話の種

新聞やテレビ、雑誌などで、興味深かった記事や内容についての備忘録、感想、考察

「話の種」索引

2024-11-22 01:23:17 | 話の種

「話の種」索引

(世界・政治・経済)

権威主義と民主主義 (23/06/05)
政治体制について (23/06/11)
なぜ戦争を繰り返すのか (23/06/27)
台湾は中国の領土だった? (23/09/24)
朝鮮半島の歴史(略史) (23/09/29)
「国家」(成立要件と現況) (23/09/24)
パレスチナ問題 (23/10/14)
ウクライナ問題 (23/10/17)
米欧のダブルスタンダード (24/08/29)

韓国の反日感情について (24/06/18)
戦後賠償の日独比較(Use:ChatGPT) (24/06/20)
親日の台湾と反日の韓国(Use:ChatGPT) (24/06/20)

トランプ人気について (24/03/18)
「もしトラ」について (24/03/25)
「またトラ」で思うこと(24/11/11)(NEW)

腹が立つ事、腹が立つ輩たち (23/08/22)
政治とカネについて (24/05/21)
政治不信と政治家の資質 (24/06/07)
鹿児島県警問題にみる権力と報道の問題点 (24/07/07)
権力にしがみつく人たち(「天声人語」を読んで) (24/07/13)
内部告発と権力と組織 (24/07/19)

最高裁が旧優生保護法に違憲判決 (24/07/14)
検察が自民党裏金問題で不起訴処分 (24/07/14)
国家機関と人事制度/任命権者 (24/07/15)
裁判について (24/07/16)

世界の三大宗教について (23/08/10)
キリスト教徒の神への信仰と進化論 (23/08/10)
イスラム教の戒律の厳しさと過激な行動 (23/08/10)
仏教の理念と温厚な理由 (23/08/10)

失われた30年 (23/08/17)
年功序列と成果主義 (23/08/14)
正規雇用と非正規雇用 (23/08/20)
景気関連の各種統計データ (23/08/20)
戦後日本経済史年表 (23/08/24)

トヨタの最高益決算について思うこと (24/05/11) 
企業の好決算と問題点 (24/05/18) 
人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか (24/05/31)
日本の労働生産性はなぜ低いのか (24/05/31)

半導体の製造工程と日本の関連企業 (23/12/08)
半導体業界の構図と企業 (24/04/28)

(社会・文化・科学)

社会の閉塞感と同調圧力 (23/05/15)
価値観と同調圧力 (23/08/03)
SNSと若者と選挙 (24/07/21)
オリンピックの若者たち (24/08/30)
選挙とSNS(24/11/16)(NEW)
分断社会(Use:ChatGPT)(24/11/16)(NEW)
選挙とSNS(2)(24/11/19)(NEW)
選挙とSNS(3)(24/11/22)(NEW)

同性婚について (23/06/23)
LGBT及び性同一性障害について (23/06/23)

男らしさと女らしさ(「声」「天声人語」) (23/06/23)
女性はしたたか(「折々のことば」) (24/06/03)
女性ことばについて(「女ことばってなんなのかしら?」) (23/07/08)
女らしさについて(「女らしさは誰のため?」) (23/09/08)
女らしさ(「風の盆」を見て) (23/09/07)
女性の浴衣姿と祭りの踊り(「山鹿灯篭祭り」を見て) (24/09/02)
女性の浴衣姿について (24/09/04)

*My Blog: 「男と女

外国語教育について(「声」) (23/06/20)
英語の発音(カタカナ英語) (24/07/05)

死について(「声」) (23/08/28)
人生の目的 (23/08/28)
「草枕」の冒頭文について(人間関係) (23/09/18)

紫式部とその時代(人物) (24/05/17) 
紫式部とその時代(制度) (24/05/17) 
平安時代の女性文学と日記  (24/05/17) 

人類の進化とウィルス (23/05/13)
ChatGPTについて (23/08/21)
ChatGPTとの対話 (23/08/20)

半導体について (23/12/08)
半導体の製造工程 (23/12/08)

(軽い話題・ショートコメント)

町名の読み方(「ちょう」か「まち」か)(総合面) (23/05/18)
オスの悲しき性(さが)(社会面) (24/09/13)

若者言葉(「天声人語」) (23/06/11)
若者とスマホ(「天声人語」) (23/10/17)
「整理」(益田ミリ)(「くらし」) (23/08/17)
「先生」という呼称について(「声」) (24/05/20)
心遣いと感謝の気持ち(「ひととき」「声」) (24/09/05)
文章を削る(「天声人語」) (24/09/06)
スマホ依存(「天声人語」「声」) (24/09/22)

母親の面影(「男のひといき」) (24/09/03)
母の気持ち(「ひととき」) (24/09/03)
母親とは(「天声人語」) (24/09/04)

投稿サイト「パンドラの憂鬱」より (23/08/03)
日本は男尊女卑の国?(「パンドラの憂鬱」) (23/09/18)
現金主義の日本とドイツ(「パンドラの憂鬱」) (24/06/12)
「蛍の光」について(「パンドラの憂鬱」) (24/07/01)

和製英語 (24/07/05)
和製漢語 (24/07/05)

 

*My HP: 「Web喫茶店ひまつぶし 話のタネ

 

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選挙とSNS(3)

2024-11-22 01:07:01 | 話の種

「選挙とSNS(3)」

先の投稿(「選挙とSNS(2)」)を補足するものとして以下記しておく。

「SNSの問題点と危険性」

[SNSのフォロー機能]:
先の投稿で、SNSの問題点、危険性について、同質情報の集積、連鎖によるエコーチェンバー現象及び情報の変容(変形)について述べたが、更にエコーチェンバー現象で忘れてはならないのは、SNSのフォロー機能である。当方これをお気に入りのアイドルなどの投稿、情報を継続的に得るためのものとぐらいしか思っていなかったが、考えてみれば主義主張などの投稿もフォローしておけば同じ投稿者からのものが自動的、継続的に入ってくる。そうなると次第にその投稿者の考え、主義主張に染まってしまうということは容易に考えられる。

[SNSのリツイート機能]:
またリツイート機能を利用すれば、(不)特定多数の人に容易に情報の拡散ができる。これもエコーチェンバー現象の要因のひとつである。

当方ツイッターなどは使ったことがないので具体的にどのようなものかは分からないが、ChatGPTは次のように説明している。

ChatGPTより:

