銀座平野屋女将日記

銀座平野屋210年のあゆみと老舗女将の嫁日記

先代店主とそのコレクション(1)

2010-01-25 | 日記
今日は、平野屋の先代店主、平岩恒三郎と、そのコレクションのお話をしたいと思います。

平岩恒三郎は、1915年(大正4年)板橋生まれ。1930年(昭和5年)から平野屋の手伝いに入りました。当時は、美術クラブの売立等、様々な交換会、即売会などの催しがあり、古今東西の美術品、工芸品が出品されていたのです。品物を実際に見て手に取ることにより、彼の鑑識眼は養われ、目利きとしての実力も次第に認められていきました。
1954年(昭和24年)平野屋が法人となり、恒三郎はその社長に就任。伊勢丹を始め、大阪梅田阪急、九州玉屋百貨店など、支店経営にも乗り出しました。また、温厚で穏やかな気質で、多くのお客様に親しまれ、「銀座の生き字引」として慕われました。2005年(平成17年)、90歳で逝去いたしました。

今回は、彼のコレクションの一部である、煙草入をご紹介します。一口に煙草入と申しましても、当時の物は、現代にも通用する洗練されたデザインと高度な職人技が特徴的です。復元しようとしても、職人が高齢化し、若い層にも継承されておりませんので、半ば芸術品のようになってしまっております。
この煙草入はそう古いものではありませんが、縦縞の臈纈(ろうけつ)染めの色合いが、江戸の粋を感じさせます。大きさは約6×8×2.5cm。懐かしいひびき、ゴールデンバットがすっぽり納まる小さめサイズですが、今の煙草の大きさでも入ります。

※臈纈(ろうけつ)染め:ろうを防汚剤として使う染色法。熱して液状になったろうで模様を描き、後でろうを取り除く技法です。


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