Life Hacking

城西雑録--日々のあれこれとよもやま。

トゥーランドット

2015-08-26 | 本とか映画とか
 来年のことをいうと、わたしの場合は、閻魔大王と牛頭馬頭が、せせら笑いそうなのだけれど、残すこと4か月。あっという間に来るよ、その来年が。

 この秋のニューヨークのメトロポリタン歌劇場(MET)の目玉公演は、プッチーニの「トゥーランドット」で、その10月3日に予定されている舞台公演を映画化したものが、来年の2月27日から一週間、松竹系の東劇や新宿ピカデリーなんかで公開されるのだ。
だから、来年の話になると、いったわけ。



 オペラや歌舞伎といった三次元の舞台芸術を、そのまま撮影して映画という二次元の媒体に落とし込むという手法は、撮影機材の小型化やデジタル化を背景して、舞台そのものを損なうことなく、最近はふつうに行われている。
 もちろん、公演後にひろく公開して、お金をもっと儲けることが目的なのだけれど、とても、すばらしく、ステキな工夫なんだ。

 ミラノのスカラ座の東京公演で、かつて腰を抜かすような料金設定があって、天を仰いだことがあるのだけれれど、舞台装置とか、歌手や楽団をそのまま、日本に持ってこようという大胆な発想それ自体がいかんね。
 でも、日本で、歌手とか、自前でやっても、なかなか、なあああ。

 その点、映画ならば、ディスクの持ち運びだけで済むはずだから、メトロポリタン歌劇場のオペラが、簡単に全国で公開できるわけ。まあ、二次元になってしまったものなのだけれど。。。鑑賞料金は、3,000円前後のはず。もう予約の受付が始まっているはずなんだけれど、閻魔大王関係もあり、わたしの場合は、予約は年を越してから。

 なぜ、突然、わたし的に「トゥーランドット」になったかというと、トム・クルーズの映画「ミッション・インポッシブル」の山場が、「トゥーランドット」の舞台裏での設定だったから。

 ーー銃声も、オペラ歌手の声量に消されてしまうという圧倒的な迫力ぶりだった。

 メトロポリタン歌劇場(MET)での「トゥーランドット」は、むろんイタリア語公演なんだけれど、映画の場合は、字幕が明瞭につくので、その点がよろしい。3時間半の長丁場だけれど、休憩があるから、大丈夫。
 なんか、松竹の宣伝みたいになっちゃった。詳しくは、METをNETで。

一期一会

2015-08-24 | 本とか映画とか
 新宿のシネコンへ向かう途中の乗換駅(笹塚)で、電車を乗り換えた折、すれ違い様、あちらも、こちらもお互いに気づいて、「おぉぉ!」と声を上げ、どちらも右手を挙げて、笑顔でそれだけの挨拶を交わしたのだけれど、お互いの電車は、すぐに駅を離れ、そのまま、、、別れたのだけれど、名前は思い浮かばす、いつ出遭ったのかも定かではない。

 こういうのは、一期一会という。。。それとも一期二会か。

 阿南さんとか、真崎さんとかも、言葉を交わすほどに出遭っている。一方は、阿南惟幾で、他方は、真崎甚三郎の、いずれも孫ということだった。。。ので、名前が記憶に残っている。お二方は、いま出会っても、気づかずに、声もかけずに、そのまますれ違うだろうことになるああ。

 映画「日本のいちばん長い日」は、昭和天皇とか陸軍大臣の阿南惟幾が主人公で、終戦の日の8月15日の宮城事件を描いているわけ。


 演じるほうも、演出する方も、見るほうも、背景や顛末をよく承知しいる予定調和の作品だから、ハラハラドキドキもなく、玉音放送に至るのだけれど、70年前の話だから、ね。

 実際は、あの時点では、日本敗亡の崖っぷちにあて、上から下まで、全員が先が見えない焦燥、恐怖、怯えなんかに苛まれていたのだろうと思う。
 戦地では、玉砕に次ぐ玉砕、沖縄戦では住民が戦闘に巻き込まれ、内地でも広島、長崎はいうに及ばず、各地の空襲で、膨大な数の罹災者が苦しんでいる断末魔の切迫した状況があって、昭和天皇とて、三国同盟のお仲間のムッソリーニが逆さづりにされ、ヒットラーが自殺して、自分の運命が暗転していることを承知していたはずなのに、映画からは、そんな雰囲気は、まったく伝わらない。

 まあ、70年前の話だし。。。。でも、わたし的には、もう少し、汗っぽく、狂気がにじみ出る感じがあってもよかったのかな、と思いはしますが、ね。

 自衛隊が外地で戦闘に巻きこまれて、自衛隊員が不幸にして戦死した場合は、なぜか、靖国神社は、合祀の対象にしないのだとか。

 ちょっと違和感があったので、帰宅後に、宮城事件の関係者の扱いを調べてみました。
 自刃した陸軍大臣阿南惟幾は、これは合祀されている。特攻作戦の主唱者で、同じく自裁した海軍中将大西瀧治郎も、合祀。A級戦犯のみなさんも、合祀。
 一方、宮城事件を主導した畑中少佐たちは、おそらく祭られていない。。ね。
 226事件の反乱仕官は、誰ひとりとして入っていない。西南戦争で敗死した西郷隆盛も入っていないから。。。