[フォロー機能]:
・フォロー機能は、TwitterやInstagram、FacebookなどのSNSプラットフォームで提供される基本的な機能の一つで、特定のユーザーの投稿や活動を継続的に閲覧できるようにする仕組みです。
・フォローのメリット:
(情報収集): 
好きな芸能人、ブランド、ニュースメディア、友人などから最新情報を得ることができる。
(交流): 
興味のある分野で活動している人々とのつながりを持つことができる。
(自己表現): 
誰をフォローしているかが、自分の興味や価値観の一部を他人に伝える手段になる。
・フォロー機能は、自分の興味関心に合わせて情報を受け取るための便利なツールですが、相手との関係性や目的を考慮して適切に活用することが重要です。

[リツイート機能]:
・リツイート(Retweet)機能は、TwitterなどのSNSプラットフォームにおいて、他のユーザーが投稿したツイート(つぶやき)を自分のフォロワーにも共有するための機能です。リツイートを使うことで、自分が良いと思った投稿や他の人にも伝えたい情報を簡単に広めることができます。
・(簡単な拡散):
ボタンを押すだけで、情報を素早く多くの人に拡散できるため、ニュースや面白いコンテンツが急速に広がる一因になっています。
・リツイートは、SNSのコミュニケーションを広げる便利な機能ですが、使い方を誤ると誤解やトラブルの原因になることもあるので、適切に活用することが大切です。

この他、YouTubeなどでは、閲覧数(投稿画像に付随している広告の表示回数)などによって、収益を得られるなどという仕組みもあり、この為ユーザーの興味を引くために「事実ではなくとも、大げさに面白おかしく加工した」投稿を発信し、閲覧者を信じ込ませてしまうという危険性もある。


今回の選挙を見て米国でのトランプ現象を思い起こした。それはSNSの影響とは分かっていても、あの熱狂振りにはまだ理解できないものがあった。
しかし今回の兵庫県知事選でその理由の一端が分かったような気がする。

当方の兵庫県の知人は、大手メディアが情報を発信しないので、情報源として今回はSNSをかなり見るようになったとのこと。そして斎藤氏をかなり擁護していて、「(議会側の)百条委員会が今後どんな結論を出そうと全然信用しない。(知事側の)第三者委員会の結論を待つ。」とまで言っている。
普段は非常に人の好い、冷静な頭の良い人なのだが、やはりこれはSNSの影響と思わざるを得ない。(客観的視点を放棄してしまっているようだ。)
どうも人の好い人ほど、物事を疑うことなくこのようになってしまうのではという気がする。
(最初から疑ってかかる人は決してこのようにはならないと思うので)

以前、トランプ現象をカルト的と表現した記事を見たことがあるが、情報の入手はSNSにしてそればかり見ている人たちは、一度思い込んでしまうと他の意見は耳に入らなくなりそれ一本に進んでしまうのかも知れない。
ただ麻薬と違い中毒になることはなく、冷静になればまたすぐ元通りになるとは思うのだが。

また、今回の選挙戦では異常なほど相手を誹謗中傷する投稿が飛び交っていたようで、それは今でも続いているようである。
また選挙後、県議会百条委員会メンバーの一人である県議が辞職し、理由は一身上の都合としているが、実際はSNSによる多くの誹謗中傷があり、家族に迷惑がかかるからということのようである。
こうなると、今やネット(SNS)は相手を攻撃する言葉の凶器ともなり、無法地帯化してしまっているとも言える。

今回の選挙結果を踏まえての今後の課題としては、立法府は公職選挙法や放送法の見直しなど、マスメディア側は市民が現に欲している情報提供や、分かり易い、より正確な報道を目指すなどということが挙げられる。


以下、11月19日-11月21日の朝日新聞朝刊から今回の兵庫県知事選に関するものを幾つか記しておく。

*(新聞などのネットに掲載された記事は、「会員情報」としてネット会員以外は記事の全部を見れなかったり、「無断転載禁止」とされていたりして、情報の伝達に制約がある。しかしネットの場合は全く自由である。このことも大手メディアとネット情報との伝達の情報量、伝達度合いの違いを生み出している。)


「天声人語」兵庫県知事選(11/19)

「何が起きたのか、と驚いた人も多かっただろう。兵庫県の出直し知事選である。県議会から不信任を突きつけられた斎藤元彦氏が、大差で再選を果たした▼聞けば選挙戦は、全体に異様な雰囲気だったという。斎藤氏の街頭演説の場で、記者たちは「偏向報道」「帰れ」と聴衆から罵声を浴びた。候補者の一人が投稿した動画の中には「パワハラはなかった」と訴えるものもあった▼何を参考に票を投じたのかと、NHKが出口調査で尋ねたところ、最も多かった答えは「SNSや動画サイト」(30%)。「新聞」も「テレビ」(各24%)も及ばなかった。メディアにとっては悲しく、深刻な数字である▼おそらく、百条委で糾弾した議員も、稲村和美氏を支持した県内22市長も、政党も、メディアもみな同じ、既得権益の側とみなされてしまったのかもしれない。同じ出口調査では、斎藤県政を「評価する」人が7割にものぼった▼一方の目から見れば、斎藤氏は既得権益にいじめられている改革派だと映ったのだろう。しかし、部下の4割にパワハラを見聞きされていたのも、また斎藤氏である。見ている世界が違っている▼米国の共和党集会では、トランプ氏のあおりにのって「CNNくたばれ」などと聴衆が罵声を飛ばす光景が、もはや当たり前になってしまった。日本もそのとば口に立っているのかもしれない。既得権益側というメディアへの不信に向き合わねば、分断を防ぐことはできまい。重い課題をつきつけられている。」


(社会面)「共感 うねり生んだ有権者」「ネットに信頼感 斎藤氏を後押し」(一部抜粋)

「集会に訪れた人たちが相次いで口にしたのは、既存メディアへの不信感とインターネットへの信頼感だった。
「ユーチューブは顔を出しているし、勇気を持って真実を主張しているのがわかる」。西宮市の主婦(76)はコロナ禍以降、情報源がユーチューブになったという。
告示後には、「NHKから国民を守る党」の立花孝志氏らが斎藤氏の「潔白」を主張する動画をSNSで拡散。この女性も、斎藤氏の失職が県庁内の「クーデター」だとする動画を見るうちに、斎藤氏への投票を決めた。
県議会やメディアなどの「既成勢力」に対し、斎藤氏が1人で対峙(たいじ)するかのような構図も共感を広げたようだ。
斎藤氏は失職した9月以降、朝の駅前で1人であいさつに立つことから事実上の選挙活動を始めた。「斎藤さんがひとりぼっちになっちゃうなって」。西宮市の大学生の男性(20)は、SNSでの募集を見て、同市の集会に陣営ボランティアとして加わった。」


(社会面)「民意のゆくえ」(日大教授 西田亮介氏)(11/19)
「SNSに主張 突いたメディアの穴」(一部抜粋)

