岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等)

著書:新宿クレッシェンド

自身の頭で考えず、何となく流れに沿って楽な方を選択すると、地獄を見ます

6 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(一章 幼少編)

2019年08月01日 18時37分00秒 | 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(一章 幼少編)


 三学期の終わり頃になると、ちゃまが可愛い鉛筆をあげると僕に言ってきた。僕はその鉛筆のデザインが気に入り、素直に受け取った。ちゃまは喜んで、次の日も僕に違う鉛筆をくれた。
「もういいよ」
「いいの、だって神威君、ちゃんとキャンデーくれたんだもん」
「分かったよ」
 ホワイトデーの遅れたお返しが、そんなに嬉しいものなのか。僕には理解できなかった。
 三日ほどすると、クラスで女子の反応が変わったように感じた。前のホワイトデーの時のような冷たい反応だった。僕は自分が何か悪い事をしたのかと考えたが、まったく身に覚えがない。だから何も気付かないふりをするように努めた。
 朝、登校して教室に入ると、黒板の前で人だかりができていた。洋介君と純治君が僕を見ると、駆け寄ってきた。
「龍ちゃん、一体、何をやったの?」
「は?」
「酷い事、黒板に書かれているよ」
 僕は黒板に急いで向かった。人だかりを押しのけ、黒板を見た。
『神威君は泥棒です』
 大きな字で黒板にはそう書かれていた。
 誰がこんな事を……。
 まったく身に覚えのない状態で書かれたこの状況。僕は苛立ちを覚え、すぐに黒板の文字を消した。

「誰だよ、こんな事を書いたの?」
 クラスメートを睨みつけ、大声で怒鳴りつけた。絶対に犯人を見つけるまでは引き下がらないつもりでいた。
 誰も口を開こうとせず、教室はシーンと静まりかえった。授業を告げるチャイムが鳴っても、僕は教壇に立ち睨み付けていた。誰も僕と目を合わせようとしなかった。
「おい、神威。何をやってるんだ? 授業始まったんだから、早く席に着け」
 福山先生が教室に入ってきて、不思議そうに僕を眺めながら言った。
「嫌です。絶対にここをどきません」
「おいおい、授業はどうするんだよ? 先生を困らせるなよ、な、神威」
「嫌です」
「何があったんだ?」
 僕は懸命に突っ張っていた。いわれのない事を黒板に書かれ、一人でずっと踏ん張っていた。泣くもんか…。そう思えば思うほど、目に涙が溜まってくる。
「先生、聞いて下さい」
 僕の代わりに洋介君が席を立ち、これまでの経緯を説明した。僕はみんなの前で泣いていた。自分が情けなかった。
 説明をすべて聞いてくれた先生は僕に尋ねた。
「神威は本当に泥棒なんてやったのか?」
「や、やる訳ないじゃないですか」
 僕はそれだけ言うと、大泣きしてしまった。先生は優しく僕の頭に手を乗せながら、ゆっくりと話した。
「いいか…。今、一人の生徒が大変に傷ついている。誰がやったのかは、先生も知らない。でもな…、先生は神威がそんな事をやるとはとても思えないんだ。しかし、黒板に誰かが書いたのは事実なんだ。今、この状況で白状しろとは言わない。目をみんなつぶれ。神威、おまえもだ。男なんだからいつまでもメソメソ泣くんじゃない。いいか? 目を開けたら、先生は本当に怒るからな」
 重苦しい沈黙が流れる。教室はシーンと静まり返っていた。
「黒板に書いた奴、正直に手をあげろ。もちろん先生は誰にも言わない」
 僕は目を開きたい衝動に駆られた。でも、福山先生の言葉を無視する訳にはいかなかった。黒板に書いた犯人が憎かった。
「誰もいないのか? 先生は信じているぞ」
 物音一つしない教室は、緊張で張り詰めている。
「分かった…。おまえら勝手にしろ。先生はおまえたちに失望した。もう目を開けていいぞ。一人の生徒がこんなに苦しんでいるのに、誰一人助けようとしない。斉木ぐらいだろ、神威の事を何とかしようと動いたのは……」
 久しぶりに先生は怒っていた。眉間にしわを寄せピクピクしている。こんな怖い先生を見るのは初めてだった。
「誰も何もないんだな。分かった…。先生は職員室に帰る。勝手に自習でも何でもしてろ」
 乱暴にドアを閉め、福島先生は本当に教室を出て行ってしまった。小声で誰かが話すと、一斉に騒がしくなった。

 僕は教壇のところでずっと立って、騒がしいクラスの様子を恨めしく見ていた。この中に絶対犯人がいるのだ。
「大丈夫、神威君」
 神谷君、洋介君、純治君が近寄ってくる。みんな、それぞれ慰めの言葉を優しく掛けてくれた。でも、僕の気は治まらないでいた。
「おい、本当に誰なんだよ。龍ちゃんは絶対に泥棒なんかじゃないぞ。誰だよ、黒板にあんなデタラメ書いたのよ?」
「ちゃんと言えったら、このままじゃ、神威君が可哀相だ」
 突然純治君や神谷君が、大声でクラスメートに向かって怒鳴った。少し心が温かく感じた。僕はまた目に涙が溜まった。教室は静まり返る。
「おい、もし俺が見つけたら容赦なくぶっ飛ばすぞ。いいのか?」
 神谷君は教壇を叩きながら叫んだ。それでも誰も自分だと、犯人を名乗り挙げる者はいなかった。僕は黙っている連中を睨みつけた。
 教室の窓側後ろの席で、ちゃまが泣いているのが見えた。一人だけ何でこいつは泣いているんだ? 疑問に感じる。
「神威君。加藤の奴、泣いているぞ。怪しくねーか?」
 そっと僕に耳打ちをする神谷君。僕には分からない。
「おい、加藤。何でおまえが泣いているんだ?」
「神谷君、やめなさいよ」
 ちゃまと仲のいい栄子が、勢いよく立ち上がった。
「おまえには聞いてねー」
「可哀相でしょ、ちゃまが……」
「可哀相なのは、神威君だ」
 洋介君が口を開く。いつも優しく笑っている顔が、厳しい表情になっていた。
「ちゃまは何故、泣いているんだ?」
「そんなのあなたには関係ないでしょう」
「関係ある。僕と神威君は友達だからだ」
 ハッキリとゆっくり洋介君は言った。僕は嬉しかった。
「みんなの前で話すのが嫌なら廊下で話そう。それでいいだろ、ちゃま」
 クラス中の視線がちゃまに注がれた。
「私もそれなら一緒に行くからね」
 栄子ちゃんは、ちゃまに近寄った。僕ら男子四人と、女子二人は廊下に出る事にした。ちゃまは廊下に出ても泣いている。
「あれを黒板を書いたのは、ちゃまだろ?」
「ご、ごめんなさい……」
 ちゃまは僕を一瞬だけ見ると、廊下に突っ伏して泣き出した。何故、ちゃまがこんな事を? 僕には分からなかった。数日前には笑顔で鉛筆をくれたのに……。
「ごめん、神威君以外は教室に戻ってくれるかな?」
「ふざけんなよ、栄子」
「お願いだから」
 僕は栄子の言う通り、男子三人をなだめて教室へ戻した。どうしても、真相が知りたかったのだ。
「誰にも言わないでよ。ここだけの話にしてよ」
 真剣な表情で栄子ちゃんは言った。僕は無言でゆっくり頷く。
「ちゃまはね、神威君の事が好きだったの…。も、もちろん私もよ。だからチョコだってあげたしね…。でも、あなたはお返しもくれなかった」
 突然の告白に僕はビックリした。恥ずかしさを打ち消すように口を開いた。
「だって、それは……」
「いいから黙って聞いて……」
「あ、ああ……」
「この前、お返しくれた時、本当に私たち嬉しかったのよ。ちゃまは神威君の話ばかりするようになるしね。だから私はアイデアを考えたの。ちゃまの大事なものを彼にあげたらってね。それがあなたが使っている鉛筆だったの」
「……」
「でも、あなたはただ受け取るだけで、何もお返ししてくれなかった。それがこの子は、とても悔しかったんだよ。それで今朝、好きなんだけど悔しくて黒板にあんな事を書いてしまったの。だから許してあげて……」
「ふざけんな、僕がどんなに辛い思いをしたと思っているんだ」
「うん、酷い事したなって反省している。やり過ぎたって……」
「それにしたって……」
「ごめんなさい、私からも謝るわ…。ちゃま、泣いていないで、悪いと思っているなら、ちゃんと立って謝りなさい」
 栄子の指示でちゃまは壁に手をつきながら立った。
「ご、ごめんなさい…。ごめんなさい……」
 ちゃまが何だか憐れに見えてきた。黒板の件がどうでもよくなってきた。
「も、もう…。もう、いいよ。許してやるよ」
「あ、ありがとう……」
 ちゃまは再び泣き崩れた。僕は笑って言った。
「ちゃんとお返しが欲しいなら、ちゃんと言えよ」
 そう言いながら、もうちゃまから物をもらうのだけはやめようと固く心に誓った。

