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シュタークスミス博士の大発明 3 ―ザ・タイムマシン―

2007年10月28日 | シュタークスミス博士(一話完結連載中)
「大発明だ!」シュタークスミス博士は叫んだ。「これで人類誕生に謎が解けるぞ!」
 博士の発明したものは、ひじ掛けの部分に色々なボタンやレバーが付いた、ふかふかの座り心地の良さそうな椅子だった。
「これぞ、長旅専用のタイムマシンだ。言ってみればファーストクラス・タイムマシンって所かな」
 博士はかねてより交わされていた論争「進化か創造か」に、まさに論より証拠を持ち込むつもりだった。
 ただ、博士の計算では証拠がつかめるまで過去にさかのぼるには相当な時間がかかるため、長時間ゆったりと座っていられるタイプのタイムマシンが必要だったのだ。
「では、さっそく過去へ行ってみよう」
 博士は椅子に座り、レバーやボタンを操作した。タイムマシンは微かな音をたてながら作動し始めた。
 研究室の壁や床がゆがみ始め、あちこちに散らばっている研究機材の輪郭が滲み出した。しばらくすると、音も聞こえなくなり、周りは闇になった。
「計算ではあと七百八十二時間と三十六分五十一秒だ・・・」
 博士は腕時計のデジタル表示を見ながらつぶやいた。
 しかし、何時まで経っても無音と闇が続いた。博士は腕時計を見ては溜息をついたり、舌打ちをしたりを繰り返した。やがて、博士は再びレバーやボタンを操作し始めた。
「だめだ! だめだ!」博士は元の時間に戻ってきて、タイムマシンを降りて叫んだ。「移動中がこんな無音と闇ばかりでは、とても神経が持たないなぁ」
 博士は残念そうに言ってタイムマシンを軽く蹴飛ばした。
 だが、博士は気付いていなかった。博士のタイムマシンは高性能すぎたのだ。
 一気に過去へと飛び進み、宇宙が誕生するはるか前に行ってしまっていたのだった。

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