「新聞やテレビは公職選挙法と放送法を根拠に、選挙期間中は中立性を重んじる。ネットの興味関心は全国的に過熱したが、知りたいと思っていることがマスメディアからあまり伝わってこない。だからインターネットを開く。そこには斎藤氏の主張が広がっている。確信犯的というか戦略的という印象だ。

ーー選挙前には問題を取り上げていました。

やはり選挙期間中が重要だ。陰謀論を含めたネットで広がる言説について、マスメディアが対抗する報道をしてこなかった。「メディアは何かを隠しているんじゃないか」という有権者の疑心を過度に刺激することになったのではないか。報道姿勢を含め、果たしていまのままでいいのか、問い直すべきだ。」


「社説」「兵庫県知事選 百条委の調査 貫徹を」(一部抜粋)(11/19)

「「斎藤氏を応援する」として立候補した立花孝志氏は、その狙いに沿った動画をサイトに投稿し続けた。政見放送でも「元県民局長がありもしないことをでっちあげて、メディアがさも本当のように取り上げた」と主張。男性のプライバシーに関するとされる話も語った。
県議会百条委員会の調査では、男性への調査・処分が公益通報者保護法に反する可能性を複数の専門家が指摘。パワハラ疑惑についてもアンケートなどで一定数の職員が問題意識を示した。決して「ありもしないこと」ではない。
立花氏以外にも、様々な誹謗中傷や事実無根の言説がネット上で飛び交った。客観的な事実に基づき主張を戦わせる環境整備が急務だ。正確な情報の流通はテレビや新聞、雑誌にも求められる。よりよい言論空間を目指し、取り組みを重ねたい。
斎藤氏は、この3年間の県政改革の継続を三つ目の約束として強調した。ネット上では斎藤氏と対峙(たいじ)してきた県議会を「既得権益者」と見なす発信が少なくなかった。」


(社会面)「民意のゆくえ」(JX通信社 米重克洋氏)(11/20)
「応援のため立候補、票動かす 兵庫知事選」(一部抜粋)

「斎藤氏は演説が特別うまいわけでも、これまでSNSを効果的に使ってきたわけでもないが、公職選挙法が想定していない「他の候補者を応援する」と立候補した、立花氏のアシストが大きかった。選挙期間中にユーチューブ内で候補者名が検索された回数を分析すると、同県尼崎市前市長の稲村和美氏よりも斎藤氏の方が多かった。だが、立花氏の検索回数はその斎藤氏を圧倒していた。通常の選挙であれば立花氏が当選する動きだが、応援している斎藤氏の票につながった。
文書問題の報道ですでに知名度が高かった斎藤氏について、立花氏が得意のユーチューブで「真相はこうです」と繰り返し発信し、リアルでも斎藤氏の前後に同じ場所で演説した。ネットとリアルがかみ合って結果につながった。」
「選挙期間中のマスコミは、候補者間の公平性を意識するあまり、候補者の報道が抑制的になりがちだ。斎藤氏の文書問題への関心は高かったはずだが、選挙期間中はあまり報じられなかった。マスコミが大きな力を持っていたからこそのルールだと思うが、SNSの情報が大きな力を持つようになったいま、その判断についても妥当性が問われているのではないか。」


(社会面)「立花氏 当選を目指さず兵庫県知事選に立候補」(11/21)(一部抜粋)
「選挙ポスターに「斎藤氏は違法行為はしていない」」
「選挙は効率いい。ユーチューブ見てもらえる」
「「2馬力」の選挙戦 フェアとは言えぬ 専門家指摘」

「選挙戦で、立花氏は次のような選挙運動を繰り広げた。

街頭演説の会場は事前にSNSで公表する▽斎藤氏の演説の前後に同じ場所でマイクを握る▽斎藤氏に対する内部告発文書を「あれは内部告発ではない」などと主張し、「パワハラ」や「おねだり(物品の受領)」も否定する▽「メディアが言っていることは何かおかしい」「(斎藤氏は)悪いやつだと思い込まされている」などと聴衆に訴える――。
決まり文句は「僕に(票を)入れないでくださいね」だった。多くの人は、立花氏と斎藤氏の演説をセットで聴いていた。選挙ポスターには「前知事は、犯罪も違法行為もしていませんでした」「テレビの情報だけではなく、インターネットで調べてみてください」などと書いて掲げた。
ネット上での発信にも力を入れた。街頭演説の様子は、陣営がユーチューブで配信。自身が兵庫県内にいない日も含めて動画を配信するなど、SNSをフル活用した。

斎藤氏を応援するなら、なぜ立候補する必要があったのか。

立花氏は立候補の表明会見で「当選を目標にしなきゃいけないんだって思い込んでいる常識をちょっと覆したい」とし、「選挙って効率いいんですよ。やはり選挙に出るからユーチューブを見てもらえる」と語った。
選挙結果は約111万票(得票率約45%)を獲得した斎藤氏に対し、立花氏は約2万票(同約1%)だった。
立花氏の「効果」について、斎藤氏陣営の一人は「『神風』が吹いた一要因であるのは間違いない」と認める。一方、約14万票差で敗れた稲村和美氏の陣営関係者は、「こちらが1馬力、あちらは2馬力で走った」と表情を曇らせた。

公職選挙法は、選挙の公平性を担保するために候補者1人あたりのポスターや選挙カーの数などを制限している。総務省選挙課は「法解釈上、候補者は他の候補者の選挙運動ができない」と説明。立花氏の活動については、「警察が判断していくものだ」とした。

専門家からは疑問の声が上がる。選挙プランナーの三浦博史氏は、立花氏の戦略が「斎藤氏に対する『判官びいき』に火をつけ、強烈な追い風となったはずだ」と見る。
「2馬力」について「フェアとは言えない。これが許されれば、誰かを当選、落選させる狙いで複数人で立候補し、ポスターや選挙カーを増やした運動が可能になる」と問題視。「本人の当選を目的としない立候補は認めない旨を公選法に明記すべきだ」と語った。


(社会面)「民意のゆくえ」(東大教授 鳥海不二夫氏)(11/21)
「「物語」に共感 SNSで支持」(一部抜粋)

「選挙中は斎藤氏を「サポートする」ために立候補した、政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏の存在もありました。
Xの分析では、立花氏が応援すると言った10月下旬から、斎藤氏を支持する言及が増えた。一定のファンがいて、それに追従する別のインフルエンサーも登場した。」

 

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選挙とSNS(2)

2024-11-19 14:31:39 | 話の種

「選挙とSNS(2)」

SNSの問題点、危険性については既に何度か述べた通りだが、今回の兵庫県知事選の結果を見て、SNSの威力について改めて思い知らされた。
今回の選挙で何故あのような斉藤氏支持の熱狂的な現象が起きたのだろうか。

