旧統一教会問題、ニューヨークのアメリカ人が「まだ信じてるの?」と驚愕した根本的理由
>1つは日本が途上国の村長選挙のような選挙運動(候補者の名前を覚えてもらうことに全力を注ぐ運動)を続けている日本の実態をアメリカ人が知らないこと。日本で旧統一教会の信者が“選挙ボランティア”で行っていた街宣車(選挙カー)からの拡声器による連呼、電話作戦、ポスター貼りなど、「候補者の名前さえ覚えてもらえればいい」とするような選挙運動はアメリカにはない。むしろ、そんな運動で候補者の名前だけを覚え、投票される政治のほうが恐ろしいからだ。
>もう1つは、霊感(霊魂)をアメリカ人は信じていないので、先祖や故人の霊魂を沈めるための「霊感商法」といわれても理解が難しいことにある。例えば、あるアメリカ人が、親しい人が殺されたり不慮の事故で亡くなったりして、深く気分が沈んでいたとしよう。そこへ「これを買わなければその人の霊が浮かばれない」となにかを買わせようとしても、そのアメリカ人は「は?」となる。霊や魂を信じていないからだ。ある意味で旧統一教会は、日本人の脆弱性を突いてきている。
>国や政府に勘違いしてもらっても困る。国民が怒っているのは「旧統一教会による被害者たちへの『被害金の返還』に国が支援や協力しなかった」ことではない。与党である自民党の政治家たちと旧統一教会との関係がズブズブで、被害者や被害者家族の救済ができなかったことに怒っているのだ。間違っても問題を「宗教団体からの『被害金』の救済」という風にすり替えないでもらいたい。
>政治と旧統一教会の関係を断ち切らなければならない。8月に韓国で行われた旧統一教会の式典には、トランプ前大統領、ギングリッチ元下院議長、ポンペオ前国務長官らが出席した。すべて共和党でアメリカでは保守政党。1990年代半ばにジョージ・ブッシュ元大統領(共和党)が、日本で旧統一教会の集会で講演をしたが批判され、のちに約8万ドル(約1千万円)を慈善団体に寄付(返還)したことから、旧統一教会からの講演会料が逆算された(ワシントンポスト)。2006年には旧統一教会系のメディアである“ワシントンタイムズ”からジョージブッシュ大統領図書館に100万ドル(約1億3千万円)の寄付もされており、旧統一教会と保守政党である共和党との関係は長い。
>旧統一教会は、世界中の保守政党や保守政治家との親和性が高いこともわかっている。日本でも「LGBT理解増進法案」や同性婚、夫婦別姓に反対の自民党と、旧統一教会との繋がりが明らかになった。旧統一教会は、フリーダムオブマインド・レスキューセンターのリストによると、現在50カ国以上にフロント企業や団体を持っている。そして保守派の政治家に食い込んでいくことが常套手段なのだ。旧統一教会が世界進出を果たすと、信者は無報酬で働くことをいとわず、報酬があっても旧統一教会に献金してしまう。その構造自体が被害を生んでいる。
>もう途上国の村長選挙のような選挙運動(候補者の名前を覚えてもらうことに全力を注ぐ運動)はやめたらどうなのか。現状のままだと「第2の旧統一教会」がまた選挙運動に入り込む余地がある。日本の選挙運動は、成熟した民主主義国家の選挙でもない。