『カール・エビス教授のあやかし京都見聞録』柏井壽01(小学館文庫2019/8/11)
京都にまつわる不思議な体験、してみませんか。
英国人ミステリ作家のカール・エビスは京都にある名門、京洛大学に招かれ、教鞭を執っている。
次回作執筆の参考にと講義がない日には助手の九条葵と京都の街を練り歩き、日々創作の種を捜している。
まだ京都へ来てから日が浅いカールを驚かすのは京都ならではの不可思議な出来事。
時間や空間の概念などないかのように、安土桃山時代の逸話〈宗旦狐〉の母狐が化けた女性の姿を見かけたり、
〈六道の辻〉の案内人である年齢不詳の老婆と出会ったり。
京都人らしい、気遣いができるも小言を言わねば気が済まない性格の葵に振り回されながら、
行く先々でカールは科学で解明できない出来事に遭遇する。
『宗旦狐』『鐵輪の井』『六道の辻』『嵯峨野の竹林』『おかめ伝説』『百夜通い』6話連作短編集。*出町桝形商店街
・男女を問わず、京都人は心と言葉が必ずしも一致しない P16
・ケチではなく始末。
これはある種の京都人の美学 P140
・一日だけ幸せでいたいなら、床屋へいけ。
一週間だけ幸せでいたいなら、結婚をしろ。
一か月だけ幸せでいたいなら、車買え。
一年だけ幸せでいたいなら、家を買え。
一生幸せでいたいなら、正直でいることだ P181
・感情移入できないと、どうしても斜めに観てしまう。
ふーん、としか言いようがなかった(略)
人は誰でも自分が感動したものを否定されると落胆する。
自分自身まで否定されたように思ってしまうことすらあるのだP228
・伝説というものは、いかにもっともらしく見せて伝えていくかが大事なのであって、
一か所でもほころびがあると、そこから一挙に夢が壊れてしまう P243
・何もかもが偶然のできごとのように見えて、
実はすべてが仕組まれた作りごと、はかりごとのようにも思えてしまう P276