厳かに
美しく咲く大輪の花よりも
心を奪われた
みなもを漂う
ひとひらの花びら
波紋にゆられて
淡い光を運ぶ
ゴンドラ
水に
その姿を映して
仄かに光り
くるり
くるり
池を渡ってゆく
奪われた心が
そのまま
久遠へと
さらわれそうなほど
美しくて
柔らかな雨は
みなもに
千々の波紋を広げ
音もなく
ひそやかに
池に
池に
すい込まれていく
くりかえし
くりかえし
見つめていると
道づれに
されそうな気がした
雨の匂いがする朝
カメラの放列は
蓮の花とカワセミの
邂逅を
待っている
その喧騒から離れて
蓮池に降る雨を
ひとり
見ていた
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