DREAM/ING 111

私の中の「ま、いいか」なブラック&ホワイトホール

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年/読書メモ

2013-05-09 | 
※あくまで一個人の読書メモです。
今後も追記・削除を含む変更あります。

感想はこちらからどうぞ。↓
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年/感想

以下、文章抜粋あり。
内容に関わりますので未読の方はご注意ください。





読み出して数日、かつて「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」を
半日で読み終わった自分はもういないんだな、と気づくところからスタート。

なかなか集中できなくなっている自分が面倒。
これって年齢なのかな?とも思うし、強烈なドーパミン体験をイタプロでしてしまっているその反動もあるだろうし・・・でも、なによりも「対村上春樹バリア」のようなものが自分の中に確実にできてしまっている。

村上作品のいくつか(「ねじまき鳥クロニクル」「神の子どもたちはみな踊る」あたり)には、ひどい傷をおわされた(その傷自体が、私にとっての春樹価値を高めてしまうというアンビバレントな状況をちょっと面白く感じつつ)その強烈なマイナス記憶のせいで、どうも脳にダイレクトに情報がいかないように大量のチャフがばらまかれてる感じ。

で、今回も本の中でBGM的音源が書かれていて。
つべでチェックして、「ふうむ・・・」と思いつつ。
・・・どうも授業のように誘導されてしまうのが面白くない(笑)。
本を読むときくらい、自分の好きな環境でいたい。

で、PCにはいっている音源をランダムに流してたら、
「あ、これがあった!!!」(お師匠様、多謝です)、即CDをセット。
やっと物語世界に入ることができました。

というわけで超個人的読書足跡。

1日目:

メモを取りながら

やたら目に付く直喩に立ち止まりつつ。かえって混乱させられつつ。

「鋭く切り立った尾根が前後の植物相を一変させるように」(P29)
「まるで遠い辺境の地に出征する兵士を見送るみたいに」(P31)
「物理的に理屈の通らない風景を見るみたいに」(P35)←この表現は素敵
「誰かの運勢を見るみたいに」(P38)

「身体の組成が入れ替わっていくような不思議な感覚」(P40)


これはわかるなぁ。実際入れ替わってるのかも。
生命ホルモンとホメオスタシスの葛藤というか。

2日目:
木元沙羅さん。相変わらず春樹氏の描くヒロインは理性的。
そして色をもたない人間がまた1人。

灰田くん登場。相変わらず春樹氏の描く男友達は魅力的。
つねに主人公を補完する関係。

3日目:
BGMと珈琲の香りの中、超透明な音源(春樹氏推奨音源ではありません)のおかげで
ジャミングがなくなって頭がすっきりと物語を吸収しはじめています。

ここからは章だてメモ(※章タイトルはブログ管理人)

7.淫夢
今回はないなー、・・・と思ってましたが、
(またもや)夢の中ですか。うーん、春樹氏のヰタ・セクスアリス欲求は根強い。

彼のなんというか、独特のにおい(青年臭とでもいえばいいのでしょうか?少年期からの永遠の過渡期のようなとどまり感・・・カフカ君でもしんどかったんですが)のある性欲バナシは、あまり得意ではないのだが、これがないと村上春樹物語にならない、というのもあるのかも。なので、BGMの力をかりて読み下す。

8.灰田の退出
再登場を待つことに。

9.優秀な探偵力の沙羅さん
「私たちは基本的に無関心の時代に生きていながら、これほど大量の、よその人についての情報に囲まれている。その気になれば。それらの情報を簡単に取り込むことができる。それでいてなお、私たちは人々について本当にはほとんど何も知らない」(P136)


「しかしそれが基本的に、都合の良い思考システムの催眠的注入であることに変りはない。」P143
このあたりは宗教も同じですね。
アフター「アンダーグラウンド」の価値観が血肉化した春樹哲学。

10アオとの再会
最初のカタルシスと口の中がちょっと苦くなるドラマ。
・・・過剰なレクサス賛歌には意味があるのだろうか?
売上があがるのだろうか?

からっぽ=無色についての“省察”。

「産業の洗練化」P176

11.アカとの再会

「金のかかった匿名性」P181

「『『私は自分の頭でものを考えている』と思ってくれるワークフォースを育成する」P188
「反社会的な人間=建設的な姿勢をとるものは何によらず、頭から受け付けない」同
「もう1つは本当に自分の頭でものを考えられる人間」同
「全体のおおよそ85%」同

パレードの法則の逆利用。理にかなってますな。

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現時点での感想:
物語よりも、重箱にきちんと納められた言葉の質感と配置を楽しんでいる感じ。

きちんと発音された言葉のように、意味を届かせる作業という印象。

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12.六本指と優勢遺伝についての省察と沙羅とのデート

「サークルの完璧性の中の閉じこめられていた」P219

「私たちはあるいはおしゃべりかもしれない。でもある種の秘密は堅く守られる。とりわけ男の人たちに対しては」P221

春樹氏の描く女性のモナリザ的微笑のような空気感は、こうした女性崇拝のような視点から生まれてくるのだろうか。そしてハルキニストな女性達がモナリザ化していくのかも。世の中のモナリザ率が増えると、ちょっと楽しい?

おいしいレモンスフレについて♪

13.足の裏とフォースとともに進むフィンランドの旅計画

「人は日々移動を続け、日々その立つ位置を変えている」P233

「シベリウス、アキ・カウリスマキの映画、マリメッコ、ノキア、ムーミン」P215


沙羅と中年男性の関係は?

14.素敵なオルガ

15.素敵なエリの夫


オルガとエリの旦那様は、この本の中で一番好きな2人かも。
フィンランド人、素敵!と思わず思ってしまった(単純ゆえ;)。

エリ夫妻の陶器、見てみたい。ここの描写は好きだなぁ。。。
誠実な人の誠実さが伝わる描写。

16.クロ(エリ)との再会

エリの告白はすごくナチュラル。だが、多分こういう女性は実在しない。
なので、とっても男性的に見える。

17.クロ(エリ)との語らい

人に関わることの相互侵食。
支えるためには自分自身の足腰がしっかりしていなければならない。
相手に同調・共感はしても共依存してはならない。

「悪いこびとたちにつかまらないように」P326

18.沙羅との再会・前

19.自身との再会


後半はさくさく読めてしまって、メモをとるヒマというか必然がなかった。

19章の入り方は、古いようで新しいようで、面白いな、と思いましたが、
あくまで春樹的にて。

というわけで、重複しますが感想は別途。
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