銀座平野屋女将日記

銀座平野屋210年のあゆみと老舗女将の嫁日記

格調の美ー櫛・笄(その3)

2019-02-23 | 日記

 

 

銀座平野屋には普段お客様の目にはふれないけれど、

素敵なものが数々ございます。

それは江戸からの粋を伝える物であったり、

先人の技や美を伝えるものであったり様々です。


 

(その1)(その2)に引き続き、今回は櫛・笄の3回目です! 

前の2回でご紹介したのが、黒っぽい櫛・笄ばかりでしたので

「櫛・笄は黒ばかり?」と思われたらちょっと困りますので、

まずは黒以外のものからご紹介です。

 

『櫛・笄 桜』 美明作 (櫛)縦5.2×横10cm (笄)16.7cm

 

ベージュの色漆で下地を塗り、

赤や緑の色漆で桜の花と数種類の葉を描いた櫛と笄です。 

こちらは櫛と笄でセットで使用されたものです。

櫛は木台のようです。

笄は中心部に、鼈甲の斑(ふ=黒っぽいまだら)が見えますので、

鼈甲と木(左右の部分)でできているようです。

 

櫛と笄の両方に「美明」の作者名が入っています。

よく見ると桜の花に色の切金(きりかね)蒔絵を施してあり、キラキラです

*切金蒔絵(きりかねまきえ)=金や銀の薄い箔を 細長や三角などにさらに細かく切り、これを貼り付けて文様をつける技法。

こちらが側面。とても小さい側面にも桜が。

 

この櫛・笄は他のものより若干大きく、色使いも綺麗です。

少し時代が下ったもののようですが、

若い女性が使ったものなのでしょう。

 本当に可愛らしい櫛と笄です。
 
春の装いによく似合っていたでしょうね。
 
 
 

 もう一つご紹介。

 

『櫛・笄 小菊紋』揚渓作 (櫛)縦3.5×横8.5cm (笄)14.8cm

黒甲の鼈甲台に螺鈿蒔絵で小菊などを描いた櫛と笄です。 

こちらは櫛と笄でセットで使用されたものです。

先に紹介したものより少し小ぶりです。

少し大きめのものは若い人が、

年齢が上がるに連れて、少々小ぶりのものを使う傾向があるようです。


上の写真とは別の面です。

よく見ると、櫛の右に「揚渓」と作者名が入っています。

(その1)でご紹介の「黒甲雪輪」と同じ作者ですね。

 

やはり1cm以下の側面にも蒔絵が!職人さんはすごいですねー

螺鈿の輝きがよくわかると思います。

 

 

 
 
 
 
銀座平野屋にあります櫛と笄を見ますと、
どれも惜しげも無く、高い技術と素材が使われています。
これを使った女性はそれなりの身分ー格ーがあったことが
うかがえます。
 
決して華美にはできない武家や商家の女性達。
彼女たちを装うため、格調高い美を追究していった職人の作品が
櫛笄というカタチで現代でも見ることができる。
まさに小さな美術館だと、あらためて思わされました。
 

 
 
 

本日岡山高島屋さんにて開催の

江戸・東京の味と技展」4日目です!

 

   

 

連日、多くのお客様にお越し頂いておりまして、

大変嬉しい限りです!

 

岡山高島屋さんのfacebookで、銀座平野屋の紹介の入った動画がupされています!

ちょっと短いですが合わせてご覧下さい。

 

2月25日(火)まで8階催事場にての開催です。

春の新商品を取り揃えて皆様のご来店をお待ち申し上げます!

  

✳︎最終日2月25日(月)は午後4時閉場になります。

 
 

 


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