クラシック奏者は太管、ジャズ、スタジオ奏者は細管を使うというのが一般的ですが、最近ではクラシック奏者がジャズっぽい曲を演奏する場合は細管に持ち替え、ジャズ、スタジオ奏者がクラシック、クラシカルな曲を演奏する場合や、低音中心の太い音が必要とされる場合には、太管に持ち替えて演奏する事も多くなっています。
同じトロンボーン同士なので、それ程持ち替えは難しくないようにも思えますが、細管と太管とでは管の太さも随分違うし、マウスピースの口径、カップ容量、ボアサイズの違いにより、かなり吹奏感も違います。
細管と太管の持ち替えで一番問題となるのは、息の使い方というか息の入れ方でしょうか。太管においては、たっぷりとした太い息を楽器に入れるイメージなのに対して、細管の場合は楽器に入れる息の量を上手くコントロールして(息を殺すという意味ではない)、太管よりも少し息のスピードを早くするようなイメージで吹くと良いと思います。細管を吹く時に太管のようなイメージでたっぷりとした息を入れてしまうと、乱暴な荒れた音で楽器が鳴ってしまいますし、反対に太管をたっぷりとした十分な息を使わずに吹いてしまうと、太管らしい豊な響きのある音は得られず貧弱な音になってしまいます。
つまり細管と太管の吹き分けのコツは息の使い方(主にスピードと量)が全てといっても良いですね。ただやみくもにたっぷりとした息を使うとかスピードをコントロールするのではなく、豊かな響きの太管、タイトでスピード感のある細管など、それぞれの楽器で出したい音色イメージをしっかり持って息のコントロールを行う事が大切です。オペラ歌手とポップス歌手とでは、発声法、歌唱法がかなり異なるという事と近い感覚かもしれませんね。
僕が仕事で使用する楽器は細管が主ですが、細管ばかり吹いていると、いざ太管を吹く必要になった場合、太管のコントロールがとても難しく感じてしまいます。なので、普段の練習ではまず太管から吹き始め、太管を中心に練習をするようにしています。そうすると細管に持ち替えた時にとても容易に細管をコントロールできる感覚になります。つまり太管をホームポジション的にとらえた方が持ち替えは楽です。逆に細管をメインに考えてしまうと、太管への持ち替えは非常に困難なものになります。
また楽器ですが、メーカーが違うと音程感、スライドポシジョンの位置、吹奏感も変わってくるので、出来れば同じメーカーで統一した方が、持ち替え時の違和感は少なくて良いと思います。
現在、細管、太管とも楽器はシャイアーズを使用。マウスピースは、細管はストークNY7C、太管はストークNY 6-1/2ALを使用しています。
マルチブラスのすすめ、次回はテナートロンボーンとバストロンボーンの持ち替えについての話題です。
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