ミックスダウン作業というのは、音色の作り方、各楽器の音量バランスやエフェクトのかけ方次第でいくらでもサウンドを変えることが出来るので、とても楽しい作業ですが、その分細かい作業も多く、長時間の集中力と根気の要る作業です。そもそもミックスは20代~30代の頃に様々なバンド活動をやっている時に趣味で始めた事なのですが、自分のバンドや友人のバンドのミックスをやっている内に、いつの間にかミックス仕事の依頼が来るようになった、という感じで、決してミキシングエンジニア、マスタリングエンジニアを目指して勉強していた訳ではないのですね。まさに「趣味が高じて・・・」の流れです。でも今思えば、バンドでCDを作った時にエンジニアさんがミックス作業しているところを毎日何時間もずっと見学していたのですが、それが一番勉強になりました。
ミックスダウンの仕事をいただけるようになってからもう何年も経ちますが、僕がミックス作業で最も面倒くさいと思う作業は、ボーカルのボリュームオートメーション書き作業。これは、歌の歌詞がきちんと聞き取れるようにボリューム情報を細かく書き込む作業のことです。オケが静かな所とサビで盛り上がる所とでは、オケ(伴奏)の音量がかなり違ってきますから、ボーカルもそれに合わせ音量を調整する必要があります。また歌手の歌い方によっては、歌詞がよく聞き取れない箇所も出てきますから、聞き取りにくい歌詞の部分はピンポイントで音量を持ち上げてあげる必要があります。これが結構時間がかかる作業なんですねぇ。しかもとても地味な作業なので、根気と辛抱強さが必要です。ボーカルのボリュームオートメーション書き作業だけで最低でも3~4時間はかかります。もの凄くこだわるエンジニアさんは8時間くらいかけるそうです。
コンピューターの進歩でDAWソフトさえあれば誰でも簡単にミックス出来てしまう時代ですが、プロとアマチュアの差が最も顕著に表れるのは、ボーカルのボーリュームオートメーション書きではないかと思います。趣味でミックスをやっている人の中には、そもそもボリュームオートメーションを知らない人もいますし、知っていてもほとんどボリュームは書かない、あるいはそれ程時間をかけない、という感じのようです。
自動でボリュームオートメーションを書いてくれるWAVESのVocal Riderのような便利なプラグインもあり、僕は必ずこれをボーカルトラックに挿しています。なかなか優秀なソフトではあるのですが、やはり万能ではなく、Vocal Riderだけに任せる訳にはいきません。最終的には手書きによるボリュームオートメーション書きが必要です。それでもVocal Riderのお陰で少しだけ作業時間は短縮できました。
これからマスタリング作業に入ります。
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