当方SNSはほとんど見ないので、SNSの問題点、危険性については頭の中では分かっていたが、今回の知事選の結果を見て、どのようなものだったのかチェックしてみたところ、具体的にいろいろと分かったことがあった。

例えばYouTubeだが、一つの画像投稿に対して矢継ぎ早にコメントが入ってくる。
それも短いコメントなので、瞬時の感想でしかない。
それに同調するようなコメントが次々と加わっていき、ここには異論を挟むような余地はない。
なるほど、これがエコーチェンバー現象というものかと実感として理解できた。

また今回、これらの検証、友人とのやり取り、TVの報道などにより分かったのは次のようなこと。

(1)最初から悪意をもってのデマ情報は論外として、当初の記事が事実を書いたものであっても、投稿、拡散、連鎖していく内に次のように変わってしまうことがあるということ。

今回の選挙を例にとって言うと、

パワハラ:
「法的に問題となるパワハラはなかった」(公益通報委員会の結論)
→「パワハラはなかった」と公益通報委員会は述べている
おねだり:
「おねだりした相手とされた業者であるA社はそんな事実はないと述べている」
→「おねだりした事実はなかった」ことは明らかになっている。

つまり、伝言ゲームと同じ現象で、普通の善良な人たちの間でも、(悪意はなくても)変わってしまった情報が流布され続け、事実として定着してしまうということ。

またこれらが増幅されたのか、「補助金からの寄付やパーティー券押し売り、その他の不正など全くなかった」というようなコメントも見られた。

(2)NHK党の立花氏だが、彼がどのような人物か関西ではよく知られていないということ。
従って彼を「よく真実を明らかにしてくれた」と礼賛する投稿が異常に多かったということ。

大手メディアが報道しなかったものを立花氏が暴露してくれたとして、死亡した元局長のパソコンの中身や非公開だった百条委員会の審議の様子などが挙がっている。
しかし、大手メディアは何もかも報道するという訳ではなく、ましてやプライベートに関わる問題(愛人とのメールのやり取りや動画があったとされているが)については慎重である。
ところが、投稿では大手メディアは「真実を報道していない」「事実を隠している」となり、そして人々はそうなんだと思い、「大手メディアは信用できない」と述べるに至っている。

東京に住んでいる者であれば、先の衆議院選挙でのNHK党の無意味な候補者の多数擁立、掲示板でのポスター問題などには唖然として腹を立てているので、彼をこのように英雄視することは考えられない。
では何故同氏はあのように斉藤氏を応援したかということだが、非常識な人間の考えていることは分からないので、売名のためということぐらいしか思いつかない。彼の言っている不正を正すためなどということは有り得ない。斉藤氏も彼のことは分かっていたようで、当選後のインタビューでは彼のことについてはあまり触れたがらないようだった。

(3)選挙期間中の報道については、放送法の問題などで報道は中立でなければならないが、SNSは自由に発信できる。
立花氏が当選するつもりもなく立候補し、斎藤氏の応援演説に終始していたのも、立候補者であれば聴衆に対して何時でも自由に発言することが出来るからだったと思われる。
これは公職選挙法の盲点とも言える。(先に述べた衆院選でのNHK党の無意味な候補者の多数擁立、掲示板でのポスター問題などもそうだが、同氏はこれらの点を巧みに突いてきたと言える。)

(4)日本の大手メディアは公平の立場から両論併記が原則だが、SNSは片方だけの一方的な主張で良く、これが積み重なっていくので、読者はあたかもそれが真実であるかのように思い込みやすい。
また大手メディアは報道にも時間的制約があるが、SNSは際限なく流し続けられる。
今回の選挙では、新聞やTVが報道しないので情報源はSNSだったという人も多かったようである。
「何が真実か分からなくなってしまった」という人が多かったというのも頷ける。

(5)更に付け加えるならば、真偽のほどは不明だが、元局長の公用パソコンには、斎藤氏や側近の追い落としを企んだクーデター計画や人事案、それらのやり取りのメールもあったという陰謀論のような投稿もあったようで、こうなると米国大統領選でトランプが描いた構図と何ら変わりはない。既得権益と改革という構図も同じである(ただ、斉藤氏は実際に改革は種々行っていたようだが)。このことは斉藤氏はむしろ被害者だという印象を有権者たちに与えることになった。
また、選挙戦の当初は、斉藤氏の街頭演説では聴衆は一人も立ち止まらず、雨の中を一人で物静かに辻立ちを行っている姿もSNSに投稿され、これが上記に加えて、後になって人々の同情を誘ったようである。

なお、対抗馬である稲村氏を支持した22市長の一人である相生市長が会見の場で威嚇とも思えるような机をバンバン叩く姿がSNSで拡散、非難され、このことも斉藤氏に有利に働いたと思われる。

選挙を終えてのTVのニュース番組だが、コメンテーターたちはさぞかし難しい立場に立たされたのではと感じた。
斎藤氏を批判してきたこれまでの主張を変えるわけにはいかず、かと言って今まで通り同じ主張をしていれば斎藤氏を応援した人たちからの非難を受けることにもなりかねない。
どうするのだろうか。変節するのか、しないのか。

米国大統領選挙の時はSNS問題について対岸の火事と見ていたが、日本でもその功罪、使い方を改めて見直す時が来たのではないだろうか。

P.S.
今回の選挙では争点がゴチャゴチャになって訳が分からなくなっているが、当初の問題は法的に公益通報者保護法違反があったかどうかということ。このことは今のところ百条委員会の結論を待つしかないが、当方としては法的な解釈はともかくとして、今回の斉藤氏の行った行為は許せるものではない。
当方何よりも嫌いなのは権力を笠に着て威張る人間で、報道を見る限りでは斉藤氏のこれまでの言動は当方の価値観には反するものである。(人が無くなったということについても無表情を貫いている)
まあ、価値観と言うのは人によって違うので仕方ないが。(彼には改革の実績があるからそんなことはどうでもよいと言う人もいるだろうから)


(参考=当方のブログ記事)

SNSと若者と選挙」 (24/07/21)
選挙とSNS」(24/11/16)

内部告発と権力と組織」 (24/07/19)

 

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分断社会(Use:ChatGPT)

2024-11-16 14:49:20 | 話の種

「分断社会」(Use:ChatGPT)

近年「分断社会」ということがよく言われるようになったが、その最たるものが現在のアメリカ社会であろう。
またわが国でも貧富の経済的格差の増大によってよく耳にするようになった。

この社会の分断についてまずChatGPTに問い合わせたところ、極めて明快な答えが返ってきた。
現状と共に、その原因、理由についても触れており特に手直しする必要もないので、ChatGPTの返事をそのまま記しておくことにする。


Q:「近年分断社会と言う言葉をよく耳にしますが、どのようなケース、例がありますか」

ChatGPT
「分断社会」という言葉は、特定の社会が異なる価値観や経済的、政治的、文化的な要因によって明確に区分されている状態を指します。近年では、以下のようなケースや例が分断社会を象徴しています。