 教室のドアを僕は勢いよく開けた。みんなの視線が集まる。僕は笑って大声を出した。
「みんなー、もう、いいんだ。そんな事よりこれから福山先生に謝りに行こう」
 僕の言葉に反応して一気に歓声が起きた。いくら自習が好きだからといっても、こんな状態の自習はみんな勘弁だったのだろう。僕は廊下を振り向いて、二人に声を掛けた。
「おい、これから職員室にクラス全員で謝りに行くぞ」
「うん」
「ありがとう、神威君」
「なーに」
 満面の笑みを僕は向けた。廊下にクラス全員が集合する。総勢三十四名。一気に廊下は騒がしくなった。
「授業中におまえら、何やってんだ?」
 隣のクラスの担任が顔を出して怒鳴った。僕たちはそれを合図に廊下を走り出した。
「おい、ろ、廊下は走るな」
 階段を駆け下り一階に降りる。職員室の前まで来ると、さすがにみんな、静かになった。他のクラスは一時間目の授業中なのだ。僕はノックもせずにドアを開けた。
 福山先生の姿が見える。表情は厳しい顔のままだ。僕が中へ入ると、全員が続けて入ってきた。その様子に、用務員のおじさんや、教頭先生たちはビックリした表情を浮かべる。僕は軽く息を吸い込んでから口を開いた。
「先生、すみませんでした」
 僕のあとにクラス全員が個々に勝手に謝りだした。
「先生、ごめんなさい」
「先生、すみません」
「先生、許してよ」
「先生悪かった」
 その大きな声で、職員室に残っている他の先生たちも一斉に飛び上がった。
「よし」
 福山先生の顔はいつもの優しそうな顔に戻っていた。何だか嬉しそうに見える。
「遅くなったけど、教室に戻って授業をするぞ」
「はーい」
 クラス全員で揃って僕たちは返事をした。
「よーし、行くぞ」
 何事もなかったかのように、堂々と福山先生は笑顔で職員室をあとにした。

 こうして僕の小学三年生は終わり、春休みを迎えた。こんなに仲のいい状態のクラスで、もう一年一緒に過ごせるのだ。僕は学校が待ちどおしくて溜まらなかった。福山先生の授業や話が大好きだった。
 おばさんのユーちゃんが西武園に僕ら三兄弟を連れて行ってくれた。
 初めて乗るジェットコースターはスリル満点で楽しくてしょうがない。身長規定に引っ掛かった一番下の弟、龍彦はジェットコースターに乗りたいとダダをこねたが、どうにもならなかった。ユーちゃんは、メリーゴーランドやコーヒーカップ、観覧車などに龍彦と一緒に乗ってうまく誤魔化していた。
 僕と龍也は二人で色々な乗り物を探し回った。
 フライングカーペットという新しい乗り物が導入されていたので、興味津々に乗り込んだ。真ん中を軸に回転するフライングカーペットは非常に面白く、園内は空いていたので十回連続で同じ乗り物に乗った。
 お腹が空くと、おばさんは手作りのおにぎりや唐揚げを出してくれた。春休みの寒空の中で食べるご飯は、とてもおいしかった。
 夕方になると、疲れからか龍彦は熟睡してしまい、僕と龍也二人で楽しく乗りまわった。バイキングという船の形をした乗り物があり、僕たちは何度も気に入って乗った。
 帰りの車の中では、疲れで僕たちは眠り込んでしまった。ユーちゃんの鼻歌が子守唄代わりに心地よく聞こえた。
「本当におまえたちは最近、笑顔になったねー」
 おばさんは僕たちが笑うと、いつも口癖のように言った。確かに僕たちは一年ぐらい前まで、自由に笑えなかったのだ。
「特に龍一なんか、お母さんとデパートにいる時、私に会ってもフンって感じでさ、よく気取って澄ましていたんだよ」
 あの頃は確かに笑うというのが難しかった。その時の光景は今でもハッキリ覚えていた。ユーちゃんには悪い事をしたなって感じる。ママが笑うと怒るので、僕は無理に笑顔を封印していたのだ。さすがにそこまではユーちゃんに言えないでいた。

