「体だけは大人になりやがって」と……女子小学生7人が被害を受けた千葉ロリコン教師「鬼畜の所業」
小学校の中で教師が教え子の女子児童に対して性的暴行を加えるという、にわかには信じられない事件の裁判が進行している。強制性交罪や児童ポルノ禁止法違反罪などで起訴されているのは、千葉市立小の元教員・X被告(36)だ。
被害者となったのは当時6~12歳の女の子7人。法廷ではX被告の大胆かつ卑劣な犯行が次々と明らかになった。10月末、検察側は「鬼畜の所業と言うしかない」と糾弾し、懲役15年を求刑した。司法は「鬼畜わいせつ教師」にどんな判決を下すのか――。
件が発覚したのは2018年7月17日。夏休み直前だった。小学3年生の女子児童Aさんが、小学校から帰宅後、母親に被害を打ち明けた。この日、担任のX被告は、1時間目の授業を自習にした上で、クラスメートの中からAさんを1人、別の教室に呼び出した。そして、目隠しをさせ、腕をしばって抵抗できない状態にすると、Aさんの陰部を触ったり、Aさんの口に自分の陰茎を入れたりしたのだ。
母親の相談を受けた県警は捜査に乗りだし、8月1日、X被告を強制性交の疑いで逮捕した。県警はX被告の自宅の家宅捜索で、外付けハードディスクやデジタルカメラなどを押収。データを解析すると、犯行を録画したものが見つかった。映像に映る被害者はAさんだけではなかった。他にも被害者がいることが判明し、解析の結果、Aさん以外の6人が特定された。
被害者Bさんの母親は裁判の意見陳述でこう述べている。
「被告が逮捕されてからしばらく経って、刑事さんがうちまで来て、『事件のことを知っているか』と聞かれました。丁寧にすべての家庭に聞いて回っているのかと思ったら、『実は娘さんも被害に遭っているそうです』と言われました。娘は私に気を遣い、何も言わなかった。つらいです」
X被告は児童らが口外しないことをいいことに、2013年1月から逮捕される18年7月までの約5年半の間、7人の被害者にわいせつな行為を繰り返していたが、Aさんが母親に訴えるまで犯行が明るみに出ることはなかった。
X被告は起訴され、初公判は昨年10月11日、千葉地裁で開かれた。7人の被害者ごとに追起訴が行われ、すべての起訴を終えるまでに1年近くがかかった。
裁判では、X被告の手口が次々に明らかになっていった。常習的な手口はこうだ。担任するクラスの女子児童の中で、物静かで、大人に告げ口しなさそうな子供を選んでは、理由をつけて空き教室や校内の倉庫などに呼び出す。そうして2人きりになると、X被告は児童に自分の局部を咥えさせたり、押し付けたり、児童の陰部を触ったりしていたという。その一部始終をカメラで撮影し、映像に残していた。
中でも犯行の状況が明らかになったのは、Dさんに対する犯行だ。Dさんは担任だったX被告から、5回の被害を受けた。初めて被害を受けた際、Dさんは忘れ物をしたことから、X被告に教室に残るように言われ、「服をまくって」と体操服を胸の下あたりまでまくらされ、下着が見える状態にされたという。
その日は服をまくり上げるだけで終わったが、その後、X被告の犯行は加速する。別の日には、Dさんが友人とトラブルになり、再び教室に残るよう言われた。今度は服をまくらされることはなかったが、「体だけは大人になりやがって」と服の上から乳首を触られたという。Dさんは当時を振り返り、「すごく怖かったです」と話した。
3回目も1人で教室に呼び出された。1回目と同様、服をまくるよう言われた。Dさんが上衣を下着が見える位置までまくると、X被告から「インナーもまくって」と指示され、その通りにした。5~10秒、X被告はDさんをまじまじと見つめると、「次(忘れ物)やったら、またひどいことするよ」と脅した。4回目も、だいたい同じ状況で、今度はデジカメでDさんが服や下着をまくる姿を撮った。
最後の被害の際は、校舎内の倉庫に呼び出された。「服、脱いで」。X被告の指示に、恐怖をおぼえたDさんは着ていた服を全部脱いだ。そして、X被告はDさんの陰部を指で触ったり、胸をなめたりした。さらにX被告はズボンを脱ぎ、Dさんに局部を握らせ、「なめて」「もっとなめて」と執拗に求めた。Dさんが手を引っ込めると、X被告は諦めたようで、「汚れたから口とか手、ゆすいでおいて」と言い残し、Dさんを解放した。X被告はこの日も、一部ではあったが、犯行をカメラで撮影していた。
