『妻の終活』坂井希久子(祥伝社2019/9/20)
70歳になる一之瀬廉太郎は定年まで勤めあげた製菓会社で嘱託として働き、
家事や子育ては2歳下の妻杏子に任せきり仕事一筋で生きてきた。
ある日妻から病院の付き添いを頼まれるが妻の頼みごとなど42年の結婚生活で初めてだったのに断ってしまう。
帰宅後妻は末期癌で余命1年と宣告されたと告げ、
呆然とする廉太郎に長女は「もうお母さんを解放してあげて」と泣きながら訴える。
余命1年を宣告された妻が夫に遺す最期の仕事とは?
別れを前にした夫婦の姿を描いた長編小説。
・人の厚意というのは、素直に受け取っておくが吉である P9
・残された時間を、できるかぎり楽しくすごしたい P58
・欲こそが人の原動力 P83
・男なんて、弱いもんだよ。
この先の生き方が決まってないんなら、奥さんの言うことを聞いておけ P123
・居場所は用意されるものじゃなく、作るもの P175
・身内を失った悲しみに、男も女も関係ない P272
・受け取る相手のいない謝罪を、胸の内で繰り返す。
厭きるまで謝罪を繰り返し、ようやく「ありがとう」という言葉が浮かび上がってくる P282