 最初の頃、激しい殴り合いをした神谷君とも、休みの間、よく遊んだ。この間の泥棒事件から、さらに親密になったように思う。乱暴物のレッテルを貼られていた神谷君も、今ではすっかりクラスに溶け込んでいる。
 この頃、新世界プロレスは金曜日の夜八時から、大和プロレスは土曜日の夕方四時からテレビで毎週放映されていた。おばあちゃんがプロレスや相撲好きというのもあり、僕はいつの間にか夢中でプロレスにのめり込んでいた。
 一度おじいちゃんの畳の部屋で、斉木洋介君と神谷君組対、僕と弟の龍也組の組み合わせでプロレスごっこをした。
 スモールパッケージホールドという丸め技を使うテクニシャンの洋介君。ジャッキーチェンの真似をしながら打撃技で対抗する僕。パワーで圧倒する力技の神谷君。唯一体格で劣る龍也は苦戦をしいられる。神谷君が龍也の腰に腕を回し、高々と持ち上げたかと思うとそのまま畳の上に、バックドロップで加減せず投げつけた。頭を押さえながらビックリした龍也は途端に泣き出す。
「よくも弟をやりやがったな?」
 僕は全力でダッシュしながら神谷君に飛び膝蹴りをお見舞いした。
 この当時、新聞でふざけ合いながらプロレスごっこをした小学生が頭を打って死亡という記事が急激に増えた。そのせいかプロレスを見せないようにする親が急増し、徐々に人気を落としていった。それでも僕らは気にせず、毎日のように学校でもプロレスごっこをして楽しんだ。
 人形屋の森野純治君とは、近所なのでよく遊ぶ。主に公園でめんこをして一緒にした。龍也と同級生の弟もいるので、兄弟同士で一緒に遊ぶ事が多かった。あの日以来、あの汚い兄弟の姿を見かけた者はいない。
 斉木洋介君との仲は、相変わらず良かった。お互いの家に行き来して、よく遊んだ。洋介君のお父さんは普通とちょっと変わっていた。書斎に入ると絵の具の匂いが漂い、そこら中に油絵が置いてあった。描いてある絵の内容は、ほとんど人物ばかりだった。
「龍一君は絵の教室、行ってたんでしょ?」
「まーね、でもとっくに辞めちゃったよ」
「もう描かないの?」
「うーん、絵を描くのは好きだけど、決められた物を描きなさいって嫌なんだよな」
「へー」
「だから自分の描きたいものや、想像で描いたものなら今でも描けるよ」
「すごいねー」
「でも、洋介君のお父さんみたいに上手くはないけどね」
 そんな洋介君のお父さんは、近所でレコード屋を経営していた。よく顔を出しに行くと、砂糖入りの少し甘い麦茶を出してくれた。洋介君のお母さんも僕にはいつも優しく接してくれた。
 洋介君の親が僕の親だったら良かったのにと、内心羨ましがった。でも口が裂けてもそんな事は洋介君に言えない。
 家の電話にちゃまから頻繁に電話があった。あの黒板の一件は許したものの、僕はどうしてもちゃまを好きにはなれなかった。人間やっていい事と、悪い事があるのだ。その境界線を越えてしまったちゃまを僕は特別好きになる事はないだろう。だからクラスメートとして接するしかなかった。それは田中栄子にしても同様だった。知っていてあの犯行を黙認していたのだから……。
 バレンタインの時から僕は密かに吉川美咲を気にしていた。フランス人形みたいな顔立ちの彼女は、クラスで一番人気もあったせいか、いつも澄ましていた。春休みになる前に、沼田正行君が告白してふられた噂を聞いた。あの時の照れた表情は、僕にしか向けられていない。
 でも、彼女はお返しをまったくしない僕に幻滅したみたいで、特別な仲にはなれそうもなかった。
 三咲とは同じクラスメートなだけで、それ以上でもそれ以下でもない存在に僕はなってしまったのだ。

