話の種

新聞やテレビ、雑誌などで、興味深かった記事や内容についての備忘録、感想、考察

人生の目的

2023-08-28 14:56:00 | 話の種

「人生の目的」

学生時代に、「人はなぜ生まれてきたのか」「人生の目的は何か」と悩んだ人は多いと思う。
私も例外ではなかったが、この悩みを解決してくれたのがサマセットモームの「人間の絆」という本だった。

本のストーリーは忘れてしまったが、強く印象に残ったのは「人生はペルシャ絨毯を織るようなもの」という箇所。
ペルシャ絨毯は意匠が凝っていて、織っている間はどのようなものが出来上がるか分からないが、仕上がった時にどのような絨毯になったかが分かる。そして複雑な凝ったデザインであればあるほど美しく価値のあるものとなる。

私はこれを自分なりに解釈し、人生もこれと同じで、生きている間は分からないが、死ぬときになって自分がどのような模様を織ってきたか(人生を歩んできたか)が分かる。
つまり、人生はいろいろ経験すればするほど、それが困難であればあるほど、美しい価値のあるものになると理解し、以後何事も経験だと思い失敗を恐れなくなった(失敗はそれだけ複雑な意匠を織って価値を高めているのだと思うことにした)。

(昔、このことを友人に力説したところ、「要はいろいろと経験をしろということだろう」と一言で片づけられてしまったが。)

これが私の実存主義との出会いだが、実存主義は「人は存在が先にある(目的があって存在するものではない)」ということで、モームがこの本を書いた意図は別の所にあったかも知れないが、私は「人は偶然の産物で、人生に目的などない」と理解し、随分と気楽になった覚えがある。

しかし、人が目的を持った存在ではなくとも、目的を作ることは出来る。
そうでなければ、人生が味気なくつまらないものになってしまう。
人によっては、何のために生きているのか分からなくなり、自分は無意味な存在、生きている価値がないと思ってしまうこともあるだろう。
そこで、宗教や人生論などが存在するのだが、これらはあくまでも指針で、どのような目的を持つか、どのように生きるかは人それぞれである。(当方は宗教や人生論を否定するものではなく、私自身随分とこれらを参考にさせて貰っている。またこれらによって救われ、生きる意味を見い出す人は多いと思う。)

私は「人は他者に迷惑をかけない限り、どうであろうと、何をしようと自由である」と思っているが、これは先に述べた実存主義の人生哲学、価値観に基づいたもの。

最近浮かんだ言葉だが、
「生があるから死がある」
「死があるから生がある」
つまり、「生きているものは必ず死ぬ」これは自然科学の領域。
そして、「死があるから生を考える」これは人文科学の領域。
どうだろうか。

(追記)

このブログの「死について」のところで記載したが、76才の男性が次のように述べていた。

「死について考えることは、いかに生きるかの原点のような気がします。死を見つめてこそ生も充実するかと。本を読み、友と交わり、学び、働き、旅をして、遊んで---経験を積む中で、きっとあなたはこの世の深さや広さ、複雑さを知るでしょう。
よいことばかりとは限りません。矛盾に悩む日も、挫折もあるかも知れませんが、様々な経験を重ねてこそ「生きる力」が育まれると私は信じております。(中略)
私たちがこの世に生まれてきたこと自体に意味があるのではないでしょうか。
人生を理解するには、生きつくす必要がある。それが今の私の正直な心境です。」

(表現に違いはあるが、人生においていろいろと経験を積むことに意味があり、そして生を全うして振り返った時に人生が分かるとしている点では、言おうとしていることは同じかと思う。)

(参考)

User
実存主義とは

ChatGPT
実存主義(Existentialism)は、20世紀の哲学的な思想運動であり、個人の存在、自由、責任、選択、孤独、不安などの人間の基本的な問題に焦点を当てています。実存主義者たちは、人間の存在が抽象的な理論や体系的な枠組みに捉えられるべきではなく、個々の経験や実際の生活に根ざした存在の意味を追求するべきだと考えました。

実存主義の主要な特徴と考え方には以下の点が含まれます:

個人の自由と責任: 
実存主義者は、個人が自由な存在であり、自分自身の選択と行動に責任を持つべきだと強調します。選択の自由が不可欠な要素であり、その選択が人間の人生の意味を形作ると考えられています。

存在の不安と孤独: 
実存主義者は、人間の存在は不安や孤独といった感情と密接に結びついていると信じています。人間は他者との関係を通じて自己同一性を見出す一方で、絶えず孤立や虚無感に直面する存在であると捉えられています。

絶対的な意味の不在: 
実存主義者は、絶対的な意味や価値が存在しないと見なす傾向があります。人々は自分自身の選択や行動を通じて個別に意味を築く必要があり、このプロセスこそが人間の存在の意味を形作るとされています。

実存と本質の関係: 
実存主義は、人間の実存(具体的な存在)が先行し、その後に本質(本質的な特性や属性)が形成されると考えます。人間は自分の選択と行動によって自己を創造し、その過程で本質が浮かび上がるとされています。

個人の経験と感情の重要性: 
実存主義者は、哲学的な論理や理論だけでなく、個人の経験や感情も重要視します。直感や感情が人間の存在と意義を理解する上で重要な役割を果たすとされています。

実存主義の代表的な哲学者には、ジャン=ポール・サルトル、アルベール・カミュ、マルティン・ハイデッガー、シモーヌ・ド・ボーヴォワールなどがいます。これらの哲学者たちは、実存主義の概念を異なる視点から探求し、人間の存在に対する深い洞察を提供しました。

 

 

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死について

2023-08-28 14:53:29 | 話の種

「死について」

古い話になるが、朝日新聞の声欄(2022/2/7)に13才の女子中学生の下記投稿があった。

□「死を思うことは恐ろしいけれど」

「死んだら、どうなるんだろう。私はよく、考える。
天国や地獄が本当にあって、そこで存在し続けるなら、そう願いたい。けれども、私の意識も、心も、何もかもが永遠に消え失せてしまうとしたら・・・。私は。底なし沼に沈んでいくような恐怖に襲われている。
まわりの友人に聞いてみるとやはり、恐ろしくて考えるのをやめるという。この恐怖からどう逃げたらいいんだろう。大人になったら、怖くなくなるのだろうか。
死は生き物すべての宿命だと改めて思う。生きるということは、死へ近づいて行くこと。恐ろしいが、しかしそれに気づいたからこそ、この命を何かのため、だれかのために使い切りたいとも思う。死ぬ時、私は十分頑張ったと思える人生にしたい。そのために、私はどうしたらいい?答えを見つけるべく、生きていこうと思う。」

この死の恐怖と言うのは誰しもが経験したことがあるだろうし、私自身も例外ではない。
しかし年を取ると不思議なもので、このようなことは余り考えなくなってきたし、それほど恐ろしいとも思わなくなってきた。年を取ってみて、これはどうしようもないことと達観していることもあるが、一方で、これ迄したいことは一応してきたし、もう十分ではないかと言う気持ちもある。

