ドラマ「ビブリア古書堂の事件手帖」 古書の扱いが雑では・・・

◎　「ビブリア古書堂の事件手帖」

　今冬の、フジテレビの月9ドラマ。
　原作は人気の、軽めの小説らしいです。勿論、未読です。

　ドラマはあまり見ませんが、古書を題材にした、比較的日常の謎解きということで、高校の日常の謎解きをする「氷菓」（2012年春夏アニメ）が楽しかったことから、取り敢えず見てみようと。


　感想を書く気は無かったのですが、まだ何話かあるようですが、ドラマ内での古書の持ち方や扱いが気になったので、感想というよりはそれについて。

　因みに、私は古書や新本は結構持っていますが、コレクターでも研究者でもないので、初版本とか絶版本とか貴重本とか、そういうものには興味はありません。


○　6話で、剛力彩芽さん演じる篠川栞子が、太宰治の350万円もする短編集「晩年」を、ハシの方を片手で持っていたところとか。

　ハードカバーではないので、本がしなっています。

　古い本は、背表紙のノリが弱くなっていたり、背表紙の糸が切れやすくなっている場合もあるので、しならせると本が傷みます。


○　7話で、100万円単位の値が付く漫画「UTOPIA　最後の世界大戦」も、本好きではない持ち主が片手で本を持つのは仕方ないとしても、親指を本の端っこにかけるとは、本の端が傷みます。

　ただ、彼は、本の値段を栞子から聞いていましたが、本好きと言うわけではないので、そういう持ち方もありでしょう（テレビ的演出として本の題名を見せたかったのでしょうけれど、だったら両手に置くような感じで持てば良いのですが。）。


　一方、栞子がその本を読むとき、片手に本を持って、もう片手でページをめくるところ。
　片手で本をめくることは、気をつけないと紙が折れたり、古い紙だと切れる可能性が高まります。

　また、右利きの場合、左のページをめくるときに右のページが戻ってこないように小指や薬指で右のページを押さえないといけませんが、そのとき、爪が普通の長さであっても爪が紙に当たり、紙に爪あとや傷が付く可能性が高まります。
　

　文庫本のように薄くてやわらかい紙なら大丈夫でしょうけれど、ハードカバーの本のように厚めの紙だと、危険性があります。
　ドラマでの「UTOPIA」は厚めの紙で、比較的硬い紙のようで、右に送ったページが跳ね返ってきており、危険です。


　しかも、結構ベタベタと紙に触っています。
　これでは手の汚れやアブラが本についてしまいます。


　更に、その本を彼に返すときに、机に置いた本を机に置いたまま180度回転させて机に置いたまま机を滑らせて彼の方に押すとか。
　机にこするなんて、机の汚れが本に付きかねませんし、汚れが付かないとしても本の紙が傷みます。古い本ならなおさらです。


○　何話だったかは忘れましたが最初の方で、読みかけの文庫本を開いたまま裏にして机に置いていました。

　文庫本なら軽いのでほとんど気にする必要はありませんが、ハードカバーなどの重い本、特に古書をそのように置くと、本の背表紙のノリや糸を広げる力がかかり、痛みます。

　ハードカバーなどの重めの本では、新本であってもしてはいけないことの1つです。



　といった、本の扱い方が気になりました。


○　神保町の古書店でも普通の古書ならそんな丁寧に古書を扱っているわけではないですが（結構、ほっぽり投げている。）、上記くらいに高価な本であればショーケースに入れているか店頭に出していない場合が多く、丁寧に扱うのではと思いますけれど。


　どこにでもある安い新本や古書ならあまり気にしませんが、新本や手に入りにくい古書だと、ブックカバーや栞を使って紙になるべく直接触らないようにしているという、他人より本を綺麗に扱いたい私が気にしすぎなのでしょうけれど。


○　さて、古書店のシーンでは画面をセピア色っぽくして、古書っぽい雰囲気を出していますが、古い古書店にしては古書が綺麗な感じ。

　美本ばかりを集めたと解しておきましょうか。


○　ドラマは、謎解きが少し出来すぎな感がするときもありますが、本の内容にからめた事件の話が読書欲を刺激し、まずまず楽しめました。

　これがアニメならその出来過ぎ感も気にならないのでしょうけれど、実写だと話し全体に現実感が出てしまって、細かなところも気になるところです。


　3月4日で第8話。
　あと何話かあるようです。
　本好きか剛力彩芽さんのファンなら、それなりに楽しめるのでは。


【shin】