『お会式の夜に』黒野伸一01(廣済堂出版2019/8/20)
毎年10月に池上本門寺で行われるお会式は日蓮上人入滅の法要。当日は全国から30万人もの人が集まり、
池上は盛大なお祭り空間と化す、この小ぢんまりとした門前町に越してきた美咲は古くからくず餅の商売を商う老夫婦、
飲み屋横丁に集う人々、美咲同様に新しくこの町に住みついた新住人、そして池上本門寺の子院である
本妙院の住職と知り合い、少しずつ、この観光化されていない含羞に満ちた門前町に自分の居場所を見つけていく。
・お行儀がいいのは悪いことではないが、お行儀が良すぎるお祭りは、あまり面白くないような気がする。
無礼講が許されるからこそ、お祭りではないのか P80
・怒りを忘れ明るく生きるか、あるいは怒りに満ちた不満だらけの人生を送るか。
それはその人次第であって、それ以外に原因はない P87
・怒りは外的要因ではなく、己の心の持ちようということだ。
ちょっとしたことで激高する人もいれば、ひどい仕打ちをされても平気な人もいる。
怒らない人は、物事に対して寛容な心を持ち合わせているのだろう。自分だって完璧な人間じゃない。
知らぬ間にどこかで他人を傷つけているかもしれない。だからお互いさまじゃないか P89
・不寛容な人たちには何を言っても無駄らしい P120