思い付きブログ

「新聞記者」感想。世の中には知らない方が幸せなことってありますが、知らなかったのは自己責任な例

【ネタバレ】

◎「新聞記者」

「この国に"新聞記者"は必要なのか」

2019年6月28日(金)公開、藤井道人監督、詩森ろば、高石明彦、藤井道人脚本、望月衣塑子原案、113分。

吉岡エリカ(シム・ウンギョン)、杉原拓海(松坂桃李) 、杉原奈津美(本田翼)、倉持大輔(岡山天音)、関戸保(郭智博)、河合真人(長田成哉)、神崎千佳(宮野陽名)、都築亮一(高橋努)、神崎伸子(西田尚美)、神崎俊尚(高橋和也)、陣野和正(北村有起哉)、多田智也(田中哲司)、望月衣塑子、前川喜平、マーティン・ファクラーなど。

世の中には、知らない方が幸せなことはありますが、ほんの少しの努力で知ることが出来ることを知らないことによる不利益は、自己責任でしょう。
本作はフィクションですが、そういうようなことが起きていることに気づかないのは、知らない方が幸せな一例です。


そう言えば、現在の政治・社会情勢の中で、本作をよく作れたな、よく公開できたな、という声を聞きますが、この程度のものが単発ではなくコンスタントに作って公開できないようでは、それこそ、この国の民主主義はカタチだけだという証明ですよ。
(この国の民主主義がカタチだけなことに気づいていないのも、知らない方が幸せな一例かも知れませんが。)

(公式HPから)
「権力とメディアの“たった今”を描く、
前代未聞のサスペンス・エンタテイメント!
一人の新聞記者の姿を通して報道メディアは権力にどう対峙するのかを問いかける衝撃作。
東京新聞記者・望月衣塑子のベストセラー『新聞記者』を“原案”に、政権がひた隠そうとする権力中枢の闇に迫ろうとする女性記者と、理想に燃え公務員の道を選んだある若手エリート官僚との対峙・葛藤を描いたオリジナルストーリー。
主演は韓国映画界の至宝 シム・ウンギョンと、人気実力ともNo.1俳優 松坂桃李。 」

「東都新聞記者・吉岡(シム・ウンギョン)のもとに、大学新設計画に関する極秘情報が匿名FAXで届いた。
日本人の父と韓国人の母のもとアメリカで育ち、ある思いを秘めて日本の新聞社で働いている彼女は、真相を究明すべく調査をはじめる。
一方、内閣情報調査室官僚・杉原(松坂桃李)は葛藤していた。
「国民に尽くす」という信念とは裏腹に、与えられた任務は現政権に不都合なニュースのコントロール。愛する妻の出産が迫ったある日彼は、久々に尊敬する昔の上司・神崎と再会するのだが、その数日後、神崎はビルの屋上から身を投げてしまう。
真実に迫ろうともがく若き新聞記者。「闇」の存在に気付き、選択を迫られるエリート官僚。
二人の人生が交差するとき、衝撃の事実が明らかになる!
現在進行形のさまざまな問題をダイレクトに射抜く、これまでの日本映画にない新たな社会派エンタテインメント!
あなたは、この映画を、信じられるか──?」

・新宿ピカデリー

・新聞広告




○ 内閣官房の内閣情報調査室(内調、CIRO(さいろ))というのは日本版CIA(モドキ)を目指していたので、アメリカのCIAのように、情報収集・分析はもちろん、情報操作、フェイク(でっち上げ)情報を流す、自殺や事故にみせかけた暗殺もしているのかなあ、でも人数が少ない等から全部は出来ないだろうな、例えば、暗殺はしていないか、していても他組織や民間にさせているのだろうな、情報操作やフェイク情報を流すことも他組織や(依頼主を隠して)民間にある程度を依頼しているのだろうな、と思っていました。

今でも日本版CIAを目指しているのかは知りません。
(表向きは目指していないはずですが、裏でどう思っているのかは知りません。)

どの道、スパイ組織なので、実際に行なっていることの全てが明らかになることはありませんし、明らかになったことが本当かすら明らかではありません。
汚れ仕事を他組織や民間にさせているかどうかは明示されませんでしたが、政権からみのスキャンダルは実際の事件をモチーフにしつつ、内調のお仕事と新聞記者のお仕事をフィクションとして描いています。


○ 全編にわたって緊迫感のある映像で、それは、主に以下の2点によります。
・現実の内調のバックには当然に内閣総理大臣がいるわけですが、政治家を出さないところ。
・内調の幹部が部下の杉原拓海を脅すときに、仮に録音していても脅しではないと言い逃れできるように言うところ。


ヤクザの親分が明確な指示をしなくても、子分たちはどういう意図かを理解して犯罪をする、しかし、親分の指示という証拠はないから子分は刑務所行きでも親分を有罪にするには苦労する、という構図と同じようなものです。
得体の知れない恐怖、と言えばいいのでしょうか(うまい言葉が見つかりませんが。)。

そういうシーンが多く、モヤモヤするわけです。得体の知れない恐怖というものがそういうものだと知らない人は、より恐怖感を感じるかもしれませんし、ピンと来ないかもしれません。
(例えば、「子供が生まれるそうだね、おめでとう」と言われたとして、それは、「これ以上詮索をすると、子供か妻に危害を加えるか殺すよ」という意味なのです。)


○ 新聞記者の吉岡が追うメインの政権スキャンダルは現実的には少し弱いのですが(現実のスキャンダルをモチーフにしていますが異なるもので、現実のスキャンダルと違ってスキャンダルとしてのリアリティが不足しています。)、それは本題ではないので、内調や権力の得体の知れない恐ろしさを描いていると思えば良いと思います。

・なお、吉岡はアメリカで生まれ育って日本語より英語の方が得意な設定なので、日本語の少したどたどしい話し方は相応しいところです。


○ 吉岡と杉原を交互に映し、どうなるかを客に考えさせるラストは、あれだけ脅されて真実を明らかにしろと杉原に言うのは酷な面があります。

それを含めて、どうするか、吉岡と杉原と国民はどうすべきか、ということでしょう。



【shin】
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「★映画、ドラマ、小説とか」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事