『仇敵』池井戸潤(講談社文庫2006/1/15)
幹部行員の裏金工作を追及した恋窪商太郎は謂れなき罪を着せられメガバンクを辞職。
エリートから地方銀行の庶務行員となり、人生の豊かさを知る。
だが、元ライバルからの電話が再び運命を揺るがす。
不正を知った元ライバルが謎の死を迎え、恋窪は仇敵への復讐を誓う。
『庶務行員』『貸さぬ親切』『仇敵』『漏洩』『密計』『逆転』『裏金』『キャッシュ・スパイラル』8話連作短編集。
・金に色は無いと言われる。
だが金は鏡と同じだ。
金そのものに色は無くても、それを持つ者の色を忠実に映す。
その意味で金には二つの色がある。
白と黒。まっとうな金と不当に得た金である P92
・人生の途中でやり残したことがある。
それをやり遂げなければ(略)
新しい人生は訪れない P136
・ビジネスの基本はやはり人と人との信頼関係だ。
ところが、金が絡むと古い友人を裏切ったり、悪意としか思えないような行為を平気でする。
人間なんだから失敗は誰にでもある。
会社が行き詰まることより、自分を信頼してくれた友人たちを平気で裏切ってしまうことのほうが問題なのに、
それに気づかず、取り返しのつかない過ちを犯す P220
・誰の心にも悪意は潜んでいる。
悪意が無くても、ミスは起きる P325