ふうわりと金木犀が香りはじめた。まだ9月なのに。季節はいまも早足であわただしく駆け抜けていく。そんなに急がないで。誰に祈るのかわらぬまま呟いている。庭の金木犀はほつほつとまだほんの咲きはじめ。それでもふとしたときに甘い香りがわたしを包んで秋だよ、とささやいていく。・