*当方最近がんの手術を受けたので、この時死を受け入れる覚悟が出来たせいもあるかも知れない。

*子供がいれば自分の分身(DNAは受け継がれていく)と言うことで、より死へのこだわりは薄れていくのではと思えるが、どうだろうか。

さて、この女子中学生の疑問に答える形で私の考えを記しておくと、

「死んだらどうなるんだろう(その先はどうなるのか)」
私の考えは「何もない」ということ。(とは言え、何かがあればという気持ちもあるのは確かだが)。科学的に考えればこのようになるが、一方宗教などは天国や地獄があるとし、中でも仏教などは輪廻転生の考え方をしている。
これはどちらが正しいかというものではなく、人の死生観というのは様々でどれが正解かというものはないと言える。要は自分の心が安らぐものであれば、(どこかの新興宗教のように他人に害を及ぼすものでない限り)それが正解だと考えられる。
(私の「何もない」という考えは、科学と同時に私の考えの根底にある実存主義が反映したものだろう。)

「意識も心も、何もかもが永遠に消え失せてしまうとしたら・・・」
ここで面白いのは、この子が、存在し続けるなら地獄でもよいと言っていること。(仏教などは、その教えの目的は、この世の苦しみから人々を救うこととしているのだが。)
これはともかく自分の存在が無くなってしまうことへの恐怖のようだが、このようなことは特に若い人たちに多いのではと思う。まだこの先経験してみたいことは沢山あり、楽しいこともいっぱいあるはずと、夢や希望があるからこそ恐怖を覚えるのだろう。

では、この恐怖を克服するにはどうしたら良いかということだが、答えは(当たり前のことだが)考えないようにするということ。(考えても解決できないことは考えないということ)
死が怖いと思うのは、死んだらどうなるのだろうと考えるからで、考えなければ当然怖いとは思わない。(つまり、この子の友人の「考えるのをやめる」というのは正解ということになる。)

*(自殺者は死を怖いと思わないから自殺するのだろうが、これは不幸なことだと思う。)

「大人になったら怖くなくなるのだろか」
これは、全く怖くなくなると言ったら嘘になると思うが、薄れていくのは確かだろう。
先にも述べたが、(年を取ると)これ迄したいと思ってきたことは一応してきたし、これから先もしたいと思うことはあまりないということで、生(存在)への執着は徐々に薄れていくと思う。

私がこの投稿で思ったのは、この子は非常に素直に今の自分の心情を吐露し、死は避けられないものだからと素直に受け止め、今ある人生を前向きに生きていくことが大事との結論を導き出しているのだが、とても13才とは思えず、しっかりしているなということ。

(参考)

*大阪の高校の先生の話(要旨のみ記載)

「なぜ私がこのようなことを書いたのかを言いますと、最近妻を亡くし、このことがをきっかけに死後の世界について考えるようになったからです。 私たちが認識できる世界は、「生」の世界ですが、一方で「死後」の世界もあるのではないか。「生と死」の二つの世界があり、私たちが存在している世界の対極に「死」の世界が存在しており、世界はこの二つの世界に支えられているのではと思うようになりました。」

「妻が生きていた時は、死ねば肉体も魂も滅び「無」となると考えていました。この「無」というのは「無くなる」という意味です。死後の世界の存在を否定的に考える傾向が強かったのですが、しかし、妻が亡くなってからは妻の存在の大きさに気づかされています。」
「私の中に生きている妻は「思い出」としての妻。「死」によって解放された妻は別の世界で生きていると思うようになってきています。 死後の世界がどのようなものかは、誰にも分かりません。しかし、知らないからといって、その世界を否定することは出来ないと思います。」

*東北福祉大学の千葉公慈学長(曹洞宗の僧侶でもある)の言葉
(これ迄述べてきたことについて参考となる要旨のみ記載)

「お釈迦様は、地獄とか天国とかいうものにとらわれること自体を避けておられます。」
「今の世の中からの連続性、これを「縁起」と言いますが、その連続性の中であの世があるのだと、お経では説いています。人の間(人間でいる間)に、人としての正しい生き方をするための一つの方法論として、あの世をお説きになったんです。このポイントは「あの世があるかどうか」よりも「今この世界をどう生きるか」にあります。」
(そして、逸話として、ある若者がお釈迦様に十の質問をする話をするのだが)

「お釈迦様は、これら十の質問に対して、口をつぐみ、無言をもって答えたと言います。言葉によっては表現できないということですね。」
(そして、例え話しを挙げた後)

「人の世には限りがあり、はかないものだ。終わりが必ず来る。だとすると、人の間に(人間でいる間に)自分がなすべきことをなさないと無益なものになるであろう。大事なことは、解決できない問題に頭を悩ますより、今自分が何をなすべきかを考え、実行することにある」とお釈迦様は語ります。」

「死に対する恐怖は、信じている宗教や民族、国、文化が違っても、同じなんだと思います。死は理不尽なものです。立派に生きていても、泥棒や殺人を犯しても、平等に訪れます。その「死」をどう意味づけし、納得するかは、世界の宗教や哲学に共通のテーマです。」

(参考)

(この女子中学生の投稿について、その後新聞社側が「死とは。生とは。ご意見をおよせ下さい。」と読者の投稿を求め、寄せられたものをいくつかを掲載していたが(2022/3/16)、それらの中で、私が今後このブログのテーマとして取り上げようかと思っていることに関連するものを2つほどピックアップしておく。)

□(76才の男性)
「死について考えることは、いかに生きるかの原点のような気がします。死を見つめてこそ生も充実するかと。本を読み、友と交わり、学び、働き、旅をして、遊んで---経験を積む中で、きっとあなたはこの世の深さや広さ、複雑さを知るでしょう。
よいことばかりとは限りません。矛盾に悩む日も、挫折もあるかも知れませんが、様々な経験を重ねてこそ「生きる力」が育まれると私は信じております。
お薦めしたいのは、自分のこころの中を文字にすることです。私の場合、書くことでモヤモヤが薄らぎ、進むべき方向がくっきり見えてきたように思います。
私たちがこの世に生まれてきたこと自体に意味があるのではないでしょうか。
人生を理解するには、生きつくす必要がある。それが今の私の正直な心境です。」

□(詩人・谷川俊太郎さん、90才)
「若いころの死の感覚は、とても抽象的でした。90才の今は、足がおぼつかなくなってくるとか、視力が落ちてくるとか、匂いや味の味覚が薄れていくとか、そういう老化が死と結びついてきているわけですよ。死が親しみやすくなってきているといえば変な言い方だけど、身近になっています。死はどういうことかわからないからやっぱり一種の恐怖も残っていますが、それはだんだん薄れていて、好奇心がある。
死が怖いというのは、自分がいなくなるのが怖いんでしょ。それが僕にはあんまりありません。
僕自身は、生と死はつながっているいう風に思っているんですけどね。」(要旨のみ記載)

 

 

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戦後日本経済史年表

2023-08-24 15:00:39 | 話の種

「戦後日本経済史年表」

最近経済問題の記述が増えたので、戦後日本経済に於ける主な出来事を年表にしてみた。(不況期についてはバブル崩壊以外特に記載していないが、景気の狭間には不景気があると理解してよい。)