出廷したDさんは、繰り返し被害に遭っても周囲に相談できなかったのは「家族に心配をかけたくなかった」からという。「できれば死刑になってほしい。それが無理なら、できるだけ長く刑務所にいてください」。
裁判では性犯罪者を支援するNPO法人で診察した精神科医の意見書も証拠として提出された。それによると、X被告は高校生時代から女性の下着を盗むようになり、修学旅行では同級生の下着も盗んだ。その後もたびたび他人の家の風呂の窓から女性の入浴姿を覗いていたり、盗撮行為をしたりしていた。
小学校の教師になってからも犯罪的ともいえる異常な性癖は治らず、尿検査で回収された検尿容器の写真を撮ったり、プールの授業中に児童が着替えた教室に入り、脱いだ服を撮影したりしていたという。
この意見書によると、X被告は小児性愛障害や、人の気持ちを読み取るのが苦手だということを示す前頭葉機能障害などがあると診断された。
X被告は、検察官から「異常な性癖を持っているという認識はなかったのか」と問われると「おかしいとは思っていたが、自分で(性癖を)変えられると思っていた」と答えた。被害者の1人の代理人弁護士も「小学生の幼い女の子に近づくために小学校の先生を志したのか」と問いただしたが、「違います」と語気を強めて否定した。
X被告はおおむね起訴内容を認め、謝罪の言葉を述べはしたが、裁判では真摯な反省の態度を取っているとは到底思えない言動もあった。被告人質問で検察官が、押収された犯行の映像データが残るハードディスクやノートパソコンの所有権を放棄するかと問うと、返答に窮し、「弁護士の先生と相談させてください」と回答を留保する場面もあった。
今年10月31日に行われた論告では、検察官が厳しい表現でX被告を非難した。「小学校の教諭の立場を悪用した卑劣な犯行」「鬼畜の所業と言うしかない」「小児性愛の傾向は顕著で、矯正困難。再犯の可能性がある」――。懲役15年を求刑した。
また、被害者側からの意見陳述として、7人の被害者の家族の意見がそれぞれ読まれた。中でも被害者のCさんは、Cさん本人が出廷して現在の心境を吐露した。
「ひどいことをされてから5年がたちます。これまで親にも話せませんでした。家族でテレビを見ていたときに、テレビであなたが捕まったというニュースを見ました。思わず『ざまあみろ』と言ってしまいました。(中略)裁判になると聞いたとき、裁判には出なくてもいいと言われましたが、直接言いたいと思って勇気を出して参加しました。(中略)一生刑務所の中で暮らしてください」
一方、弁護側は「小児性愛障害などの性指向障害が犯行に影響し、治療を望んでいる」とし、「今回に限り、寛大な判決を求める」と述べた。
X被告は裁判長から「最後に言いたいことは」と促されると、おもむろにメモを取り出し、読み上げた。「信頼を寄せてくれていた子供たちの人格を無視し、尊厳を踏みにじる、大変なことをしてしまいました」と涙声で語り始め、「(教師になってしばらくすると)学級崩壊したクラスを受け持たせてもらって、立て直すことができたり、子供たちから『楽しい』と言ってもらえたりしました。(中略)自分には子供を変えていく力があるのではないかと考えるようになってしまいました」。
最後には出廷していた保護者の一部やCさんに対し、「被害者の方々、保護者の方々、申し訳ございませんでした」と深々と頭を下げたが、被害者らの感情を逆撫でするだけだった。
判決は近く、千葉地裁で言い渡される。幼い子供たちの心を陵辱した「鬼畜」教師に、どんな裁きが与えられるだろうか。
(2019/11/29 週刊文春デジタル)
被害者となったのは当時6~12歳の女の子7人。法廷ではX被告の大胆かつ卑劣な犯行が次々と明らかになった。10月末、検察側は「鬼畜の所業と言うしかない」と糾弾し、懲役15年を求刑した。司法は「鬼畜わいせつ教師」にどんな判決を下すのか――。
