僕が感じるほどに
君の心は動かない
君が気づくことに
僕は無関心だ
僕に見えるものを君は見ず
君に聞こえるものを僕は聞かない
そうなんだよ
誰もがみんなひとりよがり
それで気分を悪くする
ばかげた話だ
僕が感じるほどに
君の心は動かない
君が気づくことに
僕は無関心だ
僕に見えるものを君は見ず
君に聞こえるものを僕は聞かない
そうなんだよ
誰もがみんなひとりよがり
それで気分を悪くする
ばかげた話だ
僕は
風に乗り
アクロバットする
一枚の枯葉
重さがなiい
上昇気流で空へ
失って急降下
目的地まで
風をよまねばならぬ
見ていたが読むことはしなかった
視力2.0
読解力0.0
風は止み
地上に落下した一枚の枯葉
踏むな!
目を押さえても
悲鳴は聞こえる
山の崩落
海の変容
そして世界の爆発音
耳を塞いでも
混沌は見える
街の電光板
朝一番の行列
そして世界の血図
逃げない
目を開き
耳を傾け
受けとめる
君は
セゴビアのシャコンヌを
聴いただろうか
濁流
水面は飛び散り
水底は荒れている
ひょうひょうと笛など吹けはしない
俯き 陥り 抜け出せない
だが
どこか一点
真っ平な場所があるはず
君よ
また聴くのだ
もう一度
聴くのだ
何度も何度も
聴くのだ
Segovia plays Chaconne by Bach
もう
まだ
試されるとき
波立つ水面の
空気の酸素なら上
水中の酸素なら下
人なら空気
沈むか
干上がるか
鍵はひとつ
上か下か
さあ
君よ
まだだろ
回すだけだ
友人がいたが、今はもういない。
2年前の4月、ゴールデンウィーク前に彼はいつものように軽口で「連休中に手術して、終わるころに戻ってくる」と話した。
連休が明けたら軽く一杯やろうと約束して別れた。
もう二人とも朝方けまで飲み明かすほど体力も気力もなかったから、軽くと言わずとも必然に軽く一杯になる。
手術の日を聞いていたので、その日から数日して携帯に電話をしてみた。
何度かかけているうちに、やっと彼が電話口に出た。
「痛いんだよ」
細々とした声が返ってきた。
それ以上の言葉は続かない。
その様子から長電話は悪いと思い、「元気になったらまた電話してくれ。待ってるよ」と言い残して電話を切ったが、その「痛いんだよ」が最後の言葉になろうとはその時思いもしなかった。
それから電話がかかってくることはなかったし、こちらからかけても繋がらなかった。
思い切って家族に彼の様子を尋ねた。
集中治療室にいるとの返答があったが、詳しくは話さなかった。
一度見舞いに行きたい旨を伝えたが、今は会えないと言われ、何か心の中がすっきりしないまま話は終わった。
(簡単な手術じゃなかったのか)
彼の様子から勝手にそう思い込んでいた自分に戸惑った。
彼の携帯は電源が切れたまま、家族に幾度か電話したが返事はいつも同じで、次第に迷惑そうな受け答えになっていくような感じであった。
(一体何があったのか。手術のミス、それとも入院中に他に悪い箇所でも見つかったのか)
想像だけが駆け巡り実態が全く分からないのはそれこそ体に毒だ。
4月末の連休初めに病院へ行ってから、瞬く間に1年の終わりを迎えた。
新年になれば見舞いにも行けるだろうと高をくくっていたが、翌年は2020年。
新型コロナ感染が広がり社会も生活も一変することになる。
もはや会うことなど叶わなくなった。
入院してから2年以上過ぎ、彼の身が尋常でないことは誰でもわかる。
時折、大丈夫なのかと、心の中では死という言葉も浮かんだりもしていた。
そんな折、電話の連絡で彼の死を知ったのだった。
亡くなって1か月ほど経つという。
なぜもっと早くと言いたかったが、電話口では悼む気持ちを返しただけだった。
彼との思い出はいろいろな場面、状況で様々にある。
少しずつ思い出して記しておきたい気持ちになった。
不可解なこともあるのだ。
僕が
死んだら
僕を
絶滅した恐竜のように
骨を拾い集めて
再現するな
ピラミッドに眠る
ミイラのように
形を残すな
断片と化した僕の身体を
風の強い日に
空へ撒け
空に散り
風となり
願わくば鳥に
好き放題してきたと
巷に言われる
が
そんなはずあるわけない
好き放題なんて
誰もできるわけじゃない
見えてもそれは虚数
実態のない数字と同じ
世間は虚数が好きだ
何でも言える
実在しないのだから
いいや
虚数は虚数の居場所があるのだ
長屋の続く細い路地に
見事な薔薇が咲いている
誰もが知らなければ
薔薇は実在しない
でもそこに堂々とあるじゃないか
今 目の前にあること が
一番大切なこと
今 目の前にいる人 が
一番大切な人
花が蕾であっても
咲いても 散っても
その時が一番美しい
そうでなければ
いつ生きるのだ
今を重ねて
今がある
急いでも
今を越えることはない
過ぎた今は化石
いつか
今の今が化石になる
その時は
横になり
できれば空だけを見ていたい
ベット・ミドラー
映画の主題歌です
歌詞の締めくくりは ”In the spring becomes the rose.”
今年の春は無理でも来年は・・・・・
The Rose - Bette Midler English & Japanese Lyrics
ジョン・コルトレーン テナーサックス
内的で激しい自己の探究者としてモダンジャズの中では欠かせない
一方で、情緒豊かな音楽を披露する
ジョニー・ハートマンの厚みのあるやさしい声もいい
John Coltrane & Johnny Hartman - My One And Only Love 1963