[政治的分断]:

アメリカの政治状況:
特に民主党と共和党の支持者間の対立が激化しています。トランプ政権下やその後の政治状況では、異なる政治的立場を持つ人々の間での溝が深まっています。SNSやメディアの偏向報道もこの分断を助長しています。

他国の政治的対立: 
イギリスの「ブレグジット」も、EU残留派と離脱派の間で社会を二分する結果となり、家族や友人関係にも影響を及ぼしました。

[経済的分断]:

格差の拡大: 
世界的に富裕層と貧困層の経済的格差が広がっており、特に大都市と地方間の所得格差が大きくなっています。テクノロジーの進化によって、デジタル経済を享受できる層とそうでない層の間に大きな違いが生まれています。

日本における雇用形態の変化: 
非正規雇用者と正社員の間で待遇の格差が拡大し、将来の生活に不安を抱える人が増加しています。

[文化的・社会的分断]:

移民問題: 
ヨーロッパを中心に移民や難民の受け入れを巡って意見が分かれ、社会的対立が生じています。これは文化的多様性を推進する側と、文化的同一性を重視する側の衝突によるものです。

世代間の価値観の違い: 
若者と高齢者の間での価値観の差が顕著であり、政治、環境問題、ジェンダーなどに関する考え方が異なるため、世代間での摩擦が増加しています。

[デジタルとリアルの分断]:

SNSの影響: 
情報の流通がインターネットとSNSによって変化し、人々は自分と同じ意見を持つ人々とつながりやすくなった一方で、異なる意見を持つ人と接触する機会が減少しています。これにより、エコーチェンバー現象が発生し、社会全体としての視野が狭まることがあります。

フェイクニュースと情報操作: 
真偽不明な情報が拡散され、事実をめぐる対立が激化。人々が異なる現実を生きているような状況に陥ることがあります。
これらの要因が組み合わさることで、分断社会がますます顕著になっているのが現代の特徴です。


(参考)

「エコーチェンバー現象とは何ですか」

ChatGPT
エコーチェンバー現象とは、同じ意見や考え方を持つ人々が集まり、情報を共有し合うことで、意見が強化・固定化され、異なる視点や反論が排除される状況を指します。この現象では、人々が自分の意見と合致する情報だけを求めたり、共有したりするため、同じ考えが繰り返し反響(エコー)し、その結果、意見が極端になりやすくなります。

特にSNSやインターネット上のアルゴリズムによって、ユーザーが興味を持つ情報が優先的に表示されるようになり、自分と異なる視点に触れる機会が減るため、エコーチェンバー現象が起こりやすいと言われています。これにより、情報環境が偏ったものになり、社会全体としての分断が深まるリスクが高まります。

例として、政治的なSNSのグループでは、同じ党派や意見を持つ人々が集まり、支持する情報だけを共有し合い、他の意見や事実を無視することで、対立がより深まるケースがあります。


「アルゴリズムとは何ですか」

ChatGPT
アルゴリズムとは、特定の問題を解決するための一連の手順やルールのことを指します。これは、コンピュータサイエンスの分野で特に重要な概念であり、コンピュータが特定のタスクを遂行する際の「計算のレシピ」として機能します。例えば、アルゴリズムはデータを並び替えたり、検索を行ったり、複雑な計算を効率的に実行するために使われます。

日常的な例としては、料理のレシピがアルゴリズムの一種と考えることができます。材料を使って料理を作る手順が決まっており、指示通りに進めれば料理が完成するようになっています。

技術的な例としては、SNSや検索エンジンでのアルゴリズムが挙げられます。これらのアルゴリズムは、ユーザーの好みや行動履歴を分析し、その人が興味を持ちそうな情報を優先的に表示します。このようなアルゴリズムによって情報が最適化される一方で、ユーザーが同じような情報ばかりを見るようになり、エコーチェンバー現象のような社会的影響をもたらすこともあります。

 

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選挙とSNS

2024-11-16 08:00:44 | 話の種

「選挙とSNS」

朝日新聞(11/15日付朝刊)に11/17日に投開票される兵庫県知事選についての記事があった。
表題だけ記しておくと、
「最終盤 熱気帯びる兵庫知事選」
「SNS 目立つ「誤情報」投稿」
「街頭 もみ合い 演説阻害も」

前日(11/15)に兵庫県在住の友人から久し振りに連絡があり、本件についての話題もあったのでこの記事が目に付いたのだが、いろいろと気になることがあった。

友人が元知事の斎藤氏を支持しているのはともかくそれはそれで良いとして、その論拠が主にSNSの記事(N党の立花氏などの)だということ。またマスコミに騙されたと怒る県民が今斎藤氏の応援で日々増加、情報がネット上で炎上しているということ。
これを見て、この選挙戦の構図は今回の米国大統領選挙での熱狂的なトランプ支持者たちの様子と変わらないなと思った。

それは人々がSNSを通じて拡散されたデマ情報を無条件に信じるということ、そして大手メディアの言うことは信用できないとすること。
SNSの情報の問題点、危険性についてはこれまで各メディア、識者たちからいろいろと指摘されており、当方もこのブログでも何度か書いているが、気になるのは当方の友人でさえそのようになってしまうのかと言うこと。

最近の選挙ではSNSを駆使することが流行っているが、当方がこれを問題視したのは先の東京都知事選での石丸氏の言動である(「SNSと若者と選挙」)。
また先日の衆議院選挙でも国民民主党の玉木氏が街頭演説で聴衆向かって「この状況をSNSでどんどん拡散してください」と石丸氏と全く同じことを言っていた。
結果は石丸氏も玉木氏(国民民主党)も大きく票を伸ばしている。

当方、トランプ支持者たちを「無知な単細胞」とボロクソに書いたが(「「またトラ」で思うこと」)日本もこのような方向に向かっていくのかと危惧されてならない。

 

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「またトラ」で思うこと

2024-11-11 13:31:31 | 話の種

「またトラ」で思うこと

トランプ氏の米国大統領への返り咲きが現実のこととなってしまった。
米国民もそこまでは馬鹿ではあるまいと思っていたが、やはり馬鹿だったと思わざるを得ない。
そして無知な単細胞ほど恐ろしいものはないということを思い知らされた感じがする。
(当方がトランプを嫌っている理由については「「もしトラ」について」のところで述べているが)