件が発覚したのは2018年7月17日。夏休み直前だった。小学3年生の女子児童Aさんが、小学校から帰宅後、母親に被害を打ち明けた。この日、担任のX被告は、1時間目の授業を自習にした上で、クラスメートの中からAさんを1人、別の教室に呼び出した。そして、目隠しをさせ、腕をしばって抵抗できない状態にすると、Aさんの陰部を触ったり、Aさんの口に自分の陰茎を入れたりしたのだ。
母親の相談を受けた県警は捜査に乗りだし、8月1日、X被告を強制性交の疑いで逮捕した。県警はX被告の自宅の家宅捜索で、外付けハードディスクやデジタルカメラなどを押収。データを解析すると、犯行を録画したものが見つかった。映像に映る被害者はAさんだけではなかった。他にも被害者がいることが判明し、解析の結果、Aさん以外の6人が特定された。
被害者Bさんの母親は裁判の意見陳述でこう述べている。
「被告が逮捕されてからしばらく経って、刑事さんがうちまで来て、『事件のことを知っているか』と聞かれました。丁寧にすべての家庭に聞いて回っているのかと思ったら、『実は娘さんも被害に遭っているそうです』と言われました。娘は私に気を遣い、何も言わなかった。つらいです」
X被告は児童らが口外しないことをいいことに、2013年1月から逮捕される18年7月までの約5年半の間、7人の被害者にわいせつな行為を繰り返していたが、Aさんが母親に訴えるまで犯行が明るみに出ることはなかった。
X被告は起訴され、初公判は昨年10月11日、千葉地裁で開かれた。7人の被害者ごとに追起訴が行われ、すべての起訴を終えるまでに1年近くがかかった。
裁判では、X被告の手口が次々に明らかになっていった。常習的な手口はこうだ。担任するクラスの女子児童の中で、物静かで、大人に告げ口しなさそうな子供を選んでは、理由をつけて空き教室や校内の倉庫などに呼び出す。そうして2人きりになると、X被告は児童に自分の局部を咥えさせたり、押し付けたり、児童の陰部を触ったりしていたという。その一部始終をカメラで撮影し、映像に残していた。
中でも犯行の状況が明らかになったのは、Dさんに対する犯行だ。Dさんは担任だったX被告から、5回の被害を受けた。初めて被害を受けた際、Dさんは忘れ物をしたことから、X被告に教室に残るように言われ、「服をまくって」と体操服を胸の下あたりまでまくらされ、下着が見える状態にされたという。
その日は服をまくり上げるだけで終わったが、その後、X被告の犯行は加速する。別の日には、Dさんが友人とトラブルになり、再び教室に残るよう言われた。今度は服をまくらされることはなかったが、「体だけは大人になりやがって」と服の上から乳首を触られたという。Dさんは当時を振り返り、「すごく怖かったです」と話した。
3回目も1人で教室に呼び出された。1回目と同様、服をまくるよう言われた。Dさんが上衣を下着が見える位置までまくると、X被告から「インナーもまくって」と指示され、その通りにした。5~10秒、X被告はDさんをまじまじと見つめると、「次(忘れ物)やったら、またひどいことするよ」と脅した。4回目も、だいたい同じ状況で、今度はデジカメでDさんが服や下着をまくる姿を撮った。
最後の被害の際は、校舎内の倉庫に呼び出された。「服、脱いで」。X被告の指示に、恐怖をおぼえたDさんは着ていた服を全部脱いだ。そして、X被告はDさんの陰部を指で触ったり、胸をなめたりした。さらにX被告はズボンを脱ぎ、Dさんに局部を握らせ、「なめて」「もっとなめて」と執拗に求めた。Dさんが手を引っ込めると、X被告は諦めたようで、「汚れたから口とか手、ゆすいでおいて」と言い残し、Dさんを解放した。X被告はこの日も、一部ではあったが、犯行をカメラで撮影していた。
出廷したDさんは、繰り返し被害に遭っても周囲に相談できなかったのは「家族に心配をかけたくなかった」からという。「できれば死刑になってほしい。それが無理なら、できるだけ長く刑務所にいてください」。
裁判では性犯罪者を支援するNPO法人で診察した精神科医の意見書も証拠として提出された。それによると、X被告は高校生時代から女性の下着を盗むようになり、修学旅行では同級生の下着も盗んだ。その後もたびたび他人の家の風呂の窓から女性の入浴姿を覗いていたり、盗撮行為をしたりしていた。