1945年 8/15 敗戦
    (日本人の平均寿命は42.6才)
1946年
1947年 (出生数267万人と急増、ベビーブーム(1947-52))
1948年
1949年 73/2 円固定相場制($1=¥360)
1950年 朝鮮戦争(1950-1953)、特需景気
1951年
1952年
1953年
1954年 [神武景気](1954/12-1957/6)(*高度経済成長1955-1970)
1955年
1956年
1957年
1958年 [岩戸景気](1958/7-1961/12)
   (「三種の神器」(冷蔵庫・洗濯機・白黒テレビ)が急速に普及)
1959年
1960年 60/12 国民所得倍増計画/GNP重視
1961年
1962年 [オリンピック景気](1962/11-1964/10)
1963年
1964年 64/10 東京オリンピック
1965年 [いざなぎ景気](1965/11-1970/7) 
   (「3C(新・三種の神器)(カラーテレビ・クーラー・自動車)が急速に普及)
1966年
1967年
1968年 (GNP世界第二位へ)*GNP=国民総生産
1969年
1970年
1971年 71/8  ニクソン・ショック(金/ドル交換停止)
     71/12 スミソニアン協定(円切上げ(+15%)$1=¥308←¥360)
1972年
1973年 73/2  円変動相場制($1=¥264)
     73/10 第一次石油ショック 
1974年 (マイナス成長 戦後初)
1975年
1976年
1977年
1978年
1979年 79/1.4.7 第二次石油ショック
1980年
1981年
1982年
1983年
1984年
1985年 85/9 プラザ合意(発表翌日には$1=¥235から約20円下落、円高ドル安に)
1986年 [バブル景気](1986/12-1991/2)
    (一人当たりGDPが米国を抜く(-1997))*GDP=国内総生産
1987年 87/10 ブラックマンデー(世界で株価大暴落)
1988年 (半導体生産が世界市場の50%に)
1989年 89/5 日銀が公定歩合引上げ(3.25%へ)
     89/12 日経平均株価過去最高値(¥38,757.44(取引時間中))
1990年 90/1 株価暴落始まる(90/4迄に¥10,913(28%)下落)
    (株価・債権・円が揃って値下がりし「トリプル安」と呼ばれる)
    (バブル崩壊の前兆)
     90/4 大蔵省が不動産融資総量規制(バブル崩壊へ)
1991年 91/12 ソ連ゴルバチョフ大統領辞任(ソ連崩壊)
1992年
1993年
1994年
1995年 95/1 阪神・淡路大震災
     95/4 円/ドル最高値($1=¥79.75)
1996年
1997年 97/11 北海道拓殖銀行が営業権を譲渡
     97/11 山一證券破綻(自主廃業を発表し2005年に解散)
1998年 98/10 日本長期信用銀行を一時国有化
     98/12 日本債権信用銀行を一時国有化
1999年 99/2 日銀がゼロ金利への誘導策
     99/6 完全失業率は4.9%に(米国を上回る)
    (デフレスパイラル進行)
2000年 00/7 そごうが破綻
     00/8 日銀がゼロ金利政策を解除
2001年 01/3 日銀が量的緩和政策へ
    (完全失業率が5%台へ)
2002年 [いざなみ景気](2002/2-2008/2)
     02/11 総合デフレ対策
2003年 (家計貯蓄率は6.2%に下落(1985年は15.8%))
2004年
2005年 (日本の人口は統計開始以来初めて自然減となる)
2006年 06/3 日銀が量的緩和政策を解除。ゼロ金利は維持
     06/7 日銀がゼロ金利政策を解除
2007年
2008年 リーマンショック(欧州債務危機、11/3 $1=¥76.25)
2009年
2010年
2011年 11/3 東日本大震災
2012年 12/9 第二次安倍内閣発足(アベノミクス開始)
    [アベノミクス景気](2012/12-2018/10)
2013年
2014年
2015年
2016年
2017年 米国トランプ大統領就任
2018年
2019年
2020年
2021年
2022年
2023年 7/3 日経平均株価バブル崩壊後最高値(¥33,753(終値))
      (2023/8/24時点)

 

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腹が立つ事、腹が立つ輩たち

2023-08-22 13:23:14 | 話の種

「腹が立つ事、腹が立つ輩たち」

「威張るやつ 嘘をつくやつ ずるいやつ」
これは私が昔から一貫して嫌いで腹立たしいものの代名詞である。

〇このような人物の代表としてはまず政治家が挙げられる。
勿論皆がそうだという訳ではないが、政治家の場合はこの3つ全て当てはまる人物が多くみられる。特に副総理、元幹事長などは何であんなに偉そうな物言いなのだろうか。前首相はモリカケ問題、桜を見る会の問題では随分と嘘らしきものを重ねていたし、衆院議長は統一教会問題では黙して語らずであのずるさは相当なものである。

(そう言えば、春とか秋の叙勲に政治家が多いのは、やっぱり偉いんだろう。(とこの人たちは思っているんだろう。)また裁判官などの司法官僚とか行政官僚とかも多いが、高位の勲章は上級役職の人たちばかりである。昔は勲一等とか勲二等とかのランク付けがあり、今でこそ呼び名は変わっているが同じこと。人そのものにランクはないというが、そもそも何故このような制度が今でも残っているのだろうか。)

(当方昔から権力というものが嫌いで、若い頃は新聞記者になろうと思っていたものの、結局は普通のサラリーマンになってしまったが。)

〇新聞で反権力と言えば朝日新聞がその筆頭と言えるが、近年どうも変節してきたように感じる。新聞社と言えども民間企業で経営上、発行部数による収入の問題もあるし、また広告収入などスポンサーの意向も無視するわけには行かないだろうが、近年経営側が取材側にあれこれ口をはさむことが多くなってきたように感じる。

高知新聞記者時代、高知県庁の不正融資を暴く「県闇融資」取材班代表として日本新聞協会賞を受賞、社会部長を経て朝日新聞に移り、ここでは福島第一原発事故に焦点を当てた連載企画「プロメテウスの罠」の取材班代表として再度日本新聞協会賞を受賞、特別報道部長にもなったが、最後は朝日新聞の諏訪支局長として退職した取材記者がいた。これなど明らかに左遷と思わざるを得ない。何があったかは分からないが、経営側の何らかの意向があったとしか思えない。

東京新聞社会部の取材記者で、官房長官の記者会見で何度も質問を繰り返し、注意喚起や質問制限をされ、最後は取材拒否までされた女性記者がいた。いささか質問がしつこかった点はあるにせよ、官房長官独特のあの訳の分からない受け答えではしつこくならざるを得なかっただろうと思う。問題は権力をたてにしたこのような官邸側の態度である。

*通常、官房長官の記者会見は政治部の記者の出席が多く、質問も少なく短時間で終わるが、彼女はこれについて「私は政治部でなく、社会部の記者です。社会部で警察や検察の幹部とやりとりをしてきたなかで、執拗に質問しないと、肝心なことを答えないことを身に染みて知っています。答えをはぐらかし時にはウソもつかれます。」と述べている。
その後彼女はメディア関係の賞もいくつか受賞し、彼女の活動を追った映画も作られている。

(新聞記者やジャーナリストだが、どうも近年、権力のある相手にはおもねいたり忖度したりするような傾向が見られる。政治部や経済部などはそうでないと取材相手から記事になるような話が取れないということもあるだろうが、もっと信念を持って取材して欲しいものである。
この点、私が好きなのは社会部の記者で正義感が強く気骨のある人たちが多い。しかし社会部の記者と言えども近年サラリーマン化し、前述のような人たちが増えてきたのは悲しいことである。)

