<埼玉少年殺害>全員が暴行認める 5人の役割追及
埼玉県東松山市の都幾川河川敷で同県吉見町の井上翼さん(16)が遺体で見つかった事件で、殺人容疑で逮捕された少年5人のうち唯一容疑を否認していた1人が暴行への関与を認める供述を始めたことが捜査関係者への取材で分かった。県警は、5人全員が井上さんに執拗(しつよう)な暴行を加えたとみて、役割や関与の度合いなどを慎重に調べている。
県警によると、東松山市在住の15歳の少年は逮捕直後の調べに対し、「その場にいただけで何もしていません」と否認した。捜査関係者によると、その後の調べでこの少年も「暴行した」などとする供述を始めたという。
県警は、5人のうち、17歳の最年長の少年と、24日未明に出頭して最初に逮捕された16歳の少年の2人が事件を主導したとみているが、他の3人も暴行に関与しているとみて追及してきた。16歳の少年は当初「1人で殺害した」と説明していたが、5人全員が事件への関与を認めた。
また、5人の一部は「(井上さんを)全裸にして暴行していたら、けいれんして動かなくなった」とも供述。遺体には皮下出血の痕があり、長時間にわたって殴る蹴るの暴行を受けたほか、川の水に顔を押しつけられる暴行も受けたとみられる。
川越市在住の15歳の少年の祖母によると、この少年は逮捕前、「先輩に『ここ(現場)にいる限りお前も同罪』と言われ、俺も殺されると思って(井上さんを)1発蹴った。『これ以上やるとやばいから、やめたほうがいい』と言っても聞き入れられず、途中で同級生と逃げてきた」と話したという。県警は、暴行後の個々の行動についても慎重に調べている。
井上さんの遺体が発見されてから6日目となる28日も河川敷では、線香を供えて手を合わせる人の姿が見られた。
毎日新聞 8月28日
<河川敷16歳殺人>万引命令も…抵抗できず 暴力嫌で返信拒んだか
井上翼さんが殺害される前の22日午前2時半ごろに立ち寄ったとされるコンビニエンスストア=25日午後、東松山市内
埼玉県東松山市下唐子の都幾川河川敷で遺体で発見された井上翼さん(16)。親しかった友人らは井上さんが逮捕された少年たちから「金を巻き上げられたり、万引をさせられていた」「たびたび殴られていた」と打ち明けた。井上さんは少年たちの顔色をうかがう様子もみられたことから、少年たちの誘いや暴力に抵抗できなかったとみられる。
友人らによると、井上さんは少年たちと今年5月ごろに知り合い、今月17日には一緒に遊んだという。友人(16)は7月下旬ごろから、井上さんが「金を返さなきゃ」と繰り返しこぼし、「金を巻きあげられる」「万引をさせられる」と悩んでいた様子を覚えている。友人たちは「バイクのレンタル代として、翼の財布から1万7千円を抜き取られたこともあった」「万引を命令されて翼が渋ると、殴られていた」とし、「金や暴力の関係で(少年に)返信したくなかったんじゃないか」と話した。
事件前の17日~20日、逮捕された少年たちと井上さんを交えて温泉などに行ったという別の友人(16)は、19日夜、井上さんの不機嫌な様子が気になった。同日午後11時ごろ、2人になったとき、井上さんが「帰りたい」とこぼしていたことが忘れられないという。「(少年たちから)すぐ殴られたり使い走りにされるのが嫌だったんだと思う。まさかこんなことになるなんて思いもしなかった」。友人は井上さんが少年たちの顔色をうかがっている様子を目にしており、「嫌だと言えなかったと思う」と声を落とした。
井上さんは今月半ばごろからたびたび、現場近くのコンビニエンスストアに一人で買い出しに行ったり、逮捕されたとみられる少年たちと一緒に来店していた。女性店員(18)によると、19日午後9時ごろ、井上さんは携帯電話で指示を受けながら、大量のパンや飲み物を買っていたという。女性は「気さくな人だった。会計時に(井上さんの)手首に5~6カ所、たばこを押し付けられたような跡があり、いじめられてるのかなと思った」と振り返った。井上さんは22日午前2時半ごろにも立ち寄り、酒を買おうとしたため断ったという。
「ご飯を食べさせてやりたい」。友人たちは26日も事件現場となった河川敷に足を運んだ。友人は「翼を助けたかった。でも優しいやつだったから、俺たちが巻き込まれなくてよかったと思っているのかな」と語り、「翼のこと、絶対に忘れられない。こんなこと許せない」と静かに話した。
埼玉県東松山市の都幾川河川敷で井上翼さん(16)=同県吉見町=の遺体が見つかった事件で、殺人容疑で逮捕された少年らが河川敷で「動かなくなるまで(井上さんの)頭を持って水に押さえ付けた」との趣旨の供述をしていることが27日、捜査関係者への取材で分かった。
遺体の肺から検出された水を鑑定したところ、微物などの成分が現場の川の水と一致したことも判明。県警は逮捕した14歳から17歳の少年5人の事件当時の行動を詳しく調べている。
少年5人は共謀し、都幾川河川敷で22日ごろに井上さんを殺害した容疑で逮捕された。
捜査関係者によると、事件直前、井上さんは地元にいたが、少年らに呼び出された際には、「(今は)地元にいない」と断ったという。これに少年らが逆上し、河川敷に連れ出し、集団で殴る蹴るの暴行を加えたとみられる。
逮捕された無職少年(16)は「うそをついたり、電話やメールを無視したりしたから殺した」と供述しており、県警は殺害に至った経緯と動機の解明を進めている。
井上さんは現場周辺のコンビニに22日午前2時35分ごろに立ち寄っていたという。少年らの携帯電話の全地球測位システム(GPS)機能の位置情報の分析から、県警は少年らは同日未明から早朝にかけて、井上さんと河川敷にいた可能性が高いとみている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます