情熱から意見が生じる、そして主義主張というものを生み出す。
この主義主張を認めてもらうためには、これにいつまでもこだわって持ち続ける必要がある。
このことが、意見や主義主張を凝り固まらせて信念というものに変化させてしまう。
すなわち、精神の怠惰がこれを信念に硬化させるという事である。
自由な絶えず生き生きとした精神を自らに感じているものは、不断の変転によってこの効果を防ぐことが出来る。
その信念というものは認識のある一点で絶対的真理を所有しているという信仰である。
ところが人々は信念があるというのは、なんとなく人間が偉くなったような、高尚になったように感じているようだが、
その人はかっての自分の旧態な意見を頑なにに持ち続けていたというに過ぎない。
言い換えるとその人の精神の活動が、その時点で止まってしまったという事なのである。
つまり、精神の怠惰が信念を生み出したという事である。
いかに素晴らしい意見や主張であっても、日進月歩、新陳代謝を繰り返して、
時代の変化に対応させる必要がある。
そうでなければ、当時としては斬新な素晴らしい意見主張であっても、
時代とともに古びた頑固なカビの生えた信念とみなされるようになる。
時代の変化や要求に応じてその主義主張は作り直されて行かなければならない。
これらは、ニーチェが著書人間的に、あまりに人間的の中で、信念についてところどころで述べている。
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