トランプの勝因、というかハリスの敗因についてはいろいろと言われているが、やはり「インフレ」や「移民問題」が大きな要因だったと言える。これらはバイデン政権の負の遺産とも言えるものだが、これは何も米国に限ったことではなく世界共通の問題でもあり、トランプならこうはならなかったとは言えない。しかし現政権下で生活が苦しくなったと言う人たちが増え、トランプの言動に否定的な人たちも変化への期待からトランプ支持に傾いたようである。
どうも一般的なアメリカ人特有の短絡的な考え方が今回の結果を生んだとしか思えないが、あれこれ後先のことを考えるより、まずは経済優先で自分たちの生活が大事だということなのだろう。

*民主党の主要支持層である黒人、ヒスパニック、若者のハリスへの支持率がバイデン政権が誕生した前回の大統領選よりも減っているということが(この層がインフレにより最も生活が困窮している)、このことを如実に物語っている。

この他ハリス氏の敗因については、知名度が低かった、準備期間が足りなかった、経済問題に詳しくなかったなどいろいろと言われているが、やはり何よりもバイデンの撤退表明が遅すぎたことが致命的だったと思われる。

*近年米国の一般的な労働者階級の人たちは民主党のインテリ臭さが鼻について嫌っているようである。例えばハリスの言っていることが何のことかよく分からず、英語で喋っているのに通訳がいるほどだと言われているが、一方トランプは単純な言葉で短く話し、例えば「素晴らしい」ということを「Wonderful」「Excellent」「Splendid」とは言わずに「Very,Very,Very Good」と言うということを聞いたことがあり、これが彼らに親近感を感じさせているとのこと。


ともかく今回の結果を踏まえて、まず目に付いたのは11月8日付の朝日新聞の記事である。

『「米の「穴」埋める、日本外交を」 

 「米国が歴史的に抱いてきた価値観は、もはや当てにできない。日本はそうした環境に備えなければならない」。著名な米国際政治学者、イアン・ブレマー氏は先月、東京で講演し、地域で「日本がより大きなリーダーシップを発揮しなければならない」と訴えた。

 自由貿易や民主主義、法の支配――。米国が牽引(けんいん)してきた価値観外交が瓦解(がかい)し、国際秩序を主導するリーダー不在の時代にある。ただでさえ、日本を取り巻く環境は厳しい。米中が対立を深め、中国や北朝鮮に囲まれ、安保環境は悪化している。

 そこに同盟軽視で米国第一を振りかざすトランプ前大統領が再登板し、日本は同盟の維持・強化にも苦心するだろう。政府内からは「4年間耐え忍ぶしかない」(外務省幹部)との声も漏れる。

 国際情勢を俯瞰(ふかん)することなく、対米投資拡大や防衛費増、米国製装備購入などを求めるだろう。日本経済界からも過度な保護主義に警戒の声が上がる。

 奔放で忠誠心を求めるトランプ氏と、理詰めでへつらうのが苦手な石破茂首相の首脳外交には不安もある。だが、米国の背中だけを見て追従する時代は終わりつつある。

 対米投資は日本が世界1位で胸を張れる。米国の孤立化は米国自身の国益を損ねると友人として地道に説く。日本は同盟維持に腐心する一方で、地域の秩序形成の主体的プレーヤーを演じる必要がある。日本単独では難しくとも、豪州や韓国など有志国と「価値」への共感を高め、米国にそれを促せる。

 シンガポールのシンクタンクによる4月の東南アジア諸国10カ国対象の意識調査では、米中選択を迫られれば「中国を選ぶ」が過半数を占めた。

 有志国と連携し、影響力が陰る米国の「穴」を埋める努力も必要だ。日本にはその実績もある。米国が離脱した環太平洋経済連携協定(TPP)は、日本が創設に奔走した。イスラエルをめぐる国連決議では、日本は度々米国と異なる対応をとり、「法の支配」堅持の姿勢を世界に発信している。

 様々な枠組みを日本が率先して形成し、対中外交でも紛争回避のための対話を働きかける。そうした外交に奔走する日本の姿が求められる。(編集委員・佐藤武嗣)』


当方がこの記事を取り上げたのは、これまで私が注目してきた(危惧してきた)ことがそのまま織り込まれていたから。
それは「民主主義の崩壊」ということと「中国の台頭」ということ。

以前は米国は「自由・民主主義」の旗手であったが、最早その面影は無くなってしまっている。
そして、「自分たちの価値観の押しつけ」や「ガザ問題にみるイスラエル支持のダブルスタンダード」などは、他諸国の顰蹙(ひんしゅく)を買っている。
トランプの「米国第一主義」や「ディール(取引)外交」は益々これらの国々の米国離れを招くと思われる。

欧州諸国でも近年移民問題に端を発し右傾化が進んでおり「自国第一主義」に傾きつつある。
この傾向は発展途上国でも見られるようになり、これらの国々は「権威主義化」しつつある。
この点、日本は先の衆議院の総選挙でも見られたようにまだ健全と言えるかもしれない。

しかし社会的には近年「緊縛強盗」なるものが出始めており、実行役とされるのはほとんどが若者たちのようである。お金が欲しくて手を染めてしまうということのようだが、この世代はSNS中心で新聞やTVは見ないようなので、やはり無知からきたものと言わざるを得ない。
これらの犯行は自己中心的で他人を顧みないということから、どうやら日本でも社会的に不安定な要素が芽生えつつあるということだろうか。
他との協調、他に対する思いやり、敬意という日本的な良さは失いたくないものである。


(参考)

トランプ氏は激戦7州で全て勝利を収めたとのこと。
(選挙人数は最終的に312人を獲得し、ハリス氏の226人を大きく上回る見通し)
また総得票数でもハリス氏を上回り過半数を獲得したようである。

(2016年の大統領選挙では民主党のヒラリー・クリントン氏が得票数では共和党のトランプ氏を上回っていたものの、選挙人獲得数ではトランプ氏が過半数を占めヒラリー氏は敗北している)

(参考)

「米国大統領選挙の選挙人制度について」

米国大統領選挙では各州で選挙人制度が採用されており、ほぼ全州(2州を除き)で1票でも多い票を得た大統領候補が選挙人を「総取り」する制度となっている。
選挙人制度を定めるのは米国憲法だが、選挙人の選び方は州に委ねられている。

なぜ「総取り」などという非民主的な方法が採られているかと言うと、これは州の政治的な影響力を高めるため、18世紀に導入されたもので、大統領の決定に際して州単位でまとまって「票の力」を行使できるためとのこと(ハーバード大、アレキサンダー・ケイサー教授)。

このことにより、激戦7州と言われているように、一部の州だけが大統領選の結果を左右するような状況を生み出しているが、これについて朝日新聞(11月4日付)に次のような説明があった。

「制度改正の動きは絶えず、憲法改正案が700回以上提案されたが、実現していない。「制度が有利に働く側の人々から、改正を阻む動きが常にあった」とケイサー氏は分析する。

