26
手術室に幾つもの最新鋭の機器が運び込まれていた。
「すごいですね、ハリー先生」看護師は感心したように言い、機器の周囲を見回した。「ですが、どこにも取扱説明書がありませんが・・・」
「使い方なんて良いんだよ」ハリーは機器の一つをぽんと叩いた。「これらは手術が失敗した時の言い訳さ。『これだけの装置を駆使したんですが』ってね」
27
「今日の手術は何人の予定かな?」
ハリーは看護師に聞いた。看護師は予定表を見ながら数え始めた。
「ハリー先生、ちょうど五人です」
「そうか・・・」ハリーは暗い顔で答えた。「今日は二人か・・・」
五人に二人――ハリーの手術失敗の確率だった。
28
「ハリー先生! 是非、娘を助けてください!」
「分かりました。では大至急、娘さんの担当を僕以外に替えてもらいましょう」
29
病室で、ハリーの手術を受けた患者に、別の患者が言った。
「ハリー先生は、患者の体内によく忘れ物をするんだ」
「まさかぁ!」
「実際、オレは、おなかにハリー先生の腕時計が残されていたんだ」
「本当かい?」
「ハリー先生が、ひょっこりここに来て、腕をぶらぶらさせて『誰か僕の腕時計知らないかい?』って言い出したのが始まりさ。その後が大騒ぎでね。死ぬかと思ったよ・・・」
そこへハリーが、片足跳びをしながらやって来て、靴下の足をぶらぶらさせながら言った。
「誰か僕の靴を知らないかい?」
30
ハリーはどんな手術にでも、怖気づく事なく立ち向かう。
ハリーは困難な手術であればあるほど、その闘志を燃え立たせる。
ただ、腕が伴なわないだけだ。
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手術室に幾つもの最新鋭の機器が運び込まれていた。
「すごいですね、ハリー先生」看護師は感心したように言い、機器の周囲を見回した。「ですが、どこにも取扱説明書がありませんが・・・」
「使い方なんて良いんだよ」ハリーは機器の一つをぽんと叩いた。「これらは手術が失敗した時の言い訳さ。『これだけの装置を駆使したんですが』ってね」
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「今日の手術は何人の予定かな?」
ハリーは看護師に聞いた。看護師は予定表を見ながら数え始めた。
「ハリー先生、ちょうど五人です」
「そうか・・・」ハリーは暗い顔で答えた。「今日は二人か・・・」
五人に二人――ハリーの手術失敗の確率だった。
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「ハリー先生! 是非、娘を助けてください!」
「分かりました。では大至急、娘さんの担当を僕以外に替えてもらいましょう」
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病室で、ハリーの手術を受けた患者に、別の患者が言った。
「ハリー先生は、患者の体内によく忘れ物をするんだ」
「まさかぁ!」
「実際、オレは、おなかにハリー先生の腕時計が残されていたんだ」
「本当かい?」
「ハリー先生が、ひょっこりここに来て、腕をぶらぶらさせて『誰か僕の腕時計知らないかい?』って言い出したのが始まりさ。その後が大騒ぎでね。死ぬかと思ったよ・・・」
そこへハリーが、片足跳びをしながらやって来て、靴下の足をぶらぶらさせながら言った。
「誰か僕の靴を知らないかい?」
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ハリーはどんな手術にでも、怖気づく事なく立ち向かう。
ハリーは困難な手術であればあるほど、その闘志を燃え立たせる。
ただ、腕が伴なわないだけだ。
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