〇次に官僚及び役人だが、こちらも皆がそうという訳ではなく、また政治家よりはましだが、部署により非常に腹立たしい連中がいる。その部署と言うのは許認可権をもっているところ。
当方サラリーマン時代に輸入申請書類を役所に持って行ったところ、書類の書き方(文言)が悪いと言っていちいち難癖をつけてくる。腹が立ったので「(内容や意味は)同じことだろう」と言い返したが、後日個人タクシーの運転手さんにたまたまこの話をしたところ、「お客さんはまだいいですよ。私たちがそんなことを言ったら何カ月も許可を下して貰えませんから」と言っていた。
申請書類の場合「認可を貰う」という言い方があるように、多分この連中は自分たちは偉いのだと勘違いしているとしか思えない。

〇他に腹が立ったこととしては、「名古屋入管の問題」「滝山病院の問題」など。この二つに共通しているのは、よくあのような非人道的なことが出来るなということ。
どちらも密室の中での行為で、相手をばかにして人間扱いしていないということ。一体暴行を加えた連中はどのような環境で育ってきたのだろうか。或いは今の環境がそのようにさせたのか。多分後者ではないかと思う。自分たちは特別な人間だと思い込み、相手を見下しているのだろう。

(これらについて更に腹が立つのは、組織による隠蔽で、また平気で嘘をつくということ。
例えば名古屋入管の問題などは、証拠となるビデオはなかったと言い、あることが分かってもなかなか出さない、出したと思ったら一部分だけ、ビデオを見ることが出来るのは被害者の家族だけなど、念が入っている。また名古屋入管の上部組織もこれを擁護し、政府もこの件ではあまり動かないだけでなく、逆にこのような事態を防ぐのではなく逆行するような形の入管法改正案を国会で通過させてしまう。一体この人達に正義感と言うのはないのだろうか(ないだろうね))。

〇近年家庭での子供への虐待とか学校でのいじめ問題などが話題となるが、この時に腹が立つのは教育委員会(学校もだが)などの無責任な態度。事なかれ主義がそうさせているのだろうが、恥ずかしいとは思わないのだろうか。(蛙の面に小便で別に何も思わないだろうね。)
そして更に腹が立つのは、誰もこの人たちの責任を追求せず、結局はうやむやになってしまうこと。
(このような事があった時、記者達の質問に対する教育委員会などの答えは、「把握していなかった」「確たる証拠がなかった」というものが多いが、これについてテレビであるコメンテーター(弁護士)が「警察ではないのだから立証する必要はない」「(家庭などに)圧力をかければよい」と言っていた。)

〇政府や役所が(企業もそうだが)、何かあると会見の場で被質問者が「個別の事案については答えられない」とよく言うが、この他に「この件については回答を差し控える」「仮定の質問には答えられない」などと返答することも多い。質問者側もそれ以上質問をせずにこれで終わってしまい、テレビなどで見ているこちら側は消化不良でいらいらしてしまう。説明責任は一体どうなっているのだろうか。なぜこのような返答が許されるのだろうか。
これは相変わらず疑問のままで、未だに消化不良の状態である。

(書き出したら止まらなくなり切りがないので、一旦ここで打止にしておく。)


(これは良い方の話)
同じ役人でも、日本の街中の警察官はなんであんなに丁寧な言葉使いをするのだろうかと、常々不思議に思っている。日本人の私がそうなのだから、投稿サイトの外国人などは、警察官の市民への対応を映した投稿画像を見て驚きかつ感心している。自衛隊員なども災害救助などでは献身的によくやってくれている。税務署員なども丁寧だが、こちらは税金を受け取る(貰う)方だから分からなくもないが、いずれにしても同じ公務員とは思えない。(上級職は身内には威張っているかも知れないが。)

 

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ChatGPTについて

2023-08-21 18:59:55 | 話の種

「ChatGPTについて」

ChatGPTについて、仕組みや回答方法についてChatGPTに質問してみた。
その回答だが、分かったのは当方にはさっぱり分からない事ばかりということ。
(この回答は最後のところで記載するが、ついでに何故無料なのかも聞いてみた。)
以前、CD(DVD)についても、その仕組みについて知人に聞いてみたことがあるがよく分からず、最近半導体についての本も買ったが、ややこしいので読むのは後回しになっている。
そして今度はChatGPTだが、これはもう理科系の人たちに任せて、文科系は無駄な詮索はしないことにした。(レコードの原理は分かる。磁気テープも何となく分かる。しかしそれ以降となるともうついて行けない。アナログ人間の限界だろう。)

ChatGPTが出始めのころ、「間違っていることでも断言口調で答える」と言われていたが、これは仕方がない(人間でも間違えることはある)。要は使い方、利用の仕方の問題で、例えば答えに少しでも疑問な点があれば、私などはそれらの点について別のネット検索や辞書・辞典などで再確認することにしている。
ともかくChatGPTで何よりも便利なのは、何か物事を書き纏めたりする場合、ChatGPTの回答をコピペし、それに修正や追加をするだけで済むということで、大いに時間と労力の節約になる。

生成AIが人の仕事を奪うようになるとも言われていたが、当初私はこの点については疑問に思っていたが、これだけ賢いとなると、それはあり得ると思うようになった。
本日(8/21)の朝日新聞に、「ChatGPTを使うから報酬を半額にして欲しい」と取引先から言われたというフリーライターの女性の話が出ていた。この女性は医療機関のウェブサイトに掲載する文章の執筆を請け負っていたようだが(但し、女性が依頼された仕事の内容は、事前のリサーチから記事の構成、執筆後の見出しの作成まで変わらないようだが)、世の中がこのようになってくると、仕事の仕方とか内容を見直す必要が出てきたと思う。つまりAIに出来る部分はAIに任せて、それを如何に加工し創造性を加えていくかと言うこと。(AIがまだ出来ない部分を仕事にしていくということ。)

AIの活用、AIとの共存というのはこういうことかなと思った。

 

(以下、冒頭に掲げたChatGPTへの質問とその回答)

User
「ChatGPTはどのような仕組み、方法で回答を出しているのですか?」
ChatGPT
「ChatGPTは、OpenAIによって開発された自然言語処理の技術です。GPT(Generative Pre-trained Transformer)という名前の通り、その基盤となるアーキテクチャはTransformerと呼ばれるものです。以下に、ChatGPTが回答を生成する仕組みと方法の概要を説明します。

事前学習(Pre-training):
ChatGPTは、巨大なテキストコーパス(ウェブページ、記事、本などのテキストデータ)を用いて、事前学習されます。この学習は、大量の文章をモデルに与え、次の単語を予測するタスクを通じて行われます。具体的には、「文脈(コンテキスト)」内の単語を生成するために、その前の単語や文脈を考慮して予測を行う訓練が行われます。

転移学習(Fine-tuning):
一度事前学習が完了すると、特定のタスクに適した振る舞いを学習するために、限られた量のタスク固有のデータでモデルを微調整します。ChatGPTでは、特に対話生成タスクに関心があり、対話データを用いてモデルを調整します。

デコーディング(Decoding):
ユーザーがテキストを入力すると、モデルは入力文脈を受け取り、それに基づいて次の単語を生成します。生成は、デコーダと呼ばれる部分で行われます。デコーダは、学習済みの重みパラメータと文脈情報を利用して、単語ごとに最も適切な次の単語を選択します。