 あっという間に、春休みは過ぎ去り、小学校四年生になった。クラスは前と同じメンバーで何も変わりはない。
 始業式を迎え、クラスの担任の先生の名前が呼び出されていた。一年生から順々に呼ばれ、先生の名前によって歓喜の声や落胆する声がハッキリしていた。
 松竹梅と順番に担任の先生の名前が発表されるが、誰も代わりはない。
 僕たちは四年生で一番後の桜組なので、福山先生の名前が呼ばれるのは最後になる。一組から三年生の時と同じの先生の名前が呼ばれ、みんな好き勝手な声をあげていた。遠くで福山先生の顔がチラッと見えた。
 あと一クラスで福山先生の名前が呼ばれる。僕はワクワクしながら待った。心なしか、福山先生の表情が元気なさそうに見えた。校長先生がマイクを握り、口を開く。
「えー、次は四年四組…、担任の先生は新しく太田先生に変わります」
 僕は耳を疑った。今、校長は何て言ったのだ。僕は洋介君とお互い、顔を見合わせた。
「えー、三年生の終わりまで、四組の担任をしていた福山先生は、ご都合により、教職の仕事を退職する事になりました。福山先生からひと言みなさまに挨拶があります」
 目の前が真っ暗になっていく。福山先生が辞めてしまう…。頭をハンマーで強く叩かれたほうな衝撃を受けた。
「一年間、私は三年四組の担任として職務をまっとうしてきました。本来ならこの新学期から始まる一年間も、ずっと担任を継続する構えでおりました。ただ、今回のこの時期に、家の諸事情でやむを得なくなってしまい、教員を退職しなくてはならない状況になりました。私自身、本当に…、非常に残念で仕方がありません。今度から新しく私に変わる太田先生は非常にいい先生です。私の家が神社なのに対し、太田先生の家はお寺をやっています。変わった経歴同士なので、先日少しお話しをし合いました。そこで私は太田先生が、非常に教育熱心で、生徒の事を一番に思ってくれる先生だと理解できました。私以上の…、担任の先生に…、なれると思っております。本当にみなさまには一年間一緒に楽しく過ごせて…。う…、た、楽しく過ごせて…。ほ、本当に…、本当に私は幸せでした。ありがとうございます。み、みんな…、先生は…、楽しかったぞ…。ありがとう……」
 福山先生は、全校生徒の前で人目はばからず泣いていた。
 僕も途中で先生の姿がハッキリと見えなくなっていた。クラスのみんな、同じ状況だと思う。
 うちのクラスは新学期早々全員が泣いていた。みんな、声を押し殺して静かに泣いていた。
 もう、福山先生の授業は受けられないのだ。毎日ことわざを一日一回ずつ丁寧に教えてくれた姿が思い浮かぶ。『猿も木から落ちる』。『腐っても鯛』。それから『馬の耳に念仏』。『豚に真珠』。『百聞は一見にしかず』。
 もっと教えてくれよ、先生……。
 僕は心の中でつぶやいた。
 この今、立っている体育館で福山先生に突っ掛かっていった事が、かなり昔の事のようである。そんな僕を先生は認めてくれた。女を殴ってはいけない。守るものだと教えてくれたのは福山先生だった。
 給食の時のコロッケだってそうだ。福山先生はいつも僕たちに素晴らしく楽しい毎日を送ってくれていた。これが正しいパンの食べ方だと言った先生の顔が懐かしかった。
 職員室にクラス全員で駆け込んだのも、福山先生だったからだ。こんなにクラスは一丸となってまとまっているのに、何で辞めちゃんだよう……。
 涙が止まらなかった。これで先生とお別れになるのが嫌だった。後ろの洋介君の目も涙で真っ赤になっていた。同じクラスメート、新しい担任の先生で、小学四年生の新学期は始まろうとしていた。
 福山先生の姿がやけに寂しそうに映って見える。

