鳥取連続不審死の上田死刑囚が死亡、
食べ物詰まらせたか 広島拘置所
鳥取県で2009年に起きた連続不審死事件で、男性2人に対する強盗殺人などの罪で死刑が確定した元スナック従業員・上田(うえた)美由紀死刑囚(49)が14日、収容先の広島拘置所で死亡した。法務省が15日に発表した。食べ物を詰まらせたことによる窒息死とみられるという。
法務省や広島拘置所によると、上田死刑囚は14日午後4時20分ごろ、自室で夕食中にむせて倒れた。音に気づいた職員がすぐに駆けつけ、口の中の食べ物を取り除くなどしたが、意識を失っていた。約15分後に到着した救急車で外部の病院に搬送され、同日午後6時57分に死亡が確認された。死因は窒息だった。 上田死刑囚は今月10日にも昼食中に意識を失って救急搬送されたが、検査で明らかな異常はなく、拘置所に戻った。職員らはその後、注意して様子を見ていたが、自ら購入したピーナツやキャラメルといった硬い物も食べており、「咀嚼(そしゃく)できる状態」と判断して食事の内容は変更しなかったという。 広島拘置所は「対応に問題はなかったが、亡くなったのは残念。今後も最善の策をとっていきたい」としている。
(2022.1.15.朝日新聞社)
拘置所で喉を詰まらせ窒息…
男性6人不審死・上田美由紀死刑囚「被害者に送ったラブレター」と妖艶手口
日本を震撼させた男性6人の不審死事件。
その加害者で死刑囚である上田美由紀(49)が、
収容先の広島拘置所で亡くなった。
食べ物を喉に詰まらせての窒息死だという。
1月14日夕方4時過ぎ、夕食中に倒れてスグに職員が喉から食べ物を取り出すも意識不明の状態に。病院に運ばれたが、約2時間後に死亡が確認される。
上田死刑囚は、借金の返済から逃れるため睡眠薬を飲ませたうえ海や川で溺死させたなどとして、強盗殺人の罪などに問われ17年8月に死刑が確定していた。犯行におよんだ当時、鳥取市内でホステスをしていた上田死刑囚。ノンフィクションライター・小野一光氏の取材により、20年2月25日に配信した記事から事件の詳細を振り返りたい(内容は一部修正しています)。 詐欺容疑で逮捕された女がいて、彼女の周囲で男性が次々と”不審死”している――。 そんな情報がもたらされたのは、09年11月初旬のこと。11月2日に逮捕された女は、鳥取県鳥取市に住む上田美由紀(逮捕時35)。美由紀が過去に2度の結婚を経て、3女2男の計5人の子供たちと住むという同市内のアパートを訪れた私は、まずその尋常ではない”ゴミ屋敷”ぶりに言葉を失った。
続いて、09年4月に美由紀の元交際相手だったトラック運転手のEさん(死亡時47)が、鳥取県北栄町の沖合で水死体となって発見されている。そしてすでに記した09年10月7日のAさんの遺体発見に続き、20日後の10月27日には美由紀の隣のアパートに住む知人のFさん(死亡時58)が死亡している。ひとり暮らしのFさんは、同年9月に美由紀から借りた車を運転して追突事故を起こすのだが、その頃から急激に体調を悪化させ、美由紀が自宅に食事を運ぶようになっていた。 このFさん、さらにAさんとEさんの体内からは同じ睡眠導入剤の成分が検出されている。Fさんをよく知る人物は、私の取材に次のように話す。 「Fさんが体調を崩したのは事故の前後。それまでは普通に散歩に出ていたのに、『たまに頭がボーッとするんだわぁ』と言うようになりました。事故のときも『頭がボーッとなったけぇ』と説明しています。この事故で相手の車の修理代金や治療費などを美由紀夫婦(内縁の夫)が肩代わりし、Fさんは生活保護で受け取ったおカネから彼らに毎月支払うことになっていました。 9月末にはFさんは6万円を彼らに支払っています。亡くなる日の前日、Fさんはすでに半分昏睡状態で、部屋のドアは開けっ放しでした。私が午後8時半ごろにFさんの部屋を覗いたら、美由紀夫婦が部屋にいて、笑いながらふたりでなにか話をしていました。そのため部屋には入らず、Fさんの様子も見ていません」 美由紀と付き合いのある同じアパートの住人は明かす。 「美由紀は薬のことを『眠剤(ミンザイ)』と呼んでいて、隣人のオバサンが美由紀に『眠剤を貰った』と話してました。どうも大量に貰っていたようで、私がいる前でそのオバサンが『飲んでいい?』と美由紀に聞くと、彼女はきつい口調で『そんなこと、いちいち言うもんじゃないやろう』と注意してました。私自身も美由紀に眠剤を『やろうか?』と言われたことがあります」 結果として、美由紀が逮捕・起訴に持ち込まれたのは、AさんとEさんについての2件の強盗殺人と、その他15件の詐欺、さらに1件の住居侵入窃盗である。彼女には’12年12月に鳥取地裁で死刑判決が言い渡され、その後、17年7月に最高裁が上告を棄却したことで、死刑が確定した。 この事件について、なぜ美由紀にかくも多くの男性が惹かれ、欺かれてきたのかとの疑問が残る。美由紀の元交際相手の男性(当時66)から、彼女の手練手管について話を聞くことができた。少々長いが掲載する。 「美由紀とは05年の秋に、向こうの勤めていたスナックで出会ったんやけど、最初の頃から積極的やったね。俺が肩がこると言ったら、塗り薬を持ってきたから『うちの車に乗って』と言われ、いきなりラブホテルに連れて行かれたんや。それで『ここで塗るから脱いで』と。女にホテルに連れ込まれたのは初めてやったね。 それから付き合いが始まったんやけど、1ヵ月もしないうちにカネの無心が始まった。美由紀がずるいのは、子供をダシにすること。向こうの長男が一緒におるときに、あいつは長男に俺のことを『お父さん』と呼ばせるのよ。それで、子供の口から『お父さん、一緒に暮らそう』と言ってくるわけ。そら、その気になってしまうやろ。一緒になるんやったら、いろいろしてやらなあかんと思って、カネを都合するようになったんよ。 で、それからは、新居を借りるための費用とか、美由紀が心臓と腎臓が悪いからその入院費を出してくれ、というような感じで、どんどんおカネを無心してきたね。たとえばある月なんかは、一緒に住む家を借りたからと言って、そこの水道工事費に15万円、それから畳を替えるのに8万円、そんなこんなが積み重なって、月に80万円近く出したこともあった。これまでに現金で300万円くらい、指輪とかの貴金属は150万円分くらい渡したと思う。前はダンプの運転手をやっていて稼ぎも良かったけど、仕事を辞めた後やからね。貯金とかはなくなって、借金しか残ってない。
あいつは新居を借りたと言ったのに見せようとはしなかったね。さらには預けてた指輪を返してくれと言ったら『お母さんに渡した』とごまかす。もう、とにかく嘘ばっかりなんよ。あるときなんて、『子供ができた』と言ってきたこともあったよ。まあ途中で『忘れてくれ』と向こうが折れてきたけどな」 この男性は美由紀が内縁の夫と暮らしていることを知り、彼女と距離を置くようになったという。もしそうでなかったら、どのような運命を辿っていたかは定かではない。
(2022.1.15.FRIDAYデジタル)
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