ビームサーチ(Beam Search):
デコーディングの段階では、モデルが複数の次の単語の候補を生成し、その中から最適なものを選ぶ必要があります。ビームサーチは、複数の生成候補を保持しつつ、それぞれの生成列の尤もらしさを評価し、最終的な出力文を決定します。

ChatGPTの強みは、大規模なデータセットで訓練されたことによる幅広い知識と文脈の理解力です。ユーザーの入力に対して、適切な応答を生成するために、その背後には多くの数学的な処理と統計的モデリングが行われています。」


User
「ChatGPTの開発には膨大な費用がかかっていると思いますが、なぜ無料で使用できるのですか?」
ChatGPT
「確かに、ChatGPTの開発には膨大な費用がかかりました。しかし、OpenAIは無料でChatGPTを提供する一方で、いくつかの有料プランも提供しています。その背後には、いくつかの理由があります。

コミュニティへの貢献:
OpenAIは、AI技術を広く一般の人々に利用してもらい、実際の応用に貢献することを目指しています。無料のアクセスを提供することで、研究者、開発者、一般の人々がAIを試し、活用する機会を提供しています。

データ収集と学習: 
ChatGPTは巨大なデータセットで事前学習されています。そのため、ユーザーが提供する対話データやフィードバックも、モデルの改善に役立てられることがあります。ユーザーの対話から得られる情報は、モデルの学習や精度向上に寄与することがあります。

有料プラン: 
OpenAIは、企業やプロのユーザー向けに有料のプランも提供しています。これにより、サポートや追加の機能を提供しつつ、無料アクセスの提供を継続するための収益を得ています。

研究と展開の両立: 
OpenAIは、AI技術の研究と実用の両面で成果を上げることを目指しています。無料アクセスによって、さまざまな人々がAIの可能性を探求し、新しいアイディアや用途を発見することができます。

以上の理由から、OpenAIは無料でのアクセスを提供しつつ、有料プランやパートナーシップなどの手段を活用して、持続的な運用と研究を行っています。」

 

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ChatGPTとの対話

2023-08-20 13:27:08 | 話の種

「ChatGPTとの対話」

これ迄ChatGPTとは質問をしてその回答を得るということで、単発の質問や関連質問だけをしてきたが、つい最近対話形式での質問も出来るということが分かった。
質問の答えの下に質問欄があるが、ここで対話型の再質問をすればよいということ。
考えてみればChatGPTのChatとは「おしゃべり」という意味で、スマホのチャットに慣れた若い人たちにしてみれば、対話形式ついて「何を今さら」ということだろうが(また最近解説本など多数出ているので、多くの人はその使い方などとっくに知っているだろうが)、何がそんなに賢いかと言うことで、最近のChatGPTとの対話を記しておく。
(因みにGPTは「Generative Pre-trained Transformer」の略で、「事前学習済みの、文章生成、変換器」ということになる。)


User
「雇用契約を締結した労働者は、労働保険や社会保険の加入や有給休暇の取得、使用者からの一方的な解雇の禁止など、労働法上の保護を受けることができると聞きましたが、どのような規定ですか。」

ChatGPT
「労働法における雇用契約の保護規定は、国や地域によって異なる場合がありますが、一般的な基本的な保護規定について説明します。以下に、日本の労働法における主な保護規定の一部を示します。

労働保険と社会保険の加入: 労働者は労働保険(雇用保険、労災保険など)や社会保険(健康保険、厚生年金保険など)に加入することが求められます。これにより、労働者が労働災害や疾病などの場合に補償を受けることができます。

有給休暇の取得: 労働者は労働期間に応じて一定の有給休暇を取得する権利があります。この休暇は、労働者が健康や休息を確保するために使用することができます。

労働時間と休息時間の規定: 労働法では、労働者の労働時間、休憩時間、休日などが定められています。これにより、労働者が過度な労働時間や疲労から守られるようになっています。

賃金の支払い: 労働者は、適切な賃金が支払われる権利を持っています。賃金の支払いは、遅延なく行われるべきです。

労働条件の合理的な変更の保護: 雇用契約の一方的な変更は、労働者に対する通知や合意などの手続きが必要とされる場合があります。

解雇の規制: 解雇は、一方的に行われる場合でも、労働者の権利を尊重して行われるべきです。不当解雇の場合、適切な手続きや補償が求められることがあります。

ただし、具体的な保護規定や詳細は、国や地域の法律によって異なる場合があります。また、労働法の改正や変更がある可能性もあるため、最新の情報を確認することが重要です。ご質問の内容が特定の国や地域に関するものである場合、詳細な情報を提供するためにその国や地域を教えていただけると幸いです。」


User
「先の質問ですが日本です。」

ChatGPT
「了解しました。先の質問が日本に関するものであることを確認しました。以下に、日本の労働法における主な保護規定について詳しく説明します。

労働保険と社会保険の加入: 日本では、労働者は雇用保険や労災保険に加入する義務があります。雇用保険は、失業時の給付金や雇用保険手当などを提供し、労災保険は労働災害や職業病による補償を行います。また、健康保険や厚生年金保険なども社会保険として提供されています。

有給休暇の取得: 労働者は労働期間に応じて有給休暇を取得する権利があります。最低でも労働者1年間の勤務で10日間の有給休暇が与えられます。このほかに、勤続年数に応じて増加する規定もあります。

労働時間と休息時間の規定: 労働者の1日あたりの労働時間は原則として8時間、週の労働時間は40時間までとされています。また、労働者には一定の休息時間や休日が与えられます。

賃金の支払い: 労働者には賃金が支払われる権利があり、賃金は定期的に支給されるべきです。最低賃金基準が設定されており、それを下回る賃金の支払いは禁止されています。

労働条件の合理的な変更の保護: 雇用契約の変更は、労働者と合意の上で行われるべきです。重要な変更が行われる際には、労働者に対して適切な通知や説明が求められます。

解雇の規制: 労働者の一方的な解雇は、労働基準法に基づく正当な理由が必要です。不当解雇の場合、労働者は解雇の取り消しや適切な解雇争議解決の手続きを請求することができます。

これらは一般的な日本の労働法に関する保護規定の一部です。労働者の権利を守るためには、具体的な法律や規制を確認し、必要に応じて労働組合や労働相談機関などに相談することが重要です。」


User
「この回答ですが、それぞれ労働法の何条の規定か教えてください。」

ChatGPT
「もちろんです。以下に、先ほど説明した日本の労働法の主な保護規定について、該当する法律の条文を示します。

労働保険と社会保険の加入:
雇用保険: 労働者災害補償法(雇用保険の適用)第1条など
労災保険: 労働者災害補償法(労働災害保険の適用)第1条など
健康保険・厚生年金保険: 健康保険法、厚生年金保険法など

有給休暇の取得:
労働基準法第39条〜第40条

労働時間と休息時間の規定:
労働基準法第32条〜第38条

賃金の支払い:
労働基準法第14条〜第27条

労働条件の合理的な変更の保護:
労働基準法第16条、第18条など

解雇の規制:
労働基準法第16条、第18条など

ただし、これらは主な条文であり、詳細な内容や法令全体に関する情報は法律の専門家や公式文書を参照することをおすすめします。労働法は時折改正されることがあるため、最新の法律を確認することも重要です。」

