。
あちこちから「ブラボーッ!」の声が飛びます。
ずっとずっと鳴りやまない拍手に、何度も応えてくれた役者さんたち。
そして、ステージ上手で演奏していたヴァイオリン&ピアノ奏者の方たち。
本当に本当に、素晴らしいステージでした。
この「素晴らしさ」は、言葉では言い表せませんし、説明もうまくできません。
ミュージカルは、演技、音楽、ダンス、歌、照明、音響、大道具、演出・・・色々な要素で出来上がっていますが、どれをとっても「素晴らしい」の一言に尽きます。
精霊は台詞がない分、ダンスや歌が多いのですが、
精霊の方たちのダンスも、素晴らしかったです。
追加公演とかあれば、もう1度観たいです。
1度と言わず、2度、3度と観たいくらいですね。
Rカンパニーの方々、苦境の中、上演を決めてくださって、
そして素晴らしい舞台を観せてくださって、本当にありがとうございました。
3月には関西公演もありますが、頑張ってください