小学校の教師になってからも犯罪的ともいえる異常な性癖は治らず、尿検査で回収された検尿容器の写真を撮ったり、プールの授業中に児童が着替えた教室に入り、脱いだ服を撮影したりしていたという。
この意見書によると、X被告は小児性愛障害や、人の気持ちを読み取るのが苦手だということを示す前頭葉機能障害などがあると診断された。
X被告は、検察官から「異常な性癖を持っているという認識はなかったのか」と問われると「おかしいとは思っていたが、自分で(性癖を)変えられると思っていた」と答えた。被害者の1人の代理人弁護士も「小学生の幼い女の子に近づくために小学校の先生を志したのか」と問いただしたが、「違います」と語気を強めて否定した。
X被告はおおむね起訴内容を認め、謝罪の言葉を述べはしたが、裁判では真摯な反省の態度を取っているとは到底思えない言動もあった。被告人質問で検察官が、押収された犯行の映像データが残るハードディスクやノートパソコンの所有権を放棄するかと問うと、返答に窮し、「弁護士の先生と相談させてください」と回答を留保する場面もあった。
今年10月31日に行われた論告では、検察官が厳しい表現でX被告を非難した。「小学校の教諭の立場を悪用した卑劣な犯行」「鬼畜の所業と言うしかない」「小児性愛の傾向は顕著で、矯正困難。再犯の可能性がある」――。懲役15年を求刑した。
また、被害者側からの意見陳述として、7人の被害者の家族の意見がそれぞれ読まれた。中でも被害者のCさんは、Cさん本人が出廷して現在の心境を吐露した。
「ひどいことをされてから5年がたちます。これまで親にも話せませんでした。家族でテレビを見ていたときに、テレビであなたが捕まったというニュースを見ました。思わず『ざまあみろ』と言ってしまいました。(中略)裁判になると聞いたとき、裁判には出なくてもいいと言われましたが、直接言いたいと思って勇気を出して参加しました。(中略)一生刑務所の中で暮らしてください」
一方、弁護側は「小児性愛障害などの性指向障害が犯行に影響し、治療を望んでいる」とし、「今回に限り、寛大な判決を求める」と述べた。
X被告は裁判長から「最後に言いたいことは」と促されると、おもむろにメモを取り出し、読み上げた。「信頼を寄せてくれていた子供たちの人格を無視し、尊厳を踏みにじる、大変なことをしてしまいました」と涙声で語り始め、「(教師になってしばらくすると)学級崩壊したクラスを受け持たせてもらって、立て直すことができたり、子供たちから『楽しい』と言ってもらえたりしました。(中略)自分には子供を変えていく力があるのではないかと考えるようになってしまいました」。
最後には出廷していた保護者の一部やCさんに対し、「被害者の方々、保護者の方々、申し訳ございませんでした」と深々と頭を下げたが、被害者らの感情を逆撫でするだけだった。
判決は近く、千葉地裁で言い渡される。幼い子供たちの心を陵辱した「鬼畜」教師に、どんな裁きが与えられるだろうか。
(2019/11/29 週刊文春デジタル)
教え子の女子児童7人にわいせつ行為
元小学校教員に懲役15年求刑 千葉地裁
小学生の教え子にわいせつな行為をしたとして、強制性交罪や児童買春・ポルノ禁止法違反罪などに問われた元千葉市立小の教員の男(35)=懲戒免職=の公判が31日、千葉地裁(前田巌裁判長)で開かれ、検察側は懲役15年を求刑した。
検察側は論告で「教員の立場を悪用した。鬼畜の所業というしかない」と厳しく非難。弁護側は弁論で「犯行には児童性愛障害が影響しており、治療を望んでいる」として、寛大な判決を求めた。
公判には被害を受けた少女も出廷し、「被害を家族にも言えなかった。一生刑務所にいてください」と訴えた。
起訴状などによると、男は小学校の教員だった平成25年1月~30年7月、6~12歳の女子児童7人に対し、学校内でわいせつな行為を行い、動画を撮影して保存していたとされる。
(2019.10.31 産経新聞)
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