しまねこのアルバム

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100万回生きたねこは、きっと鎮魂のためだね。

2021-10-21 18:49:12 | Weblog
家の冬囲いを取り付けたので
居間が暖かくなった。

母親は寒い寒いという
歳を取るとは そういう物なのかもしれない。

家の周りには灰色の野良猫が一匹居る。
そいつはあまり歳を取っていないだろうけど
もうガリガリに痩せている。
今年の冬は越せそうもない。
野良猫の寿命は短い。

そいつのための冬囲いでもある。
寒さは完全に防げないだろうけど
囲いの中にはダンボールハウスがいくつもある。
その近くに餌を置くことにする。

これからは寒くなる一方だけど
せめて暖かい夢でも見て欲しい。


家猫として生きる物と
野良猫として疎まれる物。
ほんの僅かな運命の境が
こんなにも両極に分かれてしまうことを
感じる必要も無いと思いながら
私たちは野良猫を追い立てる。

野良猫は野良猫に生まれたかっただろうか?
人間なら某かの補助を受けて生きられるだろう
でも野良猫は辛くて短い一生を終える。

命がけで闘いながら餌を確保し、なんとか生き延びる。
病気をすれば簡単に命を落とす。
それを自由気ままとは言わない。


昔、ハヤブサと名付けられた大きな野良猫が居た。
強い猫で、近所の飼い猫を虐めるために
みんなから追い立てられ、石を投げられた。

冬の寒い日の夜
私は雪が積もらない場所に餌を置いてやった。
深夜にカリカリという音がしたが
おそらくはハヤブサが餌を食っていたのだろう。

そして私は餌を置いたり置かなかったり
あまり気にも留めずに居た。
雪が深深と降る夜
外灯を点けてみると、頭に山のように雪を積もらせ
餌置き場で待っているハヤブサが居た。

私が餌を置かないときでも、何時間も待っていたのだろう。
猫なら雪は苦手だろうに
それより生きるための手段を選んでいたと言う事だ。

ハヤブサも若くして見かけなくなった。
人に懐かない猫だったので
どこかで死んでしまったのだろう。

家猫と野良猫
その境は運命なのかもしれない
でも宿命ではないと思う。

私が灰色猫のために餌を置くのは
そんな線引きを自分が受けたら
きっと欲しいのは餌だろうから。

家猫以外の短くて過酷な一生に
気を止める人間も居て良いと思う。