なぜなら、“働く主婦”は忙しいので、観たいテレビ番組は全て録画。CMを飛ばして、本編しか観ないので、ほぼCMを見る事がないのだ。
そんな事情をCM各社も把握しているのだろう。苦肉の策として、ドラマがそのまま続いているかの様な紛らわしいCMや、ドラマに出演している俳優が出るCMをそのドラマの合間に流すなど、何とかCMを飛ばされないようあの手この手で苦慮しているようだ。
私も忙しい“働く主婦”の一人なのだが、結構CM好き。録画のCM部分を通常は飛ばすが、ドラマ仕立てのCMシリーズの新しいバージョンを見つけると、ついつい戻してCMを観てしまう。面白いCMは大歓迎。
最近のお気に入りは、人気の若手男優陣が宇宙人のふん装で出演しているゲームの宣伝。
クールな志尊淳とお笑いトリオのような矢本悠馬、染谷将太、満島真之介。みんな芝居が上手い上に、独特の雰囲気をそれぞれ持っている。
「ジュジュツパイセン」「言えてねー」と変顔で崩折れる、このCM。
見た目が、カラフルで独創的。
見た途端、思わず吹いてしまいそうなほど逆立った、満島真之介の鮮やかで見事な水色のヘアー。皆の顔の表情も可笑しくて、好きだなー。何回見ても笑える。
雰囲気が好きなのは、リリー・フランキーと深津絵里が夫婦の設定のハウスメーカー「大○ハウス」のCM。
夫婦が過ごす、それぞれの一日の様々なシーンに、独白の様な夫婦の会話がゆったり流れ、噛み合っていく。ドラマチックでいい感じの夫婦感。リリーさんの声にゆったりと癒やされる。
CMをショートフィルムの様に楽しんでしまう。
中には、ちょっと物申したいCMもある。
自動車「ダイ○ツ タ○ト」のCMに、大泉洋が出演しているのだが、「建築家 大泉洋」と表示されている。これにはちょっと違和感を覚えた。
北海道のスーパースター大泉洋は、大方の人が、俳優であることを知っている。だけど知らない人は、「建築家大泉洋」と誤認してしまうのでは無いかと心配だ。
「大泉洋?ああ、あの建築家の?」なんて言葉が返ってきた日にゃ、世も末だ。
もう一つ、長澤まさみのア○ヒ飲料「カル○ス」のコマーシャル。
これは、私の好きなCMでもあるのだけど、問題点は次のシーン。
小さな女の子が、すでに出来上がっているカル○スのコップに、さらに瓶から原液を注ごうとすると、
お兄ちゃんが「ママに怒られるよ」
妹「いいの!もっと濃い方がいいの!」
としかめっ面で口をとがらせて言うシーン。
女の子には「長澤まさみ(5才)」の表示がされている。
これにはすっかり騙されてしまった。
長澤まさみが5歳の時に収録した、過去のCMを合体させて作った物とばかり思っていた。
「ちっちゃい頃の長澤まさみ可愛いよね」と何気なく息子に話して笑われた。
子供時代の“長澤まさみ”を演じているのは、本間さえちゃんという子役であると、聞いた私は思わず
「えーっ、ホンマ?」
息子「ウソちゃうでー」
さらに、長澤まさみのデビューは5歳よりずっと後だった。
調べてみると、長澤まさみは東宝の「シンデレラ」オーデイションに応募して、史上最年少の12歳でグランプリを獲得し、芸能界にデビューしたとあった。
そうだったのかー。紛らわしいなー。
でも、「長澤まさみ(5才)」の表示があったら、皆、私の様に誤解するのでは無いだろうか。
熱演した本間さえちゃんも可愛そうだ。
これも、「建築家大泉洋」同様、文字の表示は蛇足である。
視聴者はテレビで流れるCMの商品の説明と内容を鵜呑みにしがちだ。商品“本体”じゃ無い部分の事だけれど、人々に誤解を招く表現は、なるべく避けて欲しいものだ。
息子が指摘してくれ無ければ、死ぬまで勘違いしたままだった。まあ、それがどうしたという話ではあるが、何でもキチンと真実を知りたいタイプの人間なもので…。
わずか1〜2分という短い時間の中に、ギュッと凝縮された情報がつまったCM。楽しかったり、美しかったり、感動したり…。時代の鏡でもあり情報源でもあるCMを、これからも楽しみながら見続けて行くことだろう。
誤解の生じない、正しい情報内容であって欲しい。