 

 

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正規雇用と非正規雇用

2023-08-20 13:14:44 | 話の種

「正規雇用と非正規雇用」

正規雇用と非正規雇用について、その定義、推移と内訳、雇用契約について整理してみた。

〇[定義](法律上の明確な定義はない)

[正規雇用](正社員、正職員)
一般的に、正社員(正職員)は、「直接雇用で」「労働契約の期間の定めがない」「所定労働時間がフルタイムである」者をいう。

[非正規雇用](正規雇用以外のもの)
「契約社員」「嘱託社員」「パートタイマー」「アルバイト」など

*正規雇用の概念で「労働契約の期間の定めがない」という箇所に不思議に思ったが、これは期間を定めての雇用(契約)ではないということで、退職規定などは雇用契約のなかで定められる。

〇「正規雇用者と非正規雇用者の推移」(「労働力調査」総務省)
(括弧内は非正規雇用者比率)

1990年 (正)3,473万人(非) 870万人(20.0%)
1995年 (正)3,761万人(非) 988万人(20.8%)
2000年 (正)3,609万人(非)1,258万人(25.8%)
2005年 (正)3,318万人(非)1,577万人(32.2%)
2010年 (正)3,334万人(非)1,690万人(33.6%)
2015年 (正)3,242万人(非)1,956万人(37.6%)
2020年 (正)3,483万人(非)2,119万人(37.8%)
2022年 (正)3,544万人(非)2,046万人(36.6%)

*1990年のバブル崩壊後、1999年以降景気悪化が更に深刻となり、企業の倒産や人員削減による失業、新規採用の抑制などにより過酷な就職難が発生したが、この表でも2000年以降急速に非正規雇用が増加している。

〇「非正規雇用者の内訳」(2022年1-3月平均)(「労働力調査」総務省)
(括弧内は女性の比率)

パート  (男)119万人(女)873万人(88.0%)
アルバイト(男)222万人(女)222万人(50.0%)
派遣社員 (男)  53万人(女)  83万人(61.0%)
契約社員 (男)147万人(女)133万人(47.5%)
嘱託   (男)  72万人(女)  43万人(37.4%)
その他  (男)  38万人(女)  43万人(53.1%)

合計   (男)651万人(女)1,397万人(68.2%)

*非正規雇用は全体的に女性の比率が高いが、特にパートや派遣社員が多い。これには「年収の壁」の問題も無視できない。

〇「非正規社員の比率(産業別)」(2018年 厚生労働省)
(産業分類のなかで非正規社員の比率が高い業種のみ掲載)

第一次産業
 製造業(22.7%)
第二次産業
 卸売業・小売業(73.1%)
 不動産・物品賃貸業(30.0%)
第三次産業
 宿泊業・飲食サービス業(73.1%)
 生活関連サービス業・娯楽業(54.1%)

全体(38.0%)

*第一次産業は非正規雇用の割合は低いが、やはり卸・小売業やサービス業は非正規雇用の比率がかなり高い。

〇「正社員・正職員の職種別男女比率」(2022年 厚生労働省)

総合職  (男)(81.6%)(女)(18.4%)
限定総合職(男)(69.1%)(女)(30.9%)
一般職  (男)(68.5%)(女)(31.5%)
その他  (男)(75.9%)(女)(24.1%)

全体   (男)(75.2%)(女)(24.8%)

*昔から男女格差が言われているが、正社員に於いても女性の比率は相変わらず低い。


(参考)

〇[雇用契約] 

「雇用契約」とは、「労働者が使用者(雇用主)のもとで労働に従事し、使用者はそれに対する賃金を労働者に支払う約束をする契約」(民法第623条)。
従って法律で定義されていることにより、雇用契約を結ぶことで労働者は労働基準法や労働契約法により守られることになる。

会社と雇用契約を結んで仕事に従事する者は全て労働者として定義され、労働者はパート・アルバイトなどの雇用形態に関係なく、労使間で「雇用契約」を結ぶことが法律で義務付けられている。(雇用契約は労働条件を明確にする重要なもの)

(「労働契約」という言葉もあるが、雇用契約は民法上で定められた、使用者と労働者の契約のことで、労働契約は労働基準法や労働契約法など、労働に関係する法令やルールを扱う際に使用される言葉。一般的にはほぼ同義語と解して差支えない。)

〇「雇用契約の法律に於ける概念(目的)」

[雇用契約の民法上の規定(特徴)]

「雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。」(民法第623条)

*民法の規定は「労務を行うこと」と「報酬を支払うこと」に主眼が置かれている。
*このような役務型契約は、売買型契約や賃貸借契約と異なり対象物が介在せず、サービスの提供が主体となる。
*民法上の雇用契約は諾成契約なので、書面締結することを必ずしも要件とはしていない。

[雇用契約の労働契約法上の規定(特徴)]

「この法律は(中略)労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。」(第1条)

*民法や労働基準法ではカバーしきれない内容を法規定したものが「労働契約法」で、「労働者の保護」「労使間の力関係の均衡」が目的。
*労働契約法では、使用者と労働者の関係が民法よりも明確に規定され、書面締結することも定められることになった。(労働契約法第4条第2項)
*第5条では、「使用者は労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をするものとする。」とし、民法では具体的に定めなくても労働者を危険から保護する義務があるとされていた内容を明示した。

〇「雇用契約書と労働条件通知書」

雇用条件(労働条件)を記載したものには「雇用契約書」と「労働条件通知書」がある。

「雇用契約書」は「労働者と雇用主との間の労働契約の内容を明らかにするための契約書」。

(給与、就業場所、時間、業務内容、昇給、退職などの労働条件に関する重要事項を取り決めて書面化し、企業側と労働者側の双方が署名押印(又は記名捺印)をして締結する。雇用契約書は、記載する事項について法令等では定められていない。実務上、雇用契約書と労働条件通知書を兼ねるケースも多く、その場合には労働条件通知書に記載が求められる事項を、雇用契約書にも記載しなければならない。)

「労働条件通知書」は「雇用契約を結ぶ際に「事業主側から労働者に通知する義務のある事項」が記載されている書類。

(書面に記載して必ず明示しなければならない。これには必ず記載しなければならない絶対的記載事項が含まれる。労働条件通知書は、企業側が作成して労働者へ交付するもので、労働者側は署名押印(又は記名捺印)はしない。)

[絶対的記載事項]

・労働契約の期間
・就業場所
・従事する業務の内容
・始業時刻と終業時刻
・交代制のルール(労働者を2つ以上のグループに分ける場合)
・所定労働時間を超える労働の有無
・休憩時間、休日、休暇
・賃金の決定、計算、支払方法、締切日、支払日
・退職や解雇に関する規定

*パートタイムやアルバイトなどの短時間労働者については、以下の内容も明示する必要がある。
・昇給の有無
・退職手当の有無
・賞与の有無
・雇用管理についての相談窓口の担当部署名・担当者名等

〇「労働基準法」

労働基準法は「労働三法」(労働基準法・労働組合法・労働関係調整法)の一つ。
労働基準法は、労動者が働く条件についての最低基準を定める法律。
労働基準法は、使用者と労働者の間でもっとも頻繁に問題となる法律であり、労働条件に関して、多岐にわたるルールが定められている。
(労働条件の明示、解雇の予告、賃金支払いの5原則、労働時間・休憩・休日、残業代、有給休暇、就業規則、労動者への周知)

