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大怪獣オチラ 弐

2007年09月26日 | 大怪獣 オチラ(全六話完結)
 軍隊を持つ主要国は、予測不可能なオチラは一国では対処しかねるとの素早い判断の下、国連を中心として対オチラ用多国籍軍を編成した。当面の敵はオチラと言う事となり、各国は軍事機密を包み隠さず提供し合い、最強の軍団を形成したのだった。
 アラスカの某海岸で最初の対オチラ用合同軍事演習が行われた。世界へ安心と信頼を与える為との理由で、演習の模様を全世界同時衛星中継全世界同時通訳付きで行う事となった。だが、その最中に遠浅の海底から地震を伴ってオチラが出現した。
 海軍は発生した津波でほぼ壊滅、地震は陸地にまで伝わり陸軍は立ち往生となり肝心の兵器が使えず、上陸したオチラに踏み潰し回された。地震の影響を受けない空軍が攻撃を仕掛けたが、ミサイルはオチラには全く効かず、逆にオチラの口から吐かれた怪光線を浴びて全滅してしまった。
 この事件は世界中に「オチラは軍隊では倒せない」との軍備に対する強い不信感を人々に植え付けた。
 そんな中、ドイツの生物学者カール・ホーヒマイスターがオチラ退治の方法を発見したと発表した。世界が快哉を叫び、その発表記者会見を全世界同時衛星中継全世界同時通訳付きで行う事となった。
 会見当日、全世界が固唾を飲んでテレビに見入っていた。ホーヒマイスターが「さて、世界中の皆さん!」と語り出した途端、突然、映像が消えてしまった。会場真下からオチラが出現した為だった。ホーヒマイスターはじめその場にいた全ての人が犠牲となった。オチラ退治法は解らず仕舞いとなってしまった。
 さて、軍事演習の時と言い、記者会見の時と言い、タイミングよく出現するオチラには予知能力があるとの噂が流れ始めた。また、一部の人々は、あの様な予知能力は神が与えたものだとか、オチラを人類に警鐘を与える為に神が具現化した姿だとか言い出し、ついには「オチラ教」を創設するに至った。
 オチラによって命を奪われると極楽浄土へ行けると言うのが教義だった。信者は着実に増えていった。しかし、信者が増えるに従い、内部分裂が起こり始めた。ある一派はとにかく命を奪われれば良いと教え、別の一派はオチラに踏まれなければならないとし、さらには最初に踏まれた保安官は右足だったので右足でなければならないと言い出す一派も現れた。
 だが、神の様な予知能力に関して、決して宗教的な見方をしている者達だけではなかった。予知能力がある、すなわち、オチラには知性があるのではないか、との仮説を立てた科学者の一団がいた。


次回「大怪獣オチラ 参」の驚天動地の展開を待て!

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