帰りのホームルームが終わる
「起立!」
ガタガタガタ(生徒が椅子から立ち上がる音)
「礼!」
ピュー(Hさんが教室から出て行く音)
Hさんはいつもあっという間に教室からいなくなり
帰宅の途につくのでした
放課後の滞在時間は1秒
休み時間も昼食もひとり
クラス替えのない中2と中3、2年間同じクラスにいて
Hさんは最大の謎でした
帰りのホームルームが終わる
「起立!」
ガタガタガタ(生徒が椅子から立ち上がる音)
「礼!」
ピュー(Hさんが教室から出て行く音)
Hさんはいつもあっという間に教室からいなくなり
帰宅の途につくのでした
放課後の滞在時間は1秒
休み時間も昼食もひとり
クラス替えのない中2と中3、2年間同じクラスにいて
Hさんは最大の謎でした
18才まで陸上競技を本気でやっていました
中長距離が専門種目でした
シーズン中は競技場トラック、冬場はロードレースが
主戦場となりました
それなりの研鑚は積んでいたので
小さな大会では先頭に立つこともありました
先頭にはいつも特別の静けさがありました
沿道にはまばらに見物人がいたり、係員がいたりして
様々な物音はしていたはずなのに
先頭を走っている時、私には風を切って行く音と
限界に向かう自身の荒い呼吸だけが、シーンとした
空気の中で聴こえるのでした
その時の感触が今も体内に残っています
実際に味わうのはもう無理であるその感触を胸に
今週末11.2kmのレース、走ってきます
「牛乳はよく噛んで飲みましょう」
誰が言い出したのだろう…
いっとき推奨された「牛乳カミカミ飲み」(私が今命名しました)
消化にいい飲み方なんだか知らないが
そんな気持ちの悪い飲み方、私はしませんでした
周りを見てもそんな人いま………………した!
マジメ秀才のS君!
卒業するまで彼はずっとそうやって飲み続けました
もしかしたらその後もその飲み方で
年を重ねていったのかもしれません
小6になり次兄の机を譲り受けました
その時、新品の電気スタンドも一緒に
もらいました
台の上には小さな家が飾りについている
かわいいスタンドで気に入りました
誰が買ってくれたのだろう…
謎のまま50年が経ってしまいました