私たち家族は新しい賃貸住宅で三人の生活をスタートさせた。
共働きだったため私は又保育所に預けられた。もう泣かなかった。
いとこ家族との交流も盛んだった。
ふたつ下の男のコだった。
その家族はおじいちゃんおばあちゃん、
いとこ姉弟、いとこの両親、おかあさん
の双子の妹、の大所帯だった。
私だけ預けられ翌日父とおかあさんが迎えに来る。
その家にお泊りするのが楽しみだった。
何度目かのお泊りの日、いつもの様にベッドに入ってからも、いとこの女のコと一緒にクスクス笑い、いつまでもお喋りをしていた。
いとこの母親が注意をしに来た。それでもお喋りは終わらなかった。
何度か注意を受けた後、
いとこの母親が私にだけ向って
「いい加減にし、おかあさんに言うよ」
ときつい声で叱った。
私は突然口と鼻を同時に塞がれたような息苦しさに襲われた。
翌日父とおかあさんが私を迎えに来た。
よく覚えている、雨だった。。
傘をさして歩きながら、ポケットからハンカチか何かを出そうとした。
小さな小さなスプーンがポケットから落ちた。
ポケットにはスプーンだけでは無くお皿やコップ、靴まで入っていた。
間違えて入ったはずが無いリカちゃん人形の小物たち。
おかあさんはどうしたの?と優しく聞いた。
なんて答えたかなんて覚えていない。
次に浮かぶのは
大声で怒鳴るおかあさんと横で立ち尽くす父。
大声を聞いて家から飛び出してきた、いとこ一家。
いとこの母親がおかあさんをなだめていた。
それ以上何も思い出せない。
そんな事があっても、家族は壊れなかった。
でも優しかったおかあさんが少しずつ怖くなっていった気がした。
6歳になってタウンハウスと呼ばれる横が隣と引っ付いた一軒家に引っ越した。
又その近くの保育所に預けられた。おかあさんにママ友が出来た。
幸せがたくさん溢れていた。