*「労働法」とは、使用者(雇う側)と労働者(雇われる側)の関係性を定める法令の総称。

 

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景気関連の各種統計データ

2023-08-20 12:56:33 | 話の種

「景気関連の各種統計データ」

「失われた30年」「年功序列と成果主義」で述べた事についての参考データを記載しておく。

(目次)
1.「日本企業の内部留保推移」
2.「日本のGDPの推移」
3.「日本の経済成長率の推移」
4.「日本の最低賃金の推移」
5.「日本の平均給与(年収)の推移」
6.「日本の平均給与(年収)の推移」(雇用形態別)
7.「日本の男女別の平均給与(年収)」
8.「日本のインフレ率の推移」
9.「日本の消費者物価指数の推移」
10.「日本の家計消費支出の推移」

 

1.「日本企業の内部留保推移」
(大企業の内部留保(単位:兆円))

1990年 113兆円
1995年 134
2000年 172
2005年 206
2010年 266
2015年 313
2018年 369
2020年 484
2021年 516

*(財務省「法人企業統計」(資本金10億円以上の企業で金融・保険業を除く))

2.「日本のGDPの推移」(単位:兆円))

   (名目) (実質)  
1980年 255兆円 273兆円
1985年 340   335
1990年 462   426
1995年 521   458
2000年 535   482
2005年 532   511
2010年 505   510
2015年 538   538
2020年 539   528
2021年 549   540
2022年 556   546

*(IMF,SNA(国民経済計算マニュアル)に基づいたデータ)
*(自国通貨ベース)

3.「日本の経済成長率の推移」(単位:%)

1980年 3.18%
1985年 5.23
1990年 4.89
1995年 2.63
2000年 2.77
2005年 1.80
2010年 4.10
2015年 1.56
2020年  -4,28
2021年 2.15
2022年 1.08

*(経済成長率 = (当年のGDP- 前年のGDP)÷ 前年のGDP X 100)
*(IMF,SNA(国民経済計算マニュアル)に基づいたデータ)

4.「日本の最低賃金の推移」

1980年 2,812円(日額)
1985年 3,478
1990年 4,117
1995年 4,866
2000年 5,256
2002年  663円(時給)
2005年  668
2010年  730
2015年  798
2020年  902
2021年  930
2022年  961

*(厚生労働省「地域別最低賃金改定状況」)

5.「日本の平均給与(年収)の推移」(単位:万円)

   (A)   (B)
1990年 463万円 468万円
1995年 468   482
2000年 467   480
2005年 455   472
2010年 431   452
2015年 420   430
2020年 433
2021年 443

*((A)国税庁「民間給与実態統計調査」(1年を通じて勤務した給与所得者)の平均年収を2015年基準の消費者物価指数で補正(実質賃金))
*((B)厚生労働省「毎月勤労統計調査」の数字を国税庁「民間給与実態統計調査」の2017年の年間平均賃金を起点にして実額化した数字)

6.「日本の平均給与(年収)の推移」(単位:万円)
(雇用形態別)

    (全体)(正社員)(非正規社員)
2017年 432万円  493万円 179万円
2018年 440    503   225
2019年 436    503   174
2020年 433    495   176
2021年 443    508   197

*(国税庁「民間給与実態統計調査」)

7.「日本の男女別の平均給与(年収)」(単位:万円)

    (男性) (女性)
2021年 545万円 302万円

*(国税庁「民間給与実態統計調査」)

8.「日本のインフレ率の推移」(単位:%)

1980年 7.81%
1985年 2.04
1990年 3.07
1995年  -0.09
2000年  -0.69
2005年  -0.29
2010年  -0.74
2015年 1.56
2016年  -0.12
2017年 0.49
2018年 0.99
2019年 0.47
2020年  -0.03
2021年  -0.24
2022年 2.50

*(IMF)
*(年平均値)

9.「日本の消費者物価指数の推移」(単位:指数)

1980年 73.14
1985年 83.83
1990年 89.62
1995年 95.91
2000年 97.29
2005年 95.21
2010年 94.83
2015年 98.22
2016年 98.10
2017年 98.58
2018年 99.56
2019年 100.02
2020年 100.00
2021年 99.76
2022年 102.25

*(IMF)
*(基準年=100、年平均値)

10.「日本家計消費支出の推移」(単位:千円)
(1世帯当たり年間の消費支出額の推移)

2000年 3,807
2005年 3,606
2010年 3,482
2015年 3,448
2016年 3,386
2017年 3,396
2018年 3,447
2019年 3,520
2020年 3,483
2021年 3,348
2022年 3,490

*(総務省「家計調査」準拠)
*(データは総世帯のもの)
*(千円以下は切り捨て)

 

 

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「整理」(益田ミリ)

2023-08-17 22:05:15 | 話の種

「整理」(益田ミリ)

朝日新聞の「くらし」欄に益田ミリさんの下記エッセイが載っていた。(2023/8/12付)
面白かったので下記記しておく。

□(オトナになった女子たちへ)途中があふれてる

「パソコンの中がてんこ盛りになっている。必要ない資料を削除すれば使いやすくなるだろうなぁと思いつつ、面倒くさくて長らくそのまんま。ある夜、思い立って整理を始めた。
お礼状やインタビューの下書き、スキャンしたイラストや漫画。サクサク消していく。ものすごく気持ちがいい。
途中までしか書いていないエッセイもあった。そのひとつがこのエッセイで、今つづきを書いている。
画面の隅に「カルタ」というファイルがあった。カルタを考えてみたくなり、思いついたときに書き足していたやつだ。
「そ」は「その正論キモい」。
「わ」は「わかりあいたくない」。
「ん」もあった。「んなこと知るか」。
大きな声で読み上げたらすっきりしそうな気もする。すっかり忘れていたが、仕上げてみるのもいいかもしれない。たぶん誰もいらないだろうけど……。
2020年の日記もあった。たった6日で終わっていた。コロナ禍、初期の緊急事態宣言の頃だろう。(中略)
3年前の日記が遠い昔のように思える。
それにしてもなぜ6日でやめてしまったのだろう?どこへも行かず、あんなに時間があったはずなのに。」


・このエッセイを読んでまず最初に思ったのは、さすがに上手い文章を書くなぁということ。
・次に、私も老い先短くなったこともあり、いろいろと整理しなくてはと思ったこと。
整理には「物の整理」と「心(考え)の整理」とがあり、物の整理については折に触れて行っているが、これは置くところが無くなり必要に迫られてやってきただけ。
考えの整理については、ブログを始めたことでただ今実践中。
・カルタのくだりには笑ってしまった。この時は余程虫の居所が悪かったんだろうね。
・日記については、彼女のような書くことの専門家でもこのようなことがあるんだなと、かなり親近感が湧いてきたので、これから彼女のエッセイをもっと読んでみようという気になった。(エッセイストであると共に漫画家でもあるので、こちらのDNAが優先してしまったのだろうか)

 

 

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失われた30年

2023-08-17 21:35:32 | 話の種

「失われた30年」

日本経済はバブルの崩壊により長期低迷、デフレに陥ってしまい、失われた20年と言われていたものが今や30年になってしまっている。
バブルは金融緩和によって引き起こされたものだが、現在も金融緩和は行われているにもかかわらずデフレから脱却出来ないでいる。この違いは何だろうか。