改革の機運が最も盛り上がったのは1960年代。連邦最高裁が「一人一票」の原則を打ち出して下院の選挙区の人口をなるべくそろえることを求め、米南部で実質的に投票が制限されていた黒人が、公民権運動の成功によって自由に投票できるようになったころだ。

69年には選挙人制度を廃止する憲法改正案を下院が圧倒的多数で可決した。だが、上院では南部の選出議員を中心に「州の影響力が失われる」と反対の声があり、採決に至らなかった。」

 

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スマホ依存

2024-09-22 13:12:31 | 話の種

「スマホ依存」

最近は猫も杓子もスマホで、確かに便利なツールではあるが、スマホを持っている或いは使うことを前提とした対応が多くなっている。特にQRコードが一般的になってからこのような傾向が強くなっている。
例えば居酒屋での注文だが、スマホでQRコードを読み込んで注文してくださいというのが増えてきた。地方の居酒屋で店員の手がすいているにもかかわらずだ。
地方のビジネスホテルに泊まった際、付近の飲食店の場所をいくつか聞いた時も、このQRコードを読み込んでくれればそれらを表示した地図がでてきますからと言われたことがある。
このような風潮には腹立たしさを覚えると同時に、味気ない世の中になったなーと思うことも多い。

このスマホ依存ということについて、朝日新聞の記事から2件ほど記しておく。

〇(天声人語)「スマホ依存が行き着く先は」(2024年6月22日)

「人間とロボットが共存するその平和な世界に、スマホは存在しない。通信機器は固定電話とファクスだけで、高速道路の最高速度は40キロだ。子どもたちは輪投げや射的で遊ぶ。近未来を描いた水沢悦子さんの『ヤコとポコ』は不思議な漫画である▼主人公は漫画家ヤコと、不器用なネコ型ロボットのポコ。新旧技術が混在する物語を読み進むと、この社会で50年前に「革命」が起きたことがわかってくる。技術発展の果てに悲劇が起き、革命を経て社会が一変したのだ。突き進むことをやめた人々は生活のペースを落とす▼いつか現実でも、こんな揺り戻しがあるのではないか。スマホが手放せない毎日に、そんな不安がよぎった。高速通信に支えられ、AIが急速に進歩して行き着く先で、人間が幸せになれるとは思えない▼スマホ依存が起きるのは、ページをめくるごとに脳内で快楽物質のドーパミンが放出されるからだという。若者の心の健康への悪影響が世界中で懸念されている▼日本でも話題になった精神科医のアンデシュ・ハンセン著『スマホ脳』で、iPhoneの開発者が強い依存性について後悔の言葉を漏らしている。「冷や汗をびっしょりかいて目を覚ますんだ。僕たちはいったい何を創ってしまったんだろうって」▼冒頭の漫画では、違法な超高性能ロボットの製造を知って怒る学者が涙ながらにつぶやく。「またたくさんの死者が出る。どうしてほどほどにできないんだ」。便利さと危険の間で悲鳴が聞こえる。」


〇(声)「スマホ生活、大切な何か失いそう」(2024年8月27日)(大学生 女性18歳)

「暇があったらスマホを触る。用事がなくても、とりあえずSNSをチェックする。そんな習慣は現代の若者にとって当たり前と言っていい。
しかし友達同士で過ごす時にも、全員がスマホを触りながら会話している光景を見ると怖くなる。
確かにスマホのおかげで調べものも買い物も便利になり、世界は大きく発展した。だが多くの若者が、人と向き合うよりもスマホと向き合っているようで、不安になる。
スマホがなかった時代は、今よりもっと自然なコミュニケーションの形があったはずだ。しかし今のようにスマホと向き合う生活が続けば、コミュニケーションがどんどん消えて、大切なものが失われてしまう気がしてならない。
そうなる前に、どうスマホと向き合っていけばいいのか。よく考えなければいけないと、私は思う。」


最近、スマホ社会に疑念を持つ若い人たちの投稿や記事をよく目にするようになった。
その理由は様々だが、若い人たちの間でもこのような意見を持つ人たちが増えてきたということは、スマホ依存の風潮を苦々しく思う高齢者の私としては心強いものを感じる。

(独り言)当方スマホ依存ではないということはドーパミンが出ていないということだろうか。

 

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オスの悲しき性(さが)

2024-09-13 14:56:17 | 話の種

「オスの悲しき性(さが)」

24年6月17日付朝日新聞の社会面に次のような記事があった。

〇「死んだふりから目覚めるオス メスがいれば危険より繁殖を優先 昆虫の生存戦略に迫る」

「敵から身を守るか、子孫を残すか――。究極の選択を迫られたとき、動物はどっちを選ぶのか。琉球大学農学部協力研究員の日室千尋さん(昆虫生態学)らのチームは、アリモドキゾウムシという昆虫を観察し、その生存戦略に迫った。

アリモドキゾウムシは、体長約6ミリで、クモに襲われたり、鳥についばまれたりすると触角を折りたたみ、硬直して「死んだふり」をして身を守ろうとすることが知られている。日室さんは、死んだふりをしたアリモドキゾウムシのオスとメスそれぞれ20匹に、別の個体を近づけたら目覚めるまでの時間はどう変わるのか、1匹ずつ実験をした。

ピンセットで挟んで死んだふりをさせたアリモドキゾウムシのオスを容器にいれると、何もしない場合、10分以内に半数は目覚めるが、残り半数は20分以上も死んだふりを続けた。2時間ほどたってようやく動き出すものもいた。
ただ、死んだふりをしたオスの近くに、性フェロモンを出す成熟したメスをいれると、3分以内に約半数、10分以内に約8割が目覚めた。触角をパタパタと動かし、メスを探しているそぶりも見られた。成熟前のメスには反応しなかった。

また、人工的に合成したメスの性フェロモンを容器内に置いた場合は、フェロモンの濃度が高かったためか、数十秒以内に約9割が目覚め、2分以内には全ての個体が動き出した。
一方、死んだふりをしたメスに、別のオスやメスを近づけても、目覚めるまでの時間は何もしない場合とほとんど変わらなかった。

日室さんは「オスは、襲われるリスクと繁殖をてんびんにかけ、メスがいれば危険を冒してでも『死んだふりしている場合じゃない』と繁殖を優先することがわかった」と話す。動物の生存戦略を考えるうえで、重要な視点だという。「中にはメスを同じ容器にいれても、20分以上目覚めない、こわがりなオスも1割弱いて、性格が出ていた点も面白い」

科学誌に論文が掲載された。(藤波優)」


種族保存の本能というのは死をも超越するということだろうか。
これはなにもアリモドキゾウムシに限ったことではなく、他の動物ひいては人間社会に於いても見られることでもある。一匹のメスを巡ってオス同士が、人間でいえば一人の女性を巡って男同士が死闘を繰り広げるということは間々あることである。これに対して、メスあるいは女性の方が淡泊であるということも同じようである。