 僕たちの新しい担任の太田先生。この人が学校に来たから、福山先生は辞めたのだろうか? 僕はそんな馬鹿な事を思っていた。
 新しい田山先生の挨拶など、ちゃんと聞いていなかったようだ。気がつけば始業式は終っていた。
 うな垂れたようにクラス全員が、下をうつむいて歩きながらクラスに戻る。新しい教室。三年生の時と同じメンバー。でも福山先生は、もうここにはいない。先生は僕たちの心の中で、大きなかけがえのない存在になっていたんだ。
 教室のドアが勢いよく開く。先ほどの太田先生が教室に入ってきた。誰も声をあげなかった。シーンと静まり返る教室。太田先生は教壇に立ち、僕たちを一人一人、ゆっくりと眺めた。
「今日から、君たちのクラスを見る事になった太田だ。太田光弘だ。よろしく」
 元気のいい大きな声。それでも僕たちは、誰も口を開かなかった。表情が一瞬だけ、険しくなる太田先生。
「なんだ、元気がない奴らだなあ」
 その言葉に僕は反応した。他にも二、三人のクラスメイトが反応したようだ。
「何だ? 言いたい事があるなら、ちゃんと言え」
 先生は僕を見てハッキリと言った。どうする…。クラスのみんなも僕を注目している。
「元気がない訳ではありません」
 僕は席を立ち上がって口を開いた。福島先生とのお別れを悲しむ僕らに、土足で踏み込まれたような感覚があったのだ。
「そうか…。福山先生の件で、君たちが悲しいのは俺だって分かる」
 何が分かるんだ? 福山先生と僕たちの絆は、誰にも分かりはしない。偉そうに言うな。そう、心の中でつぶやいた。
 新学期早々、嫌なムードが教室を包み込む。
「でもな…、これからは俺が、このクラスの担任をしないといけないんだ。確かに俺は、福島先生には全然及ばないかもしれない。だからって先生を辞める訳にもいかない。せっかくみんなと何かの縁でこうして知り合えたんだ。仲良く楽しくやっていきたいと、先生は思っている」
 先生はそう言うと、僕たちに背を向け、黒板に何か書き出した。『太田光弘』。先生は、自分の名前を白いチョークで、大きく黒板に書いた。
「もう一度、自己紹介する。太田光弘だ。よろしくな。俺もみんなの顔と名前を一致させたいから、そこの先頭の席から簡単に自己紹介してくれ」
 必死にコミュニケーションをとろうとしている姿が、僕にも少し理解できた。先生に言われた通り、先頭の洋介君から立って自己紹介を始めだした。
「斉木洋介です。家はレコード屋をしてます」
 幼稚園から一緒の洋介君。いつも一緒に遊んでいる。お父さんは絵も書いていて、とてもうまかった。
「加藤めぐみです。みんな、『ちゃま』って私を呼びます。絶対に私を『加藤茶』なんて、呼ばないで下さい」
 クラスで軽く失笑がもれた。自己紹介で『加藤茶』の名前を出すなんて、ちゃまぐらいのものだろう。
「森野純治です。家は人形屋をやってます」
 彼も幼稚園からの付き合いだった。純治君のお母さんはカーブーが出て行った時に、朝食を泣きながら作りに来てくれた事もあった。カーブーとは僕ら三兄弟で決めたママの別な言い方である。お母さんのカの字と、ムカつくからブーを合体させたのだ。今はもう、家にいない。僕が小学二年生の冬に家を出て行ったきりだった。
「田中栄子です。ドッジボールが大好きです。先生、体育の授業でドッジボールたくさんやってくださいね」
 こいつの頭の中はドッジボールしかないのか? 栄子はこれだけを生き甲斐にしているように見えた。人にボールをぶつける時の表情は、尋常な顔つきではなかった。
「神谷直哉」
 神谷君らしいぶっきらぼうな自己紹介。こいつとは、一番初めに殴り合いの喧嘩をしたっけな。
「吉川美咲です。先生、これからよろしくお願いします」
 クラスで一番人気の女子だった。小学三年生の時に、彼女からバレンタインのチョコをもらったのは、僕の自慢でもある。
「深沢史博です。僕より背の高い男はいません」
「太田先生のほうがデカいじゃねえか、馬鹿」
 のっぽを自慢する深沢に、神谷君が野次を飛ばす。
「益田清子です。『キーちゃん』って呼ばれていますが、別に引っかくのが得意だからじゃなくて、名前が清子だから頭の『き』を取って『キーちゃん』って言われています」
 彼女の言い回し方にドッと沸くクラス。
「高橋忠勝です。僕は顔にホクロがいっぱいあって、僕の事を「ホクロマン』って呼ぶ人います。そういう呼ばれ方は好きじゃないのでやめてほしいです。それと一年生時、自己紹介で温かいお茶が好きと言うと、『おじん』とか『高橋おじん』って呼ぶ人もいます。見ての通り僕は小学四年生です。だからそういう呼び方も嫌です」
 彼の変な自己紹介にクラス中が大爆笑した。
 クラスメイトは、次々に簡単な自己紹介を済ませ、とうとう僕の番がきた。何て言えばいいだろう。ゆっくりと僕は立ち上がった。
「神威龍一です。家ではクリーニングをやってます。兄弟は男三人です」
 別の事も言いたかったが、みんな簡潔に紹介しているので、僕も合わせる事にした。太田先生は、一人ずつちゃんと頷きながら目を見ていた。
「よーし、だいたいみんなの顔と名前は分かった。それでだな、福山先生からみんなに、ちゃんとお別れを言いたいそうだ。福山先生、どうぞ」
 クラスが一気に騒がしくなった。あれでお別れじゃなかったんだ。僕はまた福山先生に会えると思うと、非常に嬉しくなった。教室のドアが静かに開く。福山先生の顔が見える。しかし、先生の表情は暗く沈んでいるように思えた。

