我が友岩本くんたちが夏の遠征を終えた。津軽海峡を渡り松前小島、渡島大島を経て奥尻島まで漕ぎ、再び海峡を越えて青森に戻ったという。この時期の日本海は悪かった。同じ時に私は知床を漕いでいたがオホーツク海は等圧線間隔が広く、拍子抜けするほど穏やかだった。同じ北海道でも海は違うものだ。詳細はそのうち野川編集長のカヤック誌に載るだろう。楽しみだ。チームは岩本和晃、嶋崎亮介、山口将大の3名だ。41才の岩本和晃はアマチュア最強のカヤッカーと言われている。職業は子供たちの憧れ、JR岡山の運転士だ。私は一昨年岩本君に助けられながらウナラスカからニコルスキーまで漕いだ。33才の山口君は昨年私が7回10年かけて漕いだアリューシャンの海を一度で回った人だ。その力と行動力には計り知れないものがある。彼はニコルスキーのスコット・カーからショットグラスを預かり届けてくれた。37才の嶋崎君とは面識がない。きっと他の2人と同じ力量の持ち主なのだろう。彼らはこれからもシーカヤックの新たな冒険を続けることと思う。羨ましく思うとともに今後の計画が楽しみだ。
私は冒険という言葉をあまり使わない。自分が取り組んできた冬山登山やヒマラヤ遠征、そしてシーカヤックも私は敢えてスポーツと捉えている。これらのスポーツの価値はその独創性にある。その点で過去に渡島大島からウォーターフィールド水野さんのコンコルド4人艇で奥尻まで漕いだ柴田くんたちの計画は冒険だった。この世界で2番煎じは2番煎じでしかない。その点で私自身が続けている知床エクスペディションは180番煎じのようなものだ。モチベーションの維持がもう無理だ。しかし参加者の一人でも冒険スポーツの意味に気付いてくれることを願って今年も続けている。このスポーツに安全はない。そして周りには誰もいない。
今年の知床エクスペディションはコロナ禍の中で行われている。私はコロンブスやピサロがヨーロッパの疫病を新大陸に持ち込んだ愚は犯したくない。だから参加者にPCR検査をお願いしている。知床もそうだが地方の人たちは都会からウィルスが入ることを恐れている。検査が陰性なら人々は安心する。様々な意見があるがその視点の多くは都会に住む人のものであり地方に寄り添ったものではない。国は感染防止と経済の両立を目指している。それなら徹底的なPCR検査で陰性確認をして自由にどこへでも行くことができるようにすれば良いのにと思う。しかし何故かそうはならない。現状はマスクパフォーマンスと何が本当かわからない情報で地方だけでなく旅行に行こうとする人たちを混乱させ委縮させている。どうしてなのだろうか。フェースガードに至ってはそれが必要な医者でもないのに滑稽でさえある。
現在PCR検査は行政検査以外有料だ。それもようやく各地で受検できるようになっている。しかしそのハードルは高く何よりも高額だ。そして結果が出るまで時間がかかる。また検査で出される陰性証明書にも高い料金がかかる。これではよほどの必要がなければ人々は受けない。ニューヨーク州ではクオモ知事の指示で無料で何度でも受けられるという。東京から小笠原へ行く人たちもソフトバンク孫さんが無料で検査を受けられる態勢を作った。知床も離島のようなものだ。私は知床エクスペディションを続ける以上、行く先の不安解消に責任がある。だから友人の感染症専門医の指導と協力のもと、知床エクスペディション参加者に限り札幌でPCR検査を行う態勢を作った。彼は「やぢ」という医者だ。やぢ、矢島先生は感染症専門医として北海道のコロナ問題に取り組んでいる。やぢは元アルペンレーサーで昔からの私の友人だ。知床に参加したこともある。私はエキノコックス対策を厳しく行っている。矢島先生はエキノコックス症患者の手術をしたことがある。開いた肝臓は通常の肝臓癌以上に石灰化してドロドロであり手の施しようがなかったという。エキノコックスに罹る確率は低くても生水は飲まないほうが良いというのが彼の見解だ。今回も私はやぢに相談した。かれはPCR検査以外方法はないと断言した。
