岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等)

著書:新宿クレッシェンド

自身の頭で考えず、何となく流れに沿って楽な方を選択すると、地獄を見ます

9 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(一章 幼少編)

2019年08月01日 18時40分00秒 | 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(一章 幼少編)
 俺の嫌いな担任の倉橋先生。 朝のホームルームで、自分の尊敬する先生の話をしていた。「私の尊敬する先生はね。国語を専攻している方でね、素晴らしいのよ。どう素晴らしいかというと、職員室で他の先生がお茶をどうですかって言ったの。すると、その先生は、はい、お茶の葉を五グラム、八十三度のお湯で、湯飲みに入れて下さい。入れる前に湯飲みは、ちゃんとお湯を一度入れて、温めて下さい…。そんな適切に言 . . . 本文を読む
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8 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(一章 幼少編)

2019年08月01日 18時39分00秒 | 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(一章 幼少編)
 週に一度のピアノのレッスン。 僕は真面目に通っていた。真面目にといってもピアノのレッスンに行くまでというだけで、遊びに行っているようなものだった。ピアノは弾かず、先生とテレビを見ながら、楽しく話をするだけだった。 たまに先生はピアノをやりましょうと促したが、僕は嫌がってやらなかった。 ピアノのが終ると、先生はいつも僕を家まで送ってくれ、途中で必ず寄り道をして喫茶店に行った。そこでいつもゲームをや . . . 本文を読む
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7 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(一章 幼少編)

2019年08月01日 18時38分00秒 | 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(一章 幼少編)
 学校に行きたくない。家に帰ると、その事ばかり考えていた。深刻そうな僕の顔を見て、おばあちゃんが声を掛けてくる。「龍一、どうしたんだい?」 僕は学校の給食の話をした。おばあちゃんは相槌を打ちながら真面目に聞いてくれた。「そうかい…。確かに食べ物を粗末にするのは、良くない事だよ」「うん……」「私らが龍一ぐらいの年は、戦時中でね。食べるものだって、ろくすっぽな . . . 本文を読む
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6 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(一章 幼少編)

2019年08月01日 18時37分00秒 | 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(一章 幼少編)
 三学期の終わり頃になると、ちゃまが可愛い鉛筆をあげると僕に言ってきた。僕はその鉛筆のデザインが気に入り、素直に受け取った。ちゃまは喜んで、次の日も僕に違う鉛筆をくれた。「もういいよ」「いいの、だって神威君、ちゃんとキャンデーくれたんだもん」「分かったよ」 ホワイトデーの遅れたお返しが、そんなに嬉しいものなのか。僕には理解できなかった。 三日ほどすると、クラスで女子の反応が変わったように感じた。前 . . . 本文を読む
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5 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(一章 幼少編)

2019年08月01日 18時36分00秒 | 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(一章 幼少編)
 それから僕の学校生活は非常に有意義なものとなった。クラスはあの件以来、一体感を出すようになっていた。 男は女を殴るものではなく、逆に守るものなのだ。そんな教訓が僕の中にできた。考えてみたら、いつも見ている仮面ライダーもウルトラマンもみんな、女を守っている。何でそんな簡単な事に気づかなかったのだろう。自分を恥ずかしく感じる。 家での生活も有意義なものになった。色々と僕ら兄弟を可愛がってくれたおばさ . . . 本文を読む
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4 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(一章 幼少編)

2019年08月01日 18時35分00秒 | 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(一章 幼少編)
 日曜日になると、おばさんであるユーちゃんは近所のデパートに連れて行ってくれた。僕だけじゃなく、弟二人も一緒にである。僕たちの目が五階のレストランのショーウィンドーに止まると、おばさんはその場に立ち止まった。「何が食べたい?」「い、いいの……?」「何、遠慮してんの。どれがいい?」 おばさんは僕ら兄弟にショーウィンドーを指差して、ニッコリ笑った。ガラスの中で飾られた食べ物 . . . 本文を読む
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3 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(一章 幼少編)

