明け方の千日紅を
眺めていて
聴こえてきた気がした
Après un rêve
ガブリエル・フォーレの
名曲
『夢のあとに』
甘く
切なく
美しく
透きとおるような悲しみの、
幻想的な
調べ
美しく神秘的な恋を
夢にみた男が
眠りから覚めてしまい、
眠りから覚めてしまい、
夢のなかの
まばゆいばかりの面影を求めて
「あの人を返してくれ」と
歌います。
美しい
空に
吸い込まれて
光や雲と戯れ
調和して
消えてゆくような
デイヴィッド・ギャレットの奏でる
切なる
ヴァイオリンの旋律
実際に詩を歌う
歌曲で
聴くよりも
熱く悲しい叫びを
伝えてくるように感じます。
でも
その夢は、
美しいその人は
ほんとうに
眠りのなかでみた
ただの夢だったのだろうかと
思ったりもする
わたしです。
ほんとうは
愛しい人との
過ぎ去ってしまった日々をもう一度と願う
詩であり
曲であるように、
感じて。
夢のなかに
きみの美しい姿があった
ぼくの幸せな夢、燃えあがる幻影
きみの瞳はとても優しく、声は澄んで響いた
きみの瞳はとても優しく、声は澄んで響いた
朝焼けに照らされる空のように
きみは光り輝いていた
きみに呼ばれて
ぼくはこの地上を離れた
光の彼方へ ふたり逃れるために
天はぼくらのために雲の扉を開き
未知なる輝き 神からの光がかすかに見えた
ああ!
ああ、なんという悲しい目覚め
ぼくは叫ぶ
おお、夜よ
おお、夜よ
あの人をぼくに返してくれ
戻れ、戻っておくれ、輝きよ
戻っておくれ
おお、神秘の夜よ!
『夢のあとに』
千日紅の
花の群れは ことしも
紅く
白く
ゆらゆらと
風にたゆたい
色褪せぬ愛を、うたっています。
☆