ただ生物学的に見て、オス、男の場合は種族保存というよりは自分の遺伝子を広く残すということが主眼のようである。
(キリスト教がもたらした一夫一婦制というのは自然の摂理、種族保存の法則に反するものだが、このことについてはここでは触れないでおく。ただ何を言いたいかというと、男が浮気をするのは仕方がないということ。)

 

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文章を削る

2024-09-06 10:11:38 | 話の種

「文章を削る」


朝日新聞の「天声人語」(2024/5/19)に次のような記事があった。

「短編小説の巨匠逝く」
「平凡にみえた女性たちの日常が、ちょっとした偶然から変わり始める。物語は想像を超えて展開し、その結末は深い余韻を残す。カナダ人作家のアリス・マンローさんは間違いなく、短編小説の巨匠だった。何十年もの時間軸を行き来しても数十ページで見事に完結させてしまう▼「チェーホフの後継者」とも呼ばれたマンローさんが、92歳で亡くなった。カナダの小さな町で生まれ、大学に進学したが、奨学金が切れて2年で中退。4人の娘を産み、1人を亡くし、離婚と再婚を経験しながら書き続けた▼作品の魅力は隙のない筋立てと、簡潔な文章にある。どうすればこんな風に書けるのかと、インタビューを片端から読んだことがあった。毎日朝から必死に書き、書くと削りに削るという。脱稿後も修正し続けた▼ノーベル文学賞を受賞したのは82歳の時で、すでに引退を発表していた。体調が悪く授賞式には出席できず、代わりに録画映像が流された。執筆で最もつらいことを問われ、「読み返して、いかにひどいかを思い知るとき」と答えた▼「ジャック・ランダ・ホテル」は、村上春樹さんが編訳した短編集に収録されている。主人公は、若い女性に走った恋人を追って豪州まで来たが、意外な結末を迎える。村上さんも解説で、「こういうのってやはり芸だよなあと感心してしまう」と書いた▼あのマンローさんでも苦悶(くもん)して書き続け、比類なき「芸」の域まで達した。ああ書けないとすぐに音を上げる自分が、ただ情けない。」


何が印象に残ったかと言うと「文章を削りに削る」ということ。
当方、頭が悪いのか欲張りなのか、どうも文章が長くなってしまいがちになる。

例えばこの「話の種」だが、あれやこれや書いてるうちに、一つのテーマでもかなりの量になってしまう。
正確を記すために、また当方のメモとしての意味もあり、裏付けとなる事柄や関連事項、説明などを付け加えているので、これは仕方ないと自分を納得させている。
しかしそれとは別に、文章自体が長く締まりのない焦点がぼやけたものになり、結局私はどの部分を言いたいのかと思うことはしばしばある。
文章を削るということは逆に含みを持たせるということで、むしろ文章に厚みが増すことになるのではと思えてきた。

これらを考えると、新聞や雑誌でコラムなどを書いている人たちは流石だと思う。

この「話の種」を含め、文章は言いたいことを絞って、出来るだけ短く簡潔に。

 

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心遣いと感謝の気持ち

2024-09-05 13:57:21 | 話の種

「心遣いと感謝の気持ち」

朝日新聞の投書欄から2件。

〇(ひととき)「心づかいの再配達」(2024年7月9日)(女性77歳)

「土曜の夕方、家に帰るとポストに郵便局からの不在通知票が入っていました。宅配ボックスを置いていますが、なま物なので持ち帰ったとありました。当日の受付時間が過ぎていたので、次の日の午前中に再配達を依頼しました。
夜になってチャイムが鳴ると、郵便局の方です。「お花なので、今日中がいいかと思って、持ってきました」とのことでした。
昨年亡くなった夫に宛てて、娘が「父の日に」と、ヒマワリの花を贈ってくれたのでした。今年の父の日は、ちょうど月命日にもあたっていました。
予想しないことに驚いてしまって。郵便局の方の心づかいと娘の優しさに、思わず涙が出てとまりませんでした。
配達の方にお礼が言いたくて、翌日郵便局にファクスを送ると、上司という方からお電話がありました。みなさんの仕事の励みになると言ってくださって、また涙がとまりませんでした。
人の心の優しさにふれて、それを伝えたくて書いています。私も訪問介護という、多くの方とふれあう仕事を20年しています。夫は君の天職だねと、いつも言ってくれていました。心も仕事も、大切にしていきたいと思います。」


〇(声)「カスハラ生まぬ「ありがとう」」(2024年6月16日)(女性65歳)

「買い物をしたとき、お礼を言う店員に「ありがとうございます」と私は必ず言っている。良い商品が手に入ったこと、そして、接客への感謝の気持ちだ。丁寧なお礼をいただくと気持ちよい。バスやタクシーの運転手にも降車時に言う。「無事な運転、ありがとう」と感謝を込めて。
子供のときから親の背中をみて身につけた習慣。塾でも子供たちは当たり前のように「ありがとう」という言葉を使っていた。
最近、カスタマーハラスメントが問題となっている。日頃から消費する側も、当たり前のように「ありがとう」と感謝する習慣があれば、感情的に怒りをぶつけることはなくなるのではないかと思う。
セルフレジが登場して、お礼を言う機会が少なくなってしまったのが残念だ。お礼は人の心を和ませる魔法の言葉。ふれあいが薄くなれば、ぎすぎすした世の中になってしまうのでは、と心配だ。」


当方がよく見ているネットの海外の投稿サイトで、日本人は「他人に対する敬意がすごい」、「周囲への配慮、人を気遣う姿は美しい」という外国人のコメントがよく出てくる。
確かに日本人の他者に対する思いやり、気働きというのは、外国人に比べたら秀でているかもしれない。

ひとときの投稿「心づかいの再配達」には私も思わず涙腺を刺激された。琴線に触れたということだろうか。
心遣いのやり取りというのは美しいものである。

声欄の投稿だが、私もよくありがとうという言葉を使うようにしている。
前にもどこかで書いたと思うが、日本人は職業で人を差別することはほとんどなく、誰にでも対等、同等の立場で接するのが普通である。ただ投稿者も書いているように、近年店員などに対して横柄な態度をとる輩が散見されるようになったのもまた確かであろう。
スーパーのレジなどでは、店員さんが商品をスキャンしたあと別のかごに移し替えているが、その手際の良さに、私は意識的に「きれいに並べているね」「さすがにプロだね」などと声をかけることがある。そうすると向こうもニコッとして「仕事ですから」「慣れですね」などと返してくる。ただそれだけだがこのような会話は心地よい。

昔からある日本人の良き心持、気遣いというのは無くしたくないものである。

 

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