 太田先生の横に立つ、福山先生。クラスメイトはしきりに「福山先生っ!」と大合唱している。僕は、静かに福山先生を見守っていた。先生も寂しいのだ。僕がこれだけ寂しいように……。
「えー、みんな…。急に担任を外れる事になって、本当にすまなく思っている」
 福山先生はボソッと口を開いた。あれだけ騒がしかったクラスは、一気に静まり返る。みんな、聞き耳を立てて、先生の言葉を聞いていた。
「先生はみんなとお別れになるの…、とても寂しい……」
 女子の何人かが、すすり泣く声が聞こえた。
「みんなと一年間、色々と接してきてな、先生…。先生もとても勉強になった」
 先生の声も震えていた。悲しさを懸命にこらえ、必死に話していた。これが福山先生と最後の会話なんだって、僕は感じた。
「本当にありがとう、みんな。先生、このクラス大好きだった」
 クラスの半分以上の生徒は泣いていた。
「これからは、先生の横にいる太田先生にお願いする事になった。ほんと、いい先生だぞ。昨日、太田先生と色々二人で話してな、先生は本当にそう思った」
 僕は横に太田先生を見た。下を向いて何かを考えているようだった。僕たちはこの先生とうまくやっていけるのだろうか? 少しばかり不安を覚えた。
「みんな、太田先生と仲良くやってほしい。みんなと会うのを本当に太田先生は、楽しみにしていたんだそ。ほら、おまえら…。もう、泣くな。な?」
 泣くなと言われても無理な話だった。僕は福山先生の顔を見ている内に、涙がにじんできた。視界がボヤける。夢だったら良かったのに…。何度もそう思った。
 楽しかった三年生の一年間が、走馬灯のように思い浮かんでくる。ずっと同じクラスメイト、同じ先生でいたかった。でも、現実は違う。これからは太田先生が担任で、四年生を過ごさなくてはならなかった。
 福島先生が最後のお別れを言い終わると、クラスのほとんどが駆け寄った。何故か僕は意固地になり、席に座っていた。クラスの大半が、福山先生のもとに集まる中、僕は冷静に様子を伺っていた。
 洋介君も神谷君も席に座ったままだった。ちゃまは机に突っ伏して大泣きしている。
 黒板を背に、ポツンと一人浮いた状態の太田先生。どこを見ているのか、焦点が合ってないように見える。表情はどこか寂しげだった。

