銀座平野屋で取り扱っております鞄には昔ながらの技法を使って制作されたものがいくつかございます。
その一つが、こちらの
「金唐革バッグ」です。
金唐革(きんからかわ)とは、イタリア・ルネッサンス(1470年頃)フィレンツェで生まれ、メディチ家の庇護の元に発展した加工技術です。
腰の強い箔(金を含んだ合金)を貼った革を型押ししますが、型出しは浮き出し模様にします(凹の反対)
これによって湿気の多い時でも、革の浮き出し部分に湿気が吸収され、のびてみえなくなります。
この加工技術で、何百年も弾力を失わない、重厚で落ち着きのある色彩の革が出来上がります。
ヨーロッパではこの技術を用いて、高級な壁張りや書物の表紙として使用されました。
日本では17世紀後半頃江戸時代に渡ってきました。
鎖国下の日本では大変貴重な品で、ごく一部の裕福な商人などに好まれて煙草入れや屏風などに使われました。
その後、平賀源内によって和紙でできた「金唐革紙」が考案されさらに広がりをみせます。
後に文明開化を迎え一般庶民にも浸透するようになりますが、徐々に廃れ、その技術も幻となった時期があったようです。
銀座平野屋所蔵の金唐革たばこ入れ
このようにヨーロッパや日本で愛された金唐革を現代に蘇らせた逸品が、銀座平野屋にもございます。
平野屋の金唐革バッグの表面(ワイン色)
お手に取っていただき、いにしえの文化に思いを馳せていただけると幸いです。
*参考文献「きんからかわ 革と紙の東西交流」伊奈ギャラリーVOL3 NO4 1974年2月発行