お話

日々思いついた「お話」を思いついたまま書く

シュタークスミス博士の大発明 4 ―おぼれぬ者は・・・―

2007年12月12日 | シュタークスミス博士(一話完結連載中)
「大発明だ!」シュタークスミス博士は叫んだ。「これで水の事故は防げるぞ」
 博士の発明したものは、小さなスプレー缶だった。この中の気体を自分にかけると、水中から酸素を取り入れることが出来るようになる。だから、万一水の中に落ちたとしても、おぼれてしまう事はない。
「では、さっそく実験してみよう」
 博士は、この日のために新調した黒い水泳パンツに着替え、地下実験室に作っておいた深さ二十メートルほどのプールのふちに立った。
 スプレーを自分の顔に向けてかけ、プールの中へ飛び込んだ。
 博士はそのままプールの底までゆっくりと沈んで行った。
「思った通りだ。地上にいるのと同じに呼吸が出来るぞ。このスプレーは水中作業用にも使えそうだ」
 博士は戻ろうとして、はっと気付いた。博士は泳げないのだ。手足を必死にばたばたさせたが、少しも浮かんで行かない。
「こりゃあ、泳ぎの出来ない人には使えないなぁ・・・」
 博士はプールの底に座り込んでしまった。

にほんブログ村 小説ブログへ


にほんブログ村 小説ブログ SF小説へ

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 大怪獣オチラ 対 宇宙怪獣... | トップ | シュタークスミス博士の大発... »

コメントを投稿

シュタークスミス博士(一話完結連載中)」カテゴリの最新記事