知床では羅臼最奥の昆布漁師の村田の父さんでさえ汚いマスクを顎にかけている。今、羅臼のみなさんは私たちが陰性だと聞いて喜び、安心して話しかけ酒に誘ってくれる。今年羅臼では町出身者の帰省自粛を呼びかけた。その代わりに魚介類を都会の羅臼出身者に送ったという。陰性確認ができればみんな自由に帰省するのにと思う。国の考えはわからない。きっとそこには我々下々の者にはわからない何か高邁な理由があるのだろう。PCR検査をビジネスにしなければ結果は3時間以内に出る。儲けようとするから尤もらしく法外な費用を示す。手をこまねいて嵐が過ぎるのを待つより、国がもっと検査を行うべきだと思う。そうすれば地方の経済も潤う。
今年の知床エクスペディションはコロナ禍の中で行われている。私はコロンブスやピサロがヨーロッパの疫病を新大陸に持ち込んだ愚は犯したくない。だから参加者にPCR検査をお願いしている。知床もそうだが地方の人たちは都会からウィルスが入ることを恐れている。検査が陰性なら人々は安心する。様々な意見があるがその視点の多くは都会に住む人のものであり地方に寄り添ったものではない。国は感染防止と経済の両立を目指している。それなら徹底的なPCR検査で陰性確認をして自由にどこへでも行くことができるようにすれば良いのにと思う。しかし何故かそうはならない。現状はマスクパフォーマンスと何が本当かわからない情報で地方だけでなく旅行に行こうとする人たちを混乱させ委縮させている。どうしてなのだろうか。フェースガードに至ってはそれが必要な医者でもないのに滑稽でさえある。
現在PCR検査は行政検査以外有料だ。それもようやく各地で受検できるようになっている。しかしそのハードルは高く何よりも高額だ。そして結果が出るまで時間がかかる。また検査で出される陰性証明書にも高い料金がかかる。これではよほどの必要がなければ人々は受けない。ニューヨーク州ではクオモ知事の指示で無料で何度でも受けられるという。東京から小笠原へ行く人たちもソフトバンク孫さんが無料で検査を受けられる態勢を作った。知床も離島のようなものだ。私は知床エクスペディションを続ける以上、行く先の不安解消に責任がある。だから友人の感染症専門医の指導と協力のもと、知床エクスペディション参加者に限り札幌でPCR検査を行う態勢を作った。彼は「やぢ」という医者だ。やぢ、矢島先生は感染症専門医として北海道のコロナ問題に取り組んでいる。やぢは元アルペンレーサーで昔からの私の友人だ。知床に参加したこともある。私はエキノコックス対策を厳しく行っている。矢島先生はエキノコックス症患者の手術をしたことがある。開いた肝臓は通常の肝臓癌以上に石灰化してドロドロであり手の施しようがなかったという。エキノコックスに罹る確率は低くても生水は飲まないほうが良いというのが彼の見解だ。今回も私はやぢに相談した。かれはPCR検査以外方法はないと断言した。
知床では羅臼最奥の昆布漁師の村田の父さんでさえ汚いマスクを顎にかけている。今、羅臼のみなさんは私たちが陰性だと聞いて喜び、安心して話しかけ酒に誘ってくれる。今年羅臼では町出身者の帰省自粛を呼びかけた。その代わりに魚介類を都会の羅臼出身者に送ったという。陰性確認ができればみんな自由に帰省するのにと思う。国の考えはわからない。きっとそこには我々下々の者にはわからない何か高邁な理由があるのだろう。PCR検査をビジネスにしなければ結果は3時間以内に出る。儲けようとするから尤もらしく法外な費用を示す。手をこまねいて嵐が過ぎるのを待つより、国がもっと検査を行うべきだと思う。そうすれば地方の経済も潤う。
新谷暁生