まず言えるのは、低金利により得られる資金の使い方が違うということ。
バブル時代は企業は(個人も)不動産投資や株式投資などを活発に行い、経済は過熱し、インフレになった。
商社で言えば伊藤忠商事は不動産投資、丸紅は株式投資で大きな利益を上げた。
三菱地所は米国のロックフェラーセンターの買収で話題になった。
この頃は企業も利益を従業員に還元し、賃上げ交渉で組合要求よりも会社回答の方が多かったという笑い話のような話もある。従って個人の購買意欲も旺盛で、需要が供給を上回る状況が続いた。
一方、現在はと言えばバブルの崩壊やリーマンショックなどにより、経営者は保守的になり、低金利とは言えども銀行からの借り入れはあまりせず、設備投資にも慎重で、得た利益は内部留保として貯め込むばかりで、従業員の賃金などは押さえつけられたままである。これでは個人消費も伸びない。最近になって企業も政府からの要請もあり、従業員の給料を上げるようになってきたが、インフレによる物価高には追いついていない。従って消費者も先行きが見えないことより依然として慎重で、給料の一部は細々ながら貯蓄しておこうということになる。

昨日(8/15)、本年4-6月期のGDPが発表されたが、実質で前期(1-3月期)より1.5%増、年率換算で6.0%増だった。実質GDPの実額は560兆円で過去最高。これを牽引したのは円安による自動車などの輸出及び訪日客の増加だった。一方設備投資はほぼ横ばい、GDPの半分以上を占める個人消費は0.5%減で、内訳は非耐久財(食料など)が1.9%減、耐久財(白物家電など)が3.3%減となっており、家計支出への慎重さが伺える。これについて朝日新聞の記事は、「この成長率の伸びは海外の景気に左右される外需頼みのもので、賃金上昇が物価高を上回る環境をつくらなければ持続的な成長にはつながらない」と述べている。

つまり企業業績は概ね好調(主体は上場企業だが)であるにもかかわらず、景気が低迷しデフレを脱却できないでいる主な要因は、個人消費が上向かないからであり、その原因は実質賃金が増えていないということにある。(米国は逆に金利が矢継ぎ早に上がっても、それと同時に賃金も上がっており、個人消費支出は引き続き堅調で、不安視されていた景気の下振れなど感じられない。)
昔は日本は賃金が良いということで海外からの出稼ぎも多く、日本の物価は高いとも言われていたが、今はその逆で、日本への出稼ぎは敬遠され、訪日外国人も日本は物価が安いと言って日本での観光旅行を満喫している。
日本の最低賃金は先進国内では今や最低で韓国にも抜かれており、消費者物価もほぼ最低水準にある。
賃金で特に安いのは第三次産業の労働集約型であるサービス業や流通業で、GDPに大きな比重を占める個人消費を増やすには、これらの人たちの賃金の底上げを早急にしないとデフレ脱却は難しく失われた40年になりかねない。

(補足)

ここで忘れてはならないのは失業率で、日本の失業率は他国と比べてかなり低い。
これは終身雇用と定年延長の影響もある。
(現状、失業率は賃金水準とは相反関係にあると見てよい。つまり他国の場合は賃金水準は高いが失業率も高く韓国も例外ではない。)
また日本の場合、終身雇用ではなくても従業員の雇用を大切にするマインドがある(そうでない企業もあるが)。従って、雇用を維持するために賃金水準を犠牲にして来たと言えなくもない。
「どちらを選ぶか」と二者択一を迫られたら困るが、幸い今日本の上場企業には内部留保と言う打ち出の小槌がある(中小企業は難しいだろうが)。企業業績は今でも堅調なことだし、「どっちも」と言えるのではないだろうか。
従業員の賃金が上がれば、消費も増えるだろうし(日本人が好きな貯蓄に回してはだめだが)、そうすれば企業業績も上がる、そしてまた賃金を上げることができるという、念願だった景気の好循環に持っていく事が出来る、今がチャンスかと思う。(世界経済の落ち込みと言う不安材料は未だに残っているが。)

*失業率(OECD, 2020年)
日本2.8%、米国8.1%、英国4.5%、フランス8.0%、ドイツ4.2%、イタリア9.1%、韓国3.9%

*最低賃金(OECD, 2020年)米ドル
日本8.43、米国7.25、英国11.01、フランス11.59、ドイツ10.67、カナダ10.18、韓国7.27

(最近の物価上昇により各国は最低賃金を引き上げており、今年で言うと一番高い国はオーストラリアで$14.54(¥2,040)(Ex.¥140)で日本の2倍、米国は連邦政府レベルでは$7.25だが各州や市が独自の最低賃金を設定しており、最高額のワシントン州では$15.74、最も低いモンタナ州でも$9.95となっている。
日本も先月最低賃金の引き上げを行い¥1,002としたが、円安が進んでいることよりドル換算すると$7.15(Ex.¥140)、韓国はW9,620(¥1,060)(Ex.¥0.11)で日本を上回ることになった。)

(参考)
*人事コンサルタントの城繁幸氏は次のように述べている。

「経営側は既存の事業と人員を維持することを最優先してリスクをとらず、労働組合は賃上げ要求を封じてそれに協力する。それが全てとまではいわないが、そうした労使の保守的スタンスこそが日本に「失われた30年」をもたらした大きな要因の一つだというのが筆者のスタンスだ。」

(補足)

(第三次産業の内、サービス業や流通業の人達の賃金が安く抑えられていたのは、それでも人を集めることができたから。(謂わば日本人の真面目さや勤勉さに乗じてきた。)
しかし少子高齢化や出稼ぎ減などの労働力の減少により、これら業態の企業も従業員の勤務形態の改善や賃上げに踏み切らざるを得なくなったが、賃金は他業種とはまだかなりの差がある。賃金が低いということは労働集約型産業の宿命かも知れないが、最低賃金が相変わらず先進国内では最低と言うことは、これを決める政府の姿勢に問題があると言える。)

(第二次産業の製造業の内、消費者に近い商品を生産している企業は、賃金を上げたらそれを商品価格に反映せざるを得ず、そうしたら消費者がついてこなくなるという。
しかしエネルギー価格の上昇や円安による原材料の仕入れコストの上昇により、これら企業もついに商品価格の値上げをせざるを得なくなった。確かに消費者の購買意欲はやや低下しているが、良いものであれば少しぐらい高くても買うという消費者の声もある。従って企業努力により従業員の賃金を上げることもそんなに難しいことではないだろう。)

(第二次産業の製造業や建設業でも、消費者にさほど近くない商品を生産している中小企業は、従業員の賃金を上げるだけの余裕がないという。確かに下請け企業だと、元請け企業の値下げ圧力により利益はほとんど出なくなっているのだろう。)
この値下げ圧力を回避し利益を確保するには価格競争力をつけることが必要。そのためには製造技術を向上させる必要がある。これには製造コストを下げる方法と、より良い製品を作るという2つの道がある。それでも現在の元請けが納得しなければ、別の販路を見つけることで、これには中間を排して自身で直接需要先に売るという方法も含まれる。
(価格競争力をつけるということは、他業種・企業でも共通して言えることだが。)

 

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