2019年08月01日 18時34分00秒 | 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(一章 幼少編)
 走っている間、僕はずっと泣きながらママに、箱から出すようにと何度もお願いした。ママは聞き耳ををまるで持ってくれない。 途中でダンボールからみゃうの手が突き出した。中で必死に箱を何度も引っ掻いていたのだろう。みゃうの爪は、僕の指先をかまわず引っ掻いた。 ママは車を一旦停め、一回り大きなダンボールに、みゃうの入った箱を入れる。またガムテープでグルグルに巻いた。 三十分ほど走って車は停まった。辺りは雑 . . . 本文を読む
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2 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(一章 幼少編)

2019年08月01日 18時32分00秒 | 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(一章 幼少編)
「おいおい、ちょっと酷くないか?」「何が?」「君はこの映画を根底に植え付けようというのか?」「う~ん、まあそういう形になるかな」「この子が白いと言っていた事は何となくだけど分かった。君が細工をしてワザと白く見えないようにしてはいるけどね」「ははは、なかなか鋭いね」「ふん、心にもない事を。しかし一体どういう風の吹き回しだい」「風はおまえの専門分野だろうが」「話の腰を折るな。私が聞きたいのはこの子をど . . . 本文を読む
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1 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(一章 幼少編)

2019年08月01日 18時28分00秒 | 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(一章 幼少編)
鬼畜道~天使の羽を持つ子~(一章 幼少編)   2 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(一章 幼少編) - 岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等) 「おいおい、ちょっと酷くないか?」「何が?」「君はこの映画を根底に植え付けようというのか?」「う~ん、まあそういう形になるかな」「この子が白いと言っていた事は何... goo blog   & . . . 本文を読む
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4 北海道の雪

2019年08月01日 18時26分00秒 | 食を忘れた男/北海道の雪/隠愛 ~いんあい~
    3 北海道の雪 - 岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等) 2北海道の雪-岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等)1北海道の雪-岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等)北海道の雪「へい、らっしゃーい!」客のトラックが... goo blog      その日、『パピリオ』に一人の女が新しく入ってき . . . 本文を読む
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3 北海道の雪

2019年08月01日 18時25分00秒 | 食を忘れた男/北海道の雪/隠愛 ~いんあい~
    2 北海道の雪 - 岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等) 1北海道の雪-岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等)北海道の雪「へい、らっしゃーい!」客のトラックが入ってくる。俺は元気良く大声をあげ、椅子から立ち上がった... goo blog      重迫撃砲の実弾を撃つ演習がやってきた。 各三門設置 . . . 本文を読む
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2 北海道の雪

2019年08月01日 18時24分00秒 | 食を忘れた男/北海道の雪/隠愛 ~いんあい~
    1 北海道の雪 - 岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等) 北海道の雪「へい、らっしゃーい!」客のトラックが入ってくる。俺は元気良く大声をあげ、椅子から立ち上がった。「おう、いつも元気がいいね、君は」常連客である飯野公男... goo blog      部屋に幽霊が出ようが、班長たちのしごきのレベルはまった . . . 本文を読む
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1 北海道の雪

2019年08月01日 18時19分00秒 | 食を忘れた男/北海道の雪/隠愛 ~いんあい~
北海道の雪「へい、らっしゃーい!」 客のトラックが入ってくる。俺は元気良く大声をあげ、椅子から立ち上がった。「おう、いつも元気がいいね、君は」 常連客である飯野公男さんは、笑顔でメンバーズカードを出してくる。まだ高校生の俺は車の免許を持っていないので、ひたすら動き頑張っていた。このスタンドに来る客は、全部俺が出迎えてやるんだ。そのぐらいの気持ちで仕事に臨んでいる。 高校生活のほとんどをこのガソリン . . . 本文を読む
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11(真・進化するストーカー女編)

2019年08月01日 17時02分00秒 | 鬼畜道 各章&進化するストーカー女
    10(真・進化するストーカー女編) - 岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等) 9(真・進化するストーカー女編)-岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等)8(真・進化するストーカー女編)-岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等)7(真・進... goo blog      俺は『ワールド』の従業員 . . . 本文を読む
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10(真・進化するストーカー女編)

2019年08月01日 17時00分00秒 | 鬼畜道 各章&進化するストーカー女
    9(真・進化するストーカー女編) - 岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等) 8(真・進化するストーカー女編)-岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等)7(真・進化するストーカー女編)-岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等)6(真・進... goo blog      ラーメンを食べ終わり店を出 . . . 本文を読む
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