 我が四年桜組は、妙な連帯感があった。
 新しく四年生になって担任になった太田先生。特別何かをされたという訳ではないが、クラス全員の生徒は必要以上になつこうとしなかった。多分この太田先生と仲良くなる事で、福山先生を裏切ってしまうような気がしたのだ。
 いつもと違うクラスの雰囲気。担任が代わるだけで、こうも違うのか?
 別に太田先生が悪い訳じゃない。ホームルームだって授業だって熱心に一生懸命やってくれる。ちょっと嫌な部分と言えば、給食の時残すと食べるまで、近くで座って見ているところぐらいだ。
 新しい先生になって一ヶ月ぐらい経つと、クラスの半分以上の生徒が先生に溶け込むようになっていた。
 その姿を面白くないようにとらえる僕。あいつらは信念というものが欠けているんだ。
 家がお寺で、お坊さんをやっていたという太田先生は、どこか他の先生と雰囲気が違って見えた。
 福山先生も家が神社で、神主をやっていたと聞いた事がある。今頃、神社で神主をやっているのだろうか? 福山先生が神主をしている姿を想像してみた。結構サマになっているかもしれない。まあ、元々そうなのだから当たり前か……。
 太田先生の授業は元気がいっぱいというのが、第一印象だった。でも何故かしっくりこない。いつの黒板の前には福山先生が立っていたのだから。多分クラスの大部分は、そう感じているのだろう。
 どこか僕は、上の空で授業を聞いていた。勉強に全然身が入らないでいる。このままうまく太田先生と、馴染めるのだろうか? 先行きが不安でたまらなかった。
 ボーっとした状態で時間は過ぎ、給食の時間になる。この時間だけは楽しみで仕方がない。今日の献立はカレーと麦飯。天ぷら箱は、ちくわを半分に切り青海苔をまぶして揚げたギトギトの天ぷらだった。箱の底には天ぷらを揚げた油が溜まっている。
 カレーをお代わりしながら食べていると太田先生は立ち上がり、大きな声でみんなに言い出した。
「いいか、先生は給食を残すのは許さないぞ。給食センターの人が、みんなの為に一生懸命作ってくれた給食だ。ちゃんと、残さず食べるんだぞ。いいな」
 大部分の生徒は元気よく返事をした。僕は声を出さなかった。油でギトギトになったちくわの天ぷら。少し齧ると油で気持ち悪くなってくる。こんなもの食べられない。表情が暗く沈んできた。
 無理やり牛乳で流し込み、三分の一ぐらいは何とか食べた。残り三分の二のちくわ。目の前にいる正行君が、僕を見て何か言いたそうだった。
「なーに?」
「龍一君、早く食べないと給食の時間が終わるよ」
 周りを見ると、次々に食器を片付けだすクラスメイトの姿が映る。マズい。このままじゃ、先生に見つかってしまう。僕はさりげなく席を立ち、片付けようと思った。
「おい、神威」
「は、はい」
「どうした? おまえ、まだ残ってるじゃないか」
「……」
 無言で再び席に座り、ちくわの残った食器をテーブルの上へ置いた。駄目だ、見つかった。こんなの食えないよ……。
 困った顔で座る僕に、先生は近づいてきた。僕の真横に立ちながら、食べ終わるのを見つめている。
「早く、食え。ほとんど、みんなは片付けているぞ」
「は、はい……」
 ちくわを軽くかじってみる。口の中に油がジワッとにじみ出し、一気に気持ち悪くなってきた。すぐに牛乳を飲み込む。
「ほら、あと半分」
 もう牛乳はない。どうやって食べればいいのだろう。僕は食器を恨めしく見ながら黙って座ったままの状態でいた。クラスメイトの視線を四方八方から感じる。
「早く食えって」
 太田先生の顔は怒っているようだ。
「た、食べられません…。もう、食べられません……」
「駄目だ。おまえだけだぞ、残しているのは」
「もう、無理です……」
「先生はおまえが食べ終わるまで、このままでいるぞ」
 それからは無言のまま、時間だけが過ぎていった。誰だって、嫌いなものはあるじゃないか。たまたま、今日のは食べられないだけだ。そう、先生に言いたかった。
「先生、僕が代わりに食べるなら、それでいいですか?」
 すぐそばで見守っていた神谷君が、助け舟を出してくれた。『地獄に仏』ということわざを福山先生は前に教えてくれたけど、こういう事なのだなあとしみじみ感じた。神谷君の発言を太田先生は、しばらく考えているようだった。
「先生、駄目ですか?」
「うーん…、しょうがない。神威」
「はい」
「あと、半分だけ食べろ。そしたら今回は許してやる」
 僕は鼻をつまみながら、ちくわの天ぷらを口に半分だけ放り込み、一気に飲み込んだ。油が口の中に充満し、吐きそうになった。
「いいか、神威。おまえたちのお父さんやお母さんが、一生懸命働いて、お金を稼いで、給食費を出してくれているんだぞ。だから簡単にマズいから…、嫌だからって、残すのは良くない事なんだ。作ってくれた人たちへの感謝。親への感謝を忘れるなよ」
 先生の発言が僕には納得できなかった。パパはまだ分かる。作ってくれた給食センターのおばさんたちへの感謝も分かる。でも、お母さん…、カーブーには感謝はできない……。
「返事はどうした?」
「む、無理です……」
「何だと?」
「感謝できません……」
 それだけ言うのが、精一杯だった。カーブーは僕たち三兄弟を捨てて家にもういないのである。どうしてそんな奴に感謝しないといけないんだ。虐待によってつけられたまぶたの傷が疼いてくる。どんどん視界が曇ってきた。みんなの前で泣いては格好悪い。自分にいくら言い聞かせても涙が溢れてきた。
 何か先生が怒鳴っている。僕には何を言っているのか、よく聞こえない。だけど絶対にカーブーに対してだけは感謝などできない。誰に何を言われたってこれだけは譲れない。
 にじんだ目の前の机をずっと睨んでいた。食器を誰かが片してくれたみたいだ。それでも僕はずっと机だけを見ていた。
 結局放課後になるまで、その状態でずっといた。洋介君と純治君が声を掛けてくれ、ようやく一緒に学校をあとにした。

 

 

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