すそ洗い 

R60
2006年5月からの記録
ナニをしているのかよくワカラナイ

松本大洋『Sunny』

2023年03月01日 | 書籍
『Sunny』

 山下 静 (やました せい)
横浜から転校してきて星の子学園に預けられた小学生男子。いつも「W」のマークの付いた濃紺の大洋ホエールズの野球帽をかぶり、黒縁のメガネを着けている。成績は優秀で愛読書は図鑑という真面目な少年。父親は自動車修理工。横浜では父母とともに団地で暮らしていたが、星の子学園に預けられてからも方言を使わずに通している。 星の子学園に預けられて時間が経つにつれ、親からの手紙が途絶えがちになっていることを気に病んでいる。

 矢野 春男 (やの はるお)
星の子学園に預けられている小学生男子。近所の店で万引きを繰り返したり、同級生たちとケンカするなど問題児として知られている。小学生ながら白髪の持ち主で、同年代の子供たちからは「ホワイト」というあだ名で呼ばれている。元は東京に住んでいた。星の子学園に預けられた当初は髪が黒く、大人しい少年だったが、親に会えない日々が続く中でしだいに乱暴者となっていく。 母親は東京の新宿近くのマンションに住んでいるが、会えるのは年に3回程度。子供との接し方が分からない母は、矢野春男に、自分のことを「お母さん」と呼ばず「杏子さん」と呼ぶようにいいつけた。父親は星の子学園では「森さん」と呼ばれており、木更津に住んでいる。 東京からヒッチハイクで星の子学園を訪れるなど貧乏で、ピンク色のズボンを履いて徘徊するなど放浪癖のある自由人。母親に買ってもらったニベアを常時携帯し、母との思い出に浸るためにときどき匂いをかいでいる。めぐむに好意を抱いている。
 
純助 (じゅんすけ)
星の子学園で生活する小学生男子。母親が病気で長期入院しているため、幼児である弟の笑介(しょうすけ)と共に星の子学園に預けられた。頭髪は天然パーマ。他人のものにすぐ手を出す盗癖がある。ピカピカしたものを好み、同級生の持ち物であるはし箱を盗むなど、他愛のない盗みを繰り返している。病気の母親の病院へ定期的に見舞いに行っており、面会までの待ち時間をデパートで過ごすのを好む。 面会時に母親に爪を切ってもらって甘えたいという理由から、自分で爪を切らないようにしているため、常時爪が長い。弟の笑介は、母親の病気快癒を願っていつも四つ葉のクローバーを探している。
 
伊東 研二 (いとう けんじ)
星の子学園で暮らす中学2年生男子。姉の伊東朝子も星の子学園に預けられている。新聞配達のバイトをする勤労少年。中学生ながら喫煙の習慣があり、星の子学園の敷地内に打ち捨てられた車「サニー1200」内にエロ本を多数隠していることから「エロけん」のあだなで呼ばれることも。父親は近所に住んでいるが、定職を持たず酒浸りとなっている。 母親は研二や朝子の父を見捨て、現在は名古屋で別の男と暮らしている。星の子学園から家出して名古屋にいる母親のもとへ行こうとしたことがあったが、母が喜ばないであろうことを察して思いとどまる。中学卒業後は働きに出ようと考えていたが、家出未遂をきっかけに高校進学を志すようになる。
 
伊東 朝子 (いとう あさこ)
星の子学園で暮らす女学生。伊東研二の姉。星の子学園では年長で、みんなの食事作りの手伝いをするなど、他の子供たちの面倒を見ている。名古屋から近所に来ていた母の姿を目撃し、父親とヨリを戻すもりであると勘違いするが、母は離婚の交渉のために父を訪問していたことを知り傷つく。
 たろう
星の子学園に預けられている年齢不詳の男子。巨大な体躯の持ち主で常に半裸で暮らしている。頭髪がない丸坊主だが、近くで見ると細かなぶしょうひげも生やしている。普段は「おーん」などといった意味不明のうなり声をあげるのみだが、ときどき意味の分かる単語をつぶやくこともある。純助の弟である笑介と仲が良く、一緒に四つ葉のクローバーを探すなど行動を共にすることが多い。 笑介が迷子になったときは彼の行き先を察して見つけ出した。
 
めぐむ
星の子学園で生活する小学生女子。両親が他界したため星の子学園に預けられた。きい子とは小学校で同じクラスで仲が良い。彼女に好意を抱く矢野春男に意地悪されているが、彼女自身は伊東研二に好意を抱いている。函館在住の親戚の山村夫妻が彼女を引き取ろうとするが、父母との想いが詰まった町を離れがたく、星の子学園に残ることを決意した。
 きい子 (きいこ)
星の子学園で生活する小学生女子。母親は四日市市在住でスナックにつとめている。めぐむと仲が良い。明朗快活な性格の持ち主だが、自宅から学校に通っている子供(家の子)が星の子学園の子供を憐れんでいるというコンプレックスを持っている。クラスで注目を集めようとして、誘拐犯にさらわれそうになったと嘘をつき、クラスメイトから孤立しそうになるがめぐむが彼女をかばったことで救われる。 矢野春男に好意を持っており、星の子学園敷地内に打ち捨てられた車・サニー1200の中で告白した。母親が再婚し、いっとき星の子学園を出て母のもとへと戻ったが、新しい父親に問題がありまた星の子学園に預けられることとなった。
 
