四月十五日の朝のこと、前日の天気予報では
日の出からお日様マークだけの良いお天気のはずが
早起きして西の空を眺めれば
箱根の上には厚い雲が覆いかぶさっていた。
青空と湖と桜のコラボのショットを楽しみにしていたのに・・・
ま、そのうち晴れてくれるでしょうと
芦ノ湖の”湖畔の一本桜”までやってきました。
夕方のニュースに流すのでしょうか?
某テレビ局のスタッフがカメラを据えて撮影している様子に
遠慮して離れたところから、とりあえず最初の一枚を撮ってみました。
そして、反対側に回りもう一枚
芦ノ湖も今日の空のよう
足元の一本桜の庭に目をやると
「こちらも見てね。」と
春の野草たちが話しかけてくる
時間が経てば晴れるかも知れないので
太陽が覗くまでお茶にしようと宮ノ下まで移動しました
ここはむかし
ヘレン・ケラーが宿泊されたことがある
老舗のホテル。
ホテルロビーの柱には彼女が愛した尾長鶏が彫られています。
初来日の彼女が箱根滞在中(昭和12年5月)に
尾長鶏を膝に乗せ笑顔で可愛がっている
寛ぎのひとときの様子が写真に残されています。
(富士屋ホテルHPから拝借)
『世界で最も素晴らしく、最も美しいものは、
それは、心で感じなければならないのです。』
ヘレン・ケラー
彼女が二度目の来日のとき
再び彼女は箱根(昭和23年9月)を訪れました。
ところが、既にこの尾長鶏は天国に召されていましたので
彼女は大変悲しんだそうです。
それでホテルは
彼女に再びその様な思いをさせてはいけないと
おもてなしの気持ちで柱に尾長鶏を刻んだのでした。
昭和30年6月に3度目の来日となりましたが
彼女はこの尾長鶏に触れる機会は
残念ながらありませんでした。
でも、ホテルのおもてなしの心は届いたことでしょう。
そんなエピソードがこの柱に刻まれています。
そうこうしながらのコーヒーブレイクは終わりましたが
箱根の雲は相変わらずで、この日はこのまま帰路につきました。