『私の本棚』

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心の宝箱【恋はオンナをきれいにするが、失恋はもっときれいにする】

2024-08-26 17:00:00 | 心の宝箱


『オレンジシルク』神田茜01(新潮社2016/4/25)

ヒロインの印子は手品など興味のない信用金庫勤務の地味な30歳のOL。友人キヨミの恋人がマジシャンであった為、嫉妬半分、その世界を覗き見して、人気マジシャンのユウト出会う。ユウトに、やがてマジックそのものに魅せられていく印子はその世界を知ろうと入り込んでいってしまう。マジックというのは魅惑的な世界。虚構があって真実がある。目の錯覚で見える幻の裏に仕掛けが隠されている。最も虚構と真実が存在するのは手品の世界だけではないことに徐々に気づかされる。例えば印子の周りで起きる『オレオレ詐欺』。この手の行為もある種のマジックだ。悪質な犯人たちが作り出した不幸せな虚構。その中にある仕掛けを見破らなくてはならない。印子の恋だって、虚構と真実の間を彷徨い、一方的にユウトのファンになり、世話を焼く。拒絶はされないけれど、それは恋愛なのか? あるいは妄想なのか?想いを寄せる相手が何を考えているのか、印子をどう思っているのか、答えを見つけるのはマジックよりも難しい。この物語は虚構と真実が幾層にも積み重なっていて味わい深い。終盤に、大きな事実が明らかになる。なぜ『オレンジシルク』のモチーフはマジックでなければならなかったのか?マジックにはどこか危うい人を連れ去ってしまうような怖さがあるが、それとは真逆の力もある。人の心を温めるような不思議な力があったからマジックは人に愛されて受け継がれてきたのだ。


・恋はするものじゃなくて、落ちるものなの P8

・男性を一方的に想って追いかけるのは人生のなかで無駄な時間ではないか P54

・お金目当てに何かやってもらうのも情けないからねえ(略)
いきいきとして見えるのも、自分のために時間とお金を使うのだと、きっぱりと決めたからなのだろう P58

・恋をしたときには女友だちも必要だった(略)
誰かを好きになると、好きな気持ちを共有してくれる同性の友達がとっても必要だ P77

・恋はオンナをきれいにするが、失恋はもっとオンナをきれいにする P120

・ひとを好きになる気持ちには共感できるが、その相手の魅力というのは共感できない場合のほうが多い P150

・相手に見合うような女になろうって、努力するほうがいいんじゃないの?(略)
いい男と釣り合いがとれる、いい女になろうって努力するほうが、よっぽどポジティブじゃない?
見かけだけじゃなくて、内面的にも磨いて P174

・男は自分の仕事のことはなんにも知らない女のほうが好きなんだぞ P178

・好きなだけではエネルギーが切れるんだ P229

・同じことを続けることでわかってくることもある P246

・どんなことでも、近い未来に叶いそうな気がする P277





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