月を、待っている
数日前から
裏庭の生け垣にからまるカラスウリが花を咲かせはじめました。
まだ7月なのにちょっと早い気がする。
カラスウリは、
晩秋を彩る鮮やかなオレンジ色の実が目を引くけれど
夏の夜に咲く花はさらに印象的。
白いレース糸で優美に編んだような
蜘蛛の巣のような
糸状の繊細な花びらを風にそよがせる美しい花は
夜に白く透けて、どこまでも幻想的だ。
夕方、空が少しずつ薄暗くなるのを待ちわびたように
つぼみが開きはじめる。
ふわっと、
そしてするすると、糸がほどけるように。
花びらのまわりにレースの編み物がふんわりと広がって
だいたい1時間くらいかけて開いていく。
きっちり蚊対策をして
つぼみとシンクロするように、降りてくる夜を待ちます。
繊細で複雑な花びらは
つぼみのなかにきれいに折りたたまれていて
夜が近づくと、不思議なほど巧みにほどけて広がっていく。
1本1本の糸が少しずつ広がっていく様子は
神聖なまでに美しく、
何度見守っても、いつも感激するし
どうして絡まったりしないんだろう!? と感嘆してしまう。
細やかなこのレース糸が、
小さなつぼみのなかにどうやって折りたたまれているのだろう。
自然って… ほんとうに、すごい。
無垢な白は月の光のしたでよく目立ち、
闇のなかに
ふわふわした白い花がぼうっと浮かび上がっている。
そうして、花粉を運んでもらうために蛾を誘う。
朝陽の兆しでレースが縮みはじめ
最後に5弁の花びらが内側に丸まって、
つぼみのときのように、すべてを身のうちにぐっと閉じ込めていく。
神秘的で、幻想的。
翌朝にはしおれてしまう一夜花です。
生け垣のてっぺんで空を仰ぐ花。まだ半分くらい。