娘によると、東武動物公園の入園料は1900円(シニア1200円)。娘の家からの所要時間は片道1時間30分かかるという。
先ず、入園料の高さ。園内の乗り物の代金も含まれているのかと思いきや、乗り物代金はまた別だという。
ホワイトタイガーの赤ちゃんが、現在の呼び物だが、どうしても見たい、というものでも無し。
札幌の円山動物園の入園料は大人800円だ。それと比べると、かなり高い。調べてみると、東武動物公園は公営ではなく民営の施設だった。なるほど。
入園料の高さと往復3時間を考えると、行きたい気持ちがシュルシュルと縮んでしまった。代わりに行きたい別の場所を考えた。私の好きな場所と言えば…博物館!
「博物館に行きたい」と娘に言うと、上野の国立科学博物館が近いという。結局そちらへ行く事にしたのだった。
国立科学博物館は、想像以上に展示の規模が大きかった。
入場料は小中高生と65歳以上が無料。該当者の私はタダ!ありがたや。
日本館と地球館の2つの建物からなる博物館は、じっくり見て回ると1日では到底見て回る事が出来ない。北海道に住む私がまた来ることがあるかどうか…。そんなわけで、今回は説明文を読むのもそこそこに、とにかく展示物を見て回る。
博物館に一歩踏み込むと、「やっぱり東京だなー」というのが私の正直な感想。これ程までに大きな博物館は北海道には無い。
東京は、膨大な「知」が集められている場所なのだとつくづく実感した。
私が感じた印象的な部分のみをご紹介したいと思う。
スタートは日本館から。日本館は北翼と南翼がある。
北翼2階の「日本人と自然」のコーナーに忠犬ハチ公がいた。
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私の知っているハチ公の左耳は、立っていなかったのじゃなかったかしら?渋谷の銅像のハチ公も、以前に写真で見た生前のハチ公も左耳はペタンと折れている。剥製は、随分キリリとしたイメージに変わっていた。
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私のよく知るハチ公のイメージはこれ。
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忠犬ハチ公の上には、南極物語でよく知られるカラフト犬のジロ。初めて見たが、毛並みも良く、大変美しく仕上がったはく製だ。
兄弟犬のタロは、札幌にある北大植物園の中にある博物館の中にいる。
展示物の中で、近代から過去へさかのぼり、当時の人々の生活の様子を人形模型を使用して再現したものが楽しかった。特に古代人の生活の再現が興味深く、人々の楽しげな会話が聞こえてきそうなほど表情も生き生きとしている。
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縄文人
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弥生人
私が最も驚いたのは、「ほんの少し前の祖先」として、江戸時代の女性のミイラが展示されていた事だ。
壺の形のお棺に納められた若い女性(らしい)。日本髪を結っているのもはっきり見られ、ちょっと痛々しい感じがした。
撮影は彼女の尊厳を重んじて禁止されているのだが、禁を犯す方はいるようで、ネットで画像検索すると幾つか出てくる。
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こんな感じで展示用のガラスケースに収められている。
日本館の展示物はまだまだワンサカあるのだが、写真を撮ればきりがないと割り切り見る事に徹した。
日本全国に生息する動物たちの標本もたくさんあった。特にイノシシの標本は初めて見たので、感動した。大変大きく立派な個体で、ジブリの「もののけ姫」の乙事主(オッコトヌシ)を思い出した。
日本館を後にして、地球館へと急ぐ。
人類の進化を追って並べられたシャレコウベ。
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頻繁に出てくる動物の標本はどれも見事だったのだが、とにかく圧巻だったのは、地球館3階の「大地を駆ける生命」に展示されている圧倒的な数のはく製、「ヨシモトコレクション」だ。思わず「うわ~、すごい!」と自然と声が漏れる。
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ヨシモトコレクションとは、日系二世のワトソン・T・ヨシモト氏が収集したはく製で、寄贈された数は400点を超えるという。展示されているのはその一部だ。
どのはく製も大変美しい仕上がりで、生きているようだ。
また、ヨシモト氏の経歴も大変興味深く、貧しい生活から建設会社で成功した人物だと言う。22歳からハンターとなり、1995年までに42カ国、156回のハンティングを行い、これらのはく製のほとんどが、ヨシモト氏の狩猟による物らしい。几帳面だった氏は、ハンティングや旅の行程を記録して保存していたそうだ。ダイナミックにして繊細なその人物像にも大いに興味が湧いた。
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そのコレクションの中に絶滅したフクロオオカミを発見。
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フクロオオカミの上はこれまた絶滅したニホンオオカミ。
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ニホンオオカミ(左)とフクロオオカミのツーショット。どちらも中々見られない貴重なはく製だ。
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鳥類のはく製も絢爛豪華。
この日は動物園に行く予定から、博物館に変更したが、結果的に動物園より大量の動物を見る事になった。動かないけど…。
地球館地下1階「地球環境の変化と生物の進化-恐竜の謎を探る-」では、恐竜の骨格標本もダイナミックな展示で、ワクワクした。こんなにたくさんの標本に囲まれる機会は、そう無いことだ。
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すごい。
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すごい。
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一体何回すごいを繰り返した事だろう。
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マンモスの骨を利用した住居。こんな住居に住んでいたなんて!ビックリ。
この住居の遺跡は、ウクライナを中心に数多く見つかったそうだ。
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別料金のかかる特別展示室は除き、ほぼ9割方見るだけは見た。地球館地下3階の「自然のしくみを探る」だけは、はしょってしまった。
外へ出ると日が傾いていた。
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いつまでも、ずーっと見ていたい、面白いものばかりだった。上野に住んでいる子供達やお年寄りが羨ましく感じられた。
端から端まで、随分と歩いたものだ。一万歩は歩いたんじゃないだろうか。
この後、娘とレトロな椿屋珈琲店でお茶をしてから帰宅したのだった。
娘と過ごした楽しい1日だった。