捕らえた獲物を
小枝の先に串ざしにする「はやにえ」が
ご自慢のモズは
体長20センチと言えども獰猛で、
小鳥界のハードボイルド。
鋭く大きい目と
かぎ型のくちばしが
猛禽の威厳を醸してカッコイイ。
カエルやトカゲ、ネズミのみならず
小鳥をも襲う(らしい。)
夏のあいだは
どこか避暑地へ赴いていた彼も
涼しくなると戻ってきて
このあたりを陣取ろうと
秋には盛んにキィキィと高鳴いていた。
縄張り争いがひと段落したいま
前ほど頻繁には
鳴かなくなっているけれど、
キンモクセイ、ヤマモモ、ブナ、電信柱…
要所要所の木を巡り、
そのてっぺんで
縄張りに目を光らせては
ときおり鋭い声を響かせている。
そしてどうやら
庭のキンモクセイが
彼の、
毎日のパトロール開始地点らしく
ちょうど
寝ているわたしの頭の上、
数メートルの距離で鳴く構図。
夜も明けきらぬうちから
キーィキィキィ、キチキチキチと
雄たけびを上げる。
…まだ暗いのに
わりと低めのネムの木で
狩りの最中っぽい彼と
目が合う。
頭でっかちで
真っ黒い通眼線。
漫画のキャラクターみたいで
いまにも
しゃべりだしそう。
なんじゃお主
名を名乗れ
俺さまキャラです。
そんな彼は
日が暮れた午後6時前にも
キンモクセイでキィキィと一鳴きする。
パトロールの締めくくり?
いまふと思ったけど
もしかして
キンモクセイが彼のねぐらなんだろうか。
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