池でも沼でもないのだが

2015-08-23 | 本とか映画とか
 韓流の池でも沼でもないのですが、ファン・ジョンミン(黄正民)が出た「新しき世界」が<GYAO!>での無料公開につづき、某サイトでも公開していたので、7インチタブを目の前にかざして、寝転がりながら見ました。

 筋だては、迫力満点。Yahoo!の映画評点が、<4.40>。ーー結構でした。
 反日、なかったし。
 韓国と中国との関係が深くなって、主人公は、在韓華僑という、これまであまりなかった設定となって、吉林の「延辺の物乞い」と呼ぶ中国・朝鮮族の殺し屋の出しっぷりも、出色のできでした。よ。


で、同じファン・ジョンミンが主演のヒット作「国際市場で逢いましょう」が、新宿3丁目で架かっていたので、上映館へいってきました。現時点では、もう公開終了ですが、DVDが出ている。
 わたしが行ったのは、公開終了の間際でしたが、沼派のみなさんで、館内は、3席を残すのみ。ーー大盛況でした。

 この映画はYahoo!の映画評点が、<4.27>。「国際市場」というのは、釜山のそれ。
 南北分断のゴチャゴチャを背景にした家族史で、涙なくしてみれないのだけれど、ファン・ジョンミンの好演で、飽きずに最後まで見れました。
 こちらも反日なし。
 「国際市場で逢いましょう」は、そのうち、下高井戸あたりの名画座系にも架かる、そんな感じの手合いの安心して見れる映画でした。よ。

コーマック・マッカーシー

2015-01-18 | 本とか映画とか
冬ばれの日曜日。陽だまりのなかで、まったりと読んだのが--、
  ↓
コーマック・マッカーシー「ブラッド・メリディアン」(2009年・早川書房)

テキサスとメキシコ北部を舞台に、騎兵隊の大尉と判事が率いる無法集団(!)が、アパッチ・インデアンを狩って、賞金になる頭の皮を剥いで回るというのが、一行表現の大筋ながら、生々しいのに、乾いたというか、贅肉のない描写だから、おぞましさがないところが、さすがのピュリッツアー賞作家の作品でした。

Amazonでの書評も、読み込んだ方々のベタ褒め評ばかり。最悪というか、最高の残酷小説。

で、マッカーシー作品をもとに映画化されたのは、わたしが見たもの順に挙げると。

コーエン兄弟の「ノーカントリー」(アカデミー賞、もらった)
リードリー・スコットの「悪の法則」(評判は、いまいち。わたし的にも、いまいち)
ヴィゴ・モーテンセンの「ザ・ロード」(--最後に救われる)

でも、この「ブラッド・メリディアン」の映画化となると、ムリムリ。。だろうなあ。
暴力に次ぐ暴力に加えて、アルコール漬けの頭部とか、寝込みを襲って、弓矢相手にライフルで無慈悲に集団虐殺とか、だから。ね。

日本を舞台にしたら、どんな局面なのかなあ。とも思いました。
例えば、江戸初期の九州での切支丹狩りみたいな???

歌劇「イーゴリ公」を新宿で

2014-04-06 | 本とか映画とか
 オペラというものには、まったく縁がなったのですが、舞台オペラの映画化(?)というのが、流行(はやり)らしく、一体どんなものか、きょう(6日)に、新宿ピカデリー(シネコンだよ)で、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場(MET)でこの3月1日に上演された、ロシアオペラ(!)のボロディン「イーゴリ公」(全三幕・全部ロシア語!)を見てきました。

 オペラ「イーゴリ公」は、ロシア国内での上演は幾多なんだけれど、METにかかったのはン十年ぶりという前説があり、キャストは、いまのロシアを代表するオペラ歌手を揃えたそうです。「NYのあのMETでやるんだぜ」で、超一流で、演出もロシアの鬼才の方の新機軸――むろん、全員、名前も顔もわからない。マリア・カラス、知ってるけど。

 舞台オペラの映画化というのは、幕開けから最後のカーテンコールまでを映画撮影した、三次元の舞台芸術を二次元の画像に落としたいわばドキュメンタリーみたいなものながら、――長かったぜ。上映時間、4時間15分だぜ。

でも、ね。
これが、見事に編集されていて、なかなか見ごたえのあるものになって、この4時間15分を飽きさせない。
 洋画と同じく字幕つきだから、ロシアの歌声も意味がわかった。
それに、ソプラノとか、テノールとか、バリトンとかの気合の入った歌声も、最新のシネコン音響で、見事に再現されて、その迫力、圧倒的で、なかなか良かった。。わん。

メトロポリタン歌劇場というのもどんなところかも、わかった。
舞台から見て客席は4階まであるんだ。そんなことは常識なんだろうけれど、わたしには、まだまだ知らない世界もあるということで、きょうは、有意義な一日になりました。

指揮:ジャナンドレア・ノセダ
演出:ディミトリ・チェルニアコフ
イーゴリ公:イルダール・アブドラザコフ(バスバリトン)
奥方:オクサナ・ディーカ(ソプラノ)
――詳しくは、NETでMETを。。。検索どうぞ!