高原 くみ (たかはら くみ)
山下静と学校で同じクラスに所属する小学生少女。メガネをかけている真面目な女子で、「ガリくみ」のあだ名で呼ばれている。山下静に好意を抱いており、「いつも図鑑を読んでる人が好き」と暗に山下静を指す発言をして、事実上の告白をした。山下静が星の子学園の飼い犬・くりまるを散歩させるさいによく会っていたことから親しくなった。 くみの家族は妹ばかりかわいがり、くみを相手にしないこともあり、山下静への告白後は星の子学園にちょくちょく遊びに来るようになっている。
 
園長先生 (えんちょうせんせい)
星の子学園の設立者である老年男性。現在は老齢で白内障を患っており、星の子学園の子供の相手はすべて足立稔らに任せている。武雄という名の息子がおり、牧男は孫に当たる。毎年星の子学園の卒業生たちに年賀状を送り続けるなど、星の子学園の子供たちのことを常に気にかけている。かつて星の子学園で暮らしていた乱暴者の西田が暴れたさいに、振り回した包丁で左手の薬指を失っている。 なおその事件の後も彼を見捨てなかった園長のおかげで西田は更正した。

 足立 稔 (あだち みのる)
星の子学園の子供たちの面倒を見ている男性。いつも薄い色のサングラスを着用しており、外見は強面だが情に篤く常に子供たちのことを気にしている。星の子学園の子供たちが通う小学校の授業参観日には、子供たちの所属する学級に関係者が誰もいない時間を作らないように奔走するなど、細やかな気配りを見せた。 矢野春男らも彼に対しては表向きは反発しつつも、厚い信頼を寄せている。

 牧男 (まきお)
星の子学園の園長先生の孫で肩まで届く長髪の持ち主。時折星の子学園を訪れては、キャッチボールや相撲の相手をするなどして、子供たちから慕われている。とくに矢野春男は彼になついており、牧男もまた親に会えない寂しさを抱えながら強く生きている春男を認めている。大学は休学状態で、飲食店でアルバイトをし、時折人混みを離れ一人になるため登山に出かけている。 ミニコミ誌の編集者である七子という恋人がいる。
 春菜先輩 (はるなせんぱい)
伊藤研二が通う中学校の先輩。2回留年した不良少女で、クラスメイトからも遠巻きに見られている。星の子学園の子供ながら新聞配達に精を出す真面目な伊東研二に好感を持っている。一度は不良グループの上級生らに伊東研二を紹介するが、真面目な研二が不良に染まるのは止めようとする。校則違反や不登校を繰り返す不良扱いされているが、近所の寺の境内で野良猫にエサをやるなど、優しい心の持ち主でもある。


場所

 星の子学園 (ほしのこがくえん)
『Sunny』に登場する児童養護施設。なんらかの理由で親と一緒に暮らせなくなった子供たちが預けられている。三重県四日市市が近くにあるが、星の子学園の周囲は近所に養豚場が存在するなど、小さな田舎町といった様相。星の子学園には常時十数名の子供たちが預けられており、共同生活を送っている。園長先生は老齢のため子供たちの相手はほとんどせず、運営は主に足立稔や、手伝いの女性のみつ子らが取り仕切っている。 星の子学園のそばの草むらには「サニー1200」という乗用車が故障したまま放置されており、子供たちが「基地」と称してたまり場にしている。

『Sunny』
作者:松本大洋
連載開始年:2010年
連載媒体:月刊IKKI、月刊!スピリッツ
出版社:小学館
巻数:全6巻

書誌情報
Sunny 6巻 小学館〈IKKI COMIX〉
第1集 
(2011-08-30発行、 978-4091885579)
第2巻 
(2012-02-29発行、 978-4091885760)
第3巻 
(2013-01-30発行、 978-4091886132)
第4巻 
(2013-10-30発行、 978-4091886354)
第5巻 
(2014-05-30発行、 978-4091886545)
第6巻 
(2015-10-30発行、 978-4091886859)



松本にとって、親元で暮らせない子供を預かる児童養護施設「星の子学園」を舞台にした『Sunny』は特別な作品だ。彼はコミックナタリーのインタビューで、構想はデビュー当時から温めて来たと語っている。しかし実際にペンをとるまでには20年以上の年月を要した。なぜなら松本自身が施設育ちであり、当時の体験に自分の中でうまく折り合いをつけられなかったからだ。しかし同時に彼は、逆に歳をとりすぎてしまうと郷愁に捉われてしまい、客観的に俯瞰できなくなるであろうことも分かっていた。40歳を過ぎてようやく機は熟し、『Sunny』は描かれるべくして描かれたのである。
施設に預けられたときに髪の毛が真っ白になってしまった優良不良問題児、春男(ハルオ)。黒縁メガネの奥から諦観しきった表情で状況を見つめるクール・ガイ、静(せい)。不良仲間とつるみ喫煙もするが実は新聞配達をしている勤労少年、研二(けんじ)。そんな彼を密かに想う施設のマドンナ的存在、めぐむ。いつも四葉のクローバーを探している天然ネアカキャラ、純助(じゅん)。上半身裸という異様な風体でいつも歌を歌っている大男、たろう君。作品に登場する少年少女たちは施設にいた実在の子供たちがモデルであり、ひとつひとつのエピソードは実際の体験がバックボーンになっている。まさに松本大洋エキス100%!



 
 
 

 

 
 

 
 
 




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