銀座平野屋には普段お客様の目にはふれないけれど、素敵なものが数々ございます。
それは江戸からの粋を伝える物であったり、先人の技や美を伝えるものであったり様々です。
その中で銀座平野屋には、先人の技が光る逸品もございます。
(その1)(その2)に続き、 たばこ入れの中から「利休形たばこ入れ」のご紹介です。
まずは1つ目。
『格子伍呂地(こうしごろじ) 利休形たばこ入れ』
(上)叺(かます)11.5×7cm
(下)きせる筒20×2.7cm
赤と白のチェック柄(格子)が目を引く生地です。
『伍呂(ごろ)』と呼ばれる生地で、
近世イギリスやオランダから輸入された毛織物です。
独特の乾いた手触りで、地厚な印象です。
主に夏用の陣羽織や火事羽織、合羽などに使用されたようです。
周囲を革で縁取っているので、細部まで気を配って作成されたことがわかります。
きせる筒の入れ口も革で縁どられているんです。
叺のかぶせ(蓋部分)には、
熨斗(のし)結びの形の前金具がついています。(幅2.3cm)
写真から生地のゴソっとした感じがわかるかと思います。
そして、かぶせ部分とかぶせ下部分に、スナップ状の金具が見られます。
こはぜではありません。
かぶせ下側の円形の金具を「つく」
かぶせ側の細長い金具を「裏座」と呼びます。
この二つの部品、気持ちがいいほどぴったりと合います。
スナップボタンなどない時代に、
ぴったり合わせる金具を作るのは、
すごいなあといつも思ってしまいます。
こんなに小さな金具にも職人の技が光っているんです。
2つ目です。
『絹地花文卍崩し 利休形たばこ入れ』
(上)叺(かます)12.5×6.8cm
(下)きせる筒20×2.5cm
ご紹介した利休形たばこ入れの中で最もシンプルなものです。
花模様に青い卍崩し柄の絹で作られました。
中の様子。黒い絹で裏地をつけてあります。
金属製のこはぜと、こはぜ掛けが見られます。
実にシンプル。
余計な飾りも、豪奢な生地もない。
ありふれた生地を使い、シンプルに作られたたばこ入れ。
「千利休」は侘び茶を大成させた茶人です。
余計なものを省き、ただ茶を点て、もてなすことに心血を注ぎました。
このたばこ入れが「利休形」本来の姿かもしれませんね。
利休形以外のたばこ入れについても、この回で少し触れたかったのですが
ショックが大きいことがあったため、本日はここまでにさせて下さい。
なお、利休形たばこ